花屋の古い価値観
花の業界に入って28年。
アルバイトから始めて今は経営者になりました。
ギフトメインの花屋として古い価値観について書きます。
結論
昭和世代は自分自身の価値観を変える時
受け入れられないなら世代交代も必要
私も昭和生まれの47歳です
昔の価値観を修正するのは苦労していますが、
これから先の花屋経営について、フラワーギフト専門店の私なりの考えを書きたいと思います。
問題と疑問と回答
近年の生花価格の高騰で花屋同業者の方々からいろんな話を聞きます。
問題➀花の出荷が少なくて困る
問題②花の仕入れ価格が上がり利益が出ない
問題③求人を出しても応募が少ない
これだけ聞くと花屋の経営は厳しくなる一方ですが、ここで疑問が出ます。
疑問➀花の出荷量が少ないとなぜ困るのか?
疑問②仕入れ額が上がったとして売値を上げないのはなぜか?
疑問③いくらの給料で募集しているのか?
私なりの回答です
回答➀必要な花は「注文」しましょう
回答②きちんと利益がでるような販売価格にしましょう
回答③給料を上げましょう
回答➀の説明
昭和世代は古い感覚のままで「セリは安い」という「セリ」で「安く」買うことに快感と満足を得ています。
セリにかかる花は徐々にwebでの前売りや注文に移行して減っているのに、未だに早朝からセリに出かけていきます。
稀に価格が暴落することもあるでしょうが、安いからと言って多くの花を仕入れてもギフト店では販売しきれず、結果店頭で安売りする羽目になります。
安売りで得られる利益は少ないので、無駄な労力で現場スタッフの負担が増えるだけ。
花が安くなって薄利多売ができるのは「大手」量販店の仕事。
市場のセリ値に振り回されず、ギフト店は事前にwebや注文をして「必要な量だけ」仕入れをすることが正解です。
回答②の説明
花の価格が高騰するのは生産コストが上がっているので仕方のないことで、これからも下がることはないと思います。
謎の「値上げしません」宣言をする方もおられるようですが、自分自身一人だけの店であればいいと思います。
しかし家族や従業員がいるなら、これから先もお店を維持するためにはお金は必要です。
お客様のためではなく第一に考えることは自分とその周りにいる人のため。
花屋はボランティアではなく「ビジネス」なので利益を出すことが目的です。
きちんと利益が出る販売価格を設定し、貪欲に利益を追求して従業員の給料アップや新しい商品の開発、お店の売上拡大への投資を行いましょう。
回答③の説明
花屋の求人でよく見るのは「経験者優遇」「能力を見て給料を決定します」「試用期間1か月」「残業40時間込み」などなど
即戦力になるような人材が欲しいのは当然ですが、本心では未経験者でも良い人ならぜひ採用したいはずです。
しかし、もし私がとても明るく性格も良いイケメン20歳の未経験者だったとして、この条件では怖くてまず応募しません。
もっと言えば理想としている「月給20万円で働いてくれる20代でとても明るく花が好きな性格も良い技術を持った経験者」はこの世に存在しません。
本気で募集するなら正社員で基本給300,000円以上が必要です。
求人の前に一度よく考える
ただ雇用する前に本当に求人が必要か考えることも重要です。
月に20万円の仕事をこなすために月給20万円の従業員を採用してしまうと収支がマイナスになるので、まずは利益が少ない仕事をやめるという判断もあるのではないでしょうか?
極端な考え方ですが2,000円の注文が100件あったとして人手不足になるようであれば、3,000円に値上げして50件にするという考え方もできます。
売上は減るかも知れませんが新たに雇用するコストを考えると生産性は上がると思います。
20年前と同じ仕入れ価格のわけがないでしょ!
20年前と同じ給料で働くわけないでしょ!
20年前と同じ商品が売れるわけないでしょ!
結論でも書いたように「昭和」の考え方や価値観を変えない人たちが花業界衰退の一因だと考えています。
「昔はバラが〇〇円だった」
「花屋は修行だから給料は安くて当然」
時代が変わり世の中も大きく変わっていく中で、花屋だけが一年に3cmくらいの速度でゆっくりともっさりと変化しています。
花業界の先端である花屋がこの調子だと、このままでは優秀な人材など集まることはなく残念ながら業界全体が衰退していくでしょう。
視野を広げて同じ価格帯で花以外の何が売れているのか?
自分がお客になったとして自店の商品に魅力があるのか?
自分が20代に戻ったと想像してどんな店で働きたいか?
花屋経営者は今一度考えてみてはどうでしょうか。