社会貢献って何?
花の業界に入って25年。
アルバイトから始めて今は経営者になりました。
花の仕事をしている事業者・関係者へのメッセージと思って書きます。
結論
社会貢献=納税。
自分と力を貸してくれる周囲の人々を最優先に。
花が売れないのは誰のせい?
私は花の業界に25年いますが花の業界に携わる多くの人(生産者・花屋・卸・市場など)は職人気質が強く、交流会などで話を聞くと「良いものを作っていれば物が売れる」「花の良さをみんな分かっていない」「若い人が花を買わなくなった」と商品が売れない理由は自分にあるのではなく花を買ってくれない消費者や時代のせいにしているような気がします。
本当にそうなのか?
物を売ることは簡単ではなく商品を店に並べておけば勝手に売れていくわけではないと誰もが分かっているはずです。
「花を売る」のではなく「売れる花」は何か?
お客さんは何が欲しいのか?
お客さんは欲しい商品をどうやって探すのか?
こういった具体的なことを考え何度も試行錯誤しデータを集め、先回りした商品や販路を準備しなければ花(もの)は売れないと思います。
競合しているのは同業ではない
今はちょっとしたプレゼントに花ではなくお菓子を選ぶと思います。
同じくらいの価格帯なのになぜお菓子を選ぶのか?
洋菓子店を経営している私の友人は日々新しいスイーツを考え幾度となく試作し販売してみてデータを集め改良をしています。
一方で花屋はどうかというと、毎日同じようにお店を開けて花を並べ注文の電話を待っています。
商品であるアレンジメントも生花スタンドも花束も私が花屋で働きだした25年前と同じスタイルで、これで20年経過すれば花業界より洋菓子業界が進化し、花の需要を奪われることは明確です。
ホームページ・店舗・包装など明らかに洋菓子店に劣っていて、IT化に関しては花屋は完全に時代に遅れていると感じます。
花屋はライバル店の花屋を意識することが多いのですが、残念ながらライバル店も売れていません。
お客さんは商品力が弱く値段もよくわからない花ではなく別のオシャレな商品を購入していると考えましょう。
ビジネスの意識が低いのではないか?
「花のある生活」「花で笑顔に」「花に囲まれて幸せ」というような理想論で、経営の悪さや自身の所得の低さという現実から目を背けているのではないか?
私はこういったことを主張する人々と関わることが嫌で同業者と距離を置いていましたが、10年ほど同業者と交流がなかったので今の様子を見てみようと思い最近は交流の機会を増やしました。
先日もある交流会に出席しましたが、やはりビジネスとしての意識が低く、理想論とあいまいな目標宣言ばかりで「みなさん、花業界のために頑張りましょう」で終わってしまいました。
生産者も花屋も必要なことは経営能力の向上ではないでしょうか?
今の仕事を数値化して現実を見なければ本当の姿が分かりません。
せっかく同じ業界関係者が集まっているのに花に対しての熱い思いを聞かされても何も生み出すことはないので、交流会を行う際はテーマを決め具体的な数値や根拠をもとにした議論をしたいと思っています。
花の仕事は社会貢献ではない
花に携わる関係者はなぜか「花の仕事は社会貢献」といったような発言をよくされますが、私が思うにどんな仕事でも会社というのは収益を上げ自分と従業員とその家族へ利益を分配し、継続して収益をあげるために将来へ投資を行う営利団体です。
そして私は納税こそが社会貢献だと思っています。
もし花を扱うことが社会貢献だというなら無料で街角の人々にお花を配ればいいし、ボランティアで公共施設にお花を植えればよい。
しかし事業主として活動を行うなら「お客さんの笑顔」とか「人々の豊かな暮らし」と言う前に、職場環境や待遇を改善してまずは自分の家族や一緒に働く従業員の笑顔と豊かな暮らしを最優先してほしい。
利益が出せないことを「社会貢献」などと言い訳をせずに、自分が事業主の立場であれば利益を出さなければならない責任から逃げずに日々の努力が必要で、ここが儲からない花屋の原因ではないかと思います。
花業界を盛り上げる!
よく聞くフレーズですが私が考える花業界の盛り上げ方です。
1.事業主が経営能力を上げる
2.自店の売り上げを伸ばす
3.自店の職場環境と従業員の待遇を改善する
4.目標を決める
5.目標を達成する
6.自店に優秀な人材が集まりだす
7.次の目標を決めみんなで向かう
8.みんなで目標を達成する
9.外部からのパートナーの力を借りて事業を拡大する
↓
10000.結果、花業界が盛り上がった
業界を盛り上げるには途方もない道のりだと思います。
最初の5項目も達成できていない方がよく「花業界を盛り上げる」と言われますが、様々な問題解決と改善と努力を続けてやっと「自社」が盛り上がり、そこから「他社」を巻き込みながら「業界」へと波及します。
仮に誰かが業界を盛り上げることに成功しても、何もしなかった人には何の恩恵を受けることなく今と同じ状況が続きます。
何度も言っていますがまずは自分とその周りにいる人を最優先しましょう。
業界なんて正直どうでもよい。
事業主であるならば自分の利益のために行動することが「正義」です。
そしてそれを助けてくれる人たちにきちんと対価を払う。
最後に余ったものでボランティアや納税、つまり社会貢献してください。