![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/50369629/rectangle_large_type_2_eb21f25dbea8a1040ad80e7be13bb8a1.jpg?width=1200)
電動バルブ vs 空式操作式バルブ
今回は、「空気操作式バルブと電動バルブ」について。
各プロセス産業で最も一般的に使われている「空気操作式バルブ」
まだまだ発展途上でこれからの進化に期待がかかる「電動バルブ」
このまだまだ主流ではない「電動バルブ」のメリットをご紹介します。
「空気操作式バルブ」作動の仕組み
各プロセス産業の流体制御において、最も多く使われている「空気操作式バルブ」がどのような物かと言うと。
簡単に言うと、こんな仕組みで空式操作式バルブは動いていると説明しました。(ノーマルクローズの場合)
①外部機器(コンプレッサー)と接続し、圧縮空気を流し込む
②アクチュエーター内に空気が流れ込み、バネが押し上げられる
③バネと連動した弁体が上昇し、流路が開かれる
こうして空気の力を動力源として、弁体を上下させ流路を開閉しているのが「空気操作式バルブ」。イメージはこんな感じ。
空式操作式バルブには、平常時から弁体はバネによって下方向に押し込まれる力が作用しています。そのため、空気を送り込まなければ流路は閉じています。つまり、ノーマルクローズ。Normally closed なわけです。
そこへ圧縮空気を送り込むと、バネの力に勝る空気の圧力によって弁体が押し上げられ、流路が開くわけですね。
これが空式操作式バルブの作動の仕組みです。
空式操作式バルブをコントロールする「ポジショナー」
そして、この空式操作式バルブを細かく開度調整をしてくれるのが「インテリジェントポジショナー」
通常ON/OFFの操作しかできないのが空気操作式バルブですので、
単体では”全開”か”全閉”の2パターンしか再現する事が出来ませんでした。
そんな課題を解決するのが、この「ポジショナー」です。
ではポジショナーは何をしているのかと言うと。
コンプレッサーからバルブに送られる、動力源となる圧縮空気の量をコントロールしています。イメージはこんな感じでした。
バネに押し戻される力を計算しながら、バルブに送り込む空気量を調整することで、0~100%の間でバルブの開度を緻密に制御してくれる。これがインテリジェントポジショナーです。
これらの2つ 「空式操作式バルブ」と「インテリジェントポジショナー」を組み合わせることで、各プロセス産業で求めれるニーズに対応する「コントロールバルブ」として作動しているわけです。
「電動バルブ」作動の仕組み
では、一方の「電動バルブ」はどうかと言うと。
文字通り”電気”を動力源としており、DC24Vの電流を使ってモーターを回し弁体を開閉します。
空式操作式バルブと違ってバネが内蔵されているわけではないので、バルブを開ける時も閉める時もモーターを回し弁体の位置を移動させています。
そして弁体の開閉位置をどのようにコントロールしているかと言うと。
「4-20mA アナログ信号」という電気的刺激による指示を受け、それに対応する位置までモーターを回しバルブの開度を調整しています。イメージはこんな感じ。
そのため、電動バルブにはポジショナーは必要ありません。
まとめると、電動バルブは動力源となる「DC24V」の電流を受けとり、モーターを回す運動エネルギーに変換している。そして、「4-20mA」のアナログ信号を受け取り、バルブの開度(位置)を決めている。
これが電動バルブの作動の仕組みです。
では、ここからは「電動バルブ」が「空式操作式バルブ」と比較してどんなメリットを考えてみます。
電動バルブのメリット
①ずば抜けた制御精度
電動バルブは最大流量に対して ≦±0.3% の制度での制御が可能です。
なぜここまで正確に制御可能かというと。
先ず空気操作式バルブ+ポジショナーによるコントロールの場合、バネによる力、空圧、流体の圧力などの力が弁体に作用し続けている状態です。その力を微調整しながら均衡を保ち、位置を調整しているような感じですよね。以下の図の通り。
しかし、電動バルブの場合はアナログ信号を受け決められた位置に移動し、そのしっかりとその位置でキープします。つまり、流体の圧力を受けようが弁体の位置が変わることはないわけです。
②コンパクト
コントロールバルブとしては、左側の「空気操作式バルブ+ポジショナー」でも非常にコンパクトで高い評価を受けてきましたが、右側の電動バルブはそれを上回るコンパクトさである事が見て取れると思います。このコンパクトさは圧倒的なメリットであり、プロセス産業の常識を覆す構造です。
③圧倒的エネルギー効率
空気操作式バルブでのシステム全体のエネルギー効率は5%と言われていますが、電動バルブのエネルギー効率は50%を誇ります。
なぜここまでの違いがあるかというと、理由は単純で。
圧縮空気を作り出すには非常に大きなエネルギーが必要であること、そして空気圧縮システムでは漏れが発生するのが当たり前ということ(漏れのロスが20%でもましなくらい)
④排気エアーがない
空気操作式バルブは圧縮空気をバルブ内に送り込んで、バネを押し込み弁体を開いていると説明しました。この事からわかると思いますが、反対にバルブを閉じる時はバルブ内の圧縮空気を抜く必要があります。これを「排気エアー」と言います。
しかし、圧縮空気の元となる大気中の空気には様々な物質が含まれており、無菌アプリケーションや塗装システムなどにおいては、「排気エアー」を放出することは汚染リスクに繋がります。
つまり、その環境の条件によっては空式操作式バルブが向かないアプリケーションもあるわけです。そんな場合に、排気エアーが無い電動バルブが大きな優位性を持ちます。
⑤ダイアフラムの長寿命化
ダイアフラムバルブは、ダイアフラムという弁膜を押し込んだり、押し上げたりしてバルブを開閉して流体をコントロールする構造です。
この弁膜は樹脂製であり、バルブの開閉を繰り返し行うと劣化するため定期的な交換が求められるアイテムです。
このダイアフラムに関して、電動バルブを使う事で空式操作式バルブと比較して消耗を抑える事が可能です。なぜなら、電動バルブ内に内蔵されたストロークリミッターとシールアジャスターが適度な負荷を実現してくれるから。
以上、「電動バルブ」と「空式操作式バルブ」を比較した際の「電動バルブ」のメリットでした。
◆GEMUはどんな会社?
◆GEMU Japan公式インスタグラム
◆GEMU Japan製品情報