見出し画像

フラワーロス??

花の業界に入って25年。
アルバイトから始めて今は経営者になりました。
最近よく聞くフラワーロスとロスフラワーについて思うことを書きたいと思います。

結論

フラワーロスとロスフラワーは「ビジネスの手法」
美しい花を求める以上、ロスは絶対になくならないもの。
花ビジネスの本質は良いものを提供すること。

フラワーロスとロスフラワーの違い

呼び名が少し違いますが私は以下のようなイメージを持っていますので、
この考え方で読んでいただければと思います。
フラワーロス→理由があって生産地で廃棄される花
ロスフラワー→お店の判断で花屋で廃棄される花

フラワーロスは生産者の品質保証

花の需要が低下し花の生産地では多くの花が売れずに廃棄されているとよく聞くようになりました。
確かにイベントや結婚式など中止になり花の需要が大きく落ち込んだので花の価格も下落したのは事実です。
今言われているフラワーロスは規格から外れた花を廃棄せずに有効活用しましょう!というものだと思いますが、実際の規格外品というは花の形が奇形であったり病気・害虫の被害を受けているものが主ですので、規格外品は商品にならず生産者の判断で廃棄されるのは仕方のないことだと思います(私は出荷されても絶対に買いません)
生産者との会合で話を聞くと生産者なりのプライドがあり、自身が決めた基準を満たさない花は出荷せず廃棄するそうです。
これはフラワーロスと言わず立派な品質保証だと思いますので、花の業界に限らずどんな業界でも商品製造の過程で出る「不要」なものだと思います。
規格外品は値段がつかないくらいの状態の花なので、世間のフラワーロスと認識の差があるように感じています。


ロスフラワーも花屋の品質保証

花屋は花を仕入れて店頭で販売し、3日~5日売れなければ廃棄しています。
もったいないとよく言われますがすぐに枯れてしまう花を購入しますか?と聞くとみんな「買わない」と答え、安いけどすぐに枯れる花を誰かにプレゼントしますかと質問しても「しない」と答えます。
次の日になると枯れる花は100円でも買わないでしょう。
つまりお金を払って買った花は長く楽しめなければ花としての価値がない、これがロスフラワーです。
花の咲く期間は7日~10日程度ですので花屋で5日経過した花は2日~3日後に必ず枯れてしまうので「あの花屋の花はすぐに枯れる」と言われないように花屋は「今」きれいな花でも良品を置いているという信頼のために廃棄しています。

花に対する価値観

ロスフラワー・フラワーロスに共感が集まっているように思いますが、実際の現場では花に少しでも傷があるとダメ・葉が一枚でも枯れているとダメ・花が少しでも開いているとダメと消費者から厳しい選別をされます。
自分が購入者であれば同じように少しでもきれいな花を選ぶと思います。
良くも悪くも日本人の美意識の高さをクリアするために、花は生産地で選別され、過剰な梱包で輸送し、花屋で選別され、最終的に消費者に選別されてやっと販売につながります。
お分かりだと思いますが花を販売するまでにものすごいコストをかけて花の品質を保っていて「花が廃棄されている」と聞くともったいない気がしてロスフラワー・フラワーロスに共感するのもわかりますが、これは消費者が花に求めた品質保証の結果生まれているものです。
よく海外の人々は「パンを2個買うなら1個にして花を買う」と海外の花の文化を称賛している方もいますが海外の花は価格も安いですが質も状態も日本の花と全く違い、花に対する価値観も違います。
生産者がプライドを持って生産し花屋で品質管理された傷一つない花を1本飾るほうが日本人の価値観に合うような気がします。

影響を受けているのは生産者だけではない

多くの生花店は売上が減少し、そのせいで花の価格が下落して生産者の方々も苦しい状況だと思います。
消費者が花を手にするまで生産者→花市場→卸→花屋(小売店)と経由しますが、その他にも運送会社・種苗会社・資材会社などの協力も必要です。
花が売れないと生産者だけではなく花業界に携わるすべての業種に影響を及ぼしますので、生産者を救う=花業界を救うではありません。
もし花業界を救うのであれば近くの花屋さんで普通にお花を購入していただくこと、また花屋であれば努力して1本でも多く花を売ることが花業界を救う最良のことだとだと思います。

花ビジネスの本質は?

フラワーロスやロスフラワーというのは私なりの解釈だと
「みなさん、多くの花が売れずに捨てられていますよ」という共感を集めたフラワーロス・ロスフラワー「ビシネス」です。
捨てられるはずの花を活用するとそれはロスではなく商品になります。
捨てられるはずの花を安価で販売した時点でロスではなく商品です。
ただ私個人的にはこういったビジネス手法は好きではありませんが、どのような形であれ花が売れれば業界的には助かるでしょう。
しかし花のビジネスの本質は消費者に良いものを提供することです。
種苗会社は良い品種を開発し生産者は良い品質を追求し運送会社は一日でも早く輸送できるように努力し花屋は良いデザインを考える、すべて消費者に良いものを提供するためです。
「フラワーロス・ロスフラワー」のようにそれ自体には価値がないものではなく花の仕事の携わる人々が日々努力して生み出した対価を払う価値のある「商品」に目を向けていただければと思います。

いいなと思ったら応援しよう!