株式交付制度の令和5年改正
株式交付は課税繰り延べが認められていたが
株式交付制度は、法人が、その有する株式を発行し た他の法人を株式交付子会社とする株式交付によ りその有する他の法人の株式を譲渡し、その株式 交付に係る株式交付親会社の株式の交付を受けた 場合におけるその譲渡した株式については、その 譲渡した株式に係る譲渡対価の額は、譲渡原価の 額とする、すなわち、譲渡利益額又は譲渡損失額 を計上しないというものです(措法66の 2 ①)。
この制度は、株式交付により交付を受けた株式 交付親会社の株式の価額がその株式交付により交 付を受けた金銭の額及び金銭以外の資産の価額の 合計額のうちに占める割合が80%に満たない場合 には適用しないこととされ、株式交付により株式 交付親会社の株式以外の資産の交付を受けた場合 には、その資産に係る部分については、譲渡利益額又は譲渡損失額を計上することとされています (措法66の 2 ①)。
令和5年税制改正で親会社が同族会社に該当する場合は課税繰り延べ対象外に
株式交付の直後の株式交付親会社が同族会社に該当する場合には、本制度を適用しないこととさ れました(措法66の 2 ①、措令39の10の 2 ④)。
なお、上記の同族会社は、同族会社であること についての判定の基礎となった株主のうちに同族会社でない法人がある場合には、その法人をその判定の基礎となる株主から除外して判定するものとした場合においても同族会社となるものに限る(すなわち、いわゆる非同族の同族会社を除く)こととされています(措法66の 2 ①、措令39の10 の 2 ④)。
(注) 本制度は、日本企業全体の収益性の向上や産業の新陳代謝を促していくための政策税制として設けられたものですが、この政策税制としての目的にそぐわない株式交付が散見されたこと から、その実態を踏まえ、政策税制としての目的に合う株式交付に対象が限定されたものです。
適用関係
株式交付の改正は、令和 5年10月1日以後に行わ れる株式交付について適用し、同日前に行われた株式交付については、従前どおりとされています (改正法附則47、改正措令附則11)。