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「ちょっと待った!」製造業のIoT導入!

100本以上の製造業ブログを書いてきて

私は中小製造業専門のコンサルタントですので、毎日のように、さまざまな製造業の現場で業務改善、研修、アドバイスなどをさせてもらっています。

おかげさまで、どのクライアント様にも喜んでいただき、現場改善のプロフェッショナルとして一定以上のパフォーマンスを発揮できていると自負しています。

そんな私が、製造業の皆さんに伝えたいと思うこと、考えたことを、備忘録もかねて「製造業お役立ちブログ」に書いています。

最近は、業界紙などから記事執筆や資料の監修などのご依頼をいただくことも増えていきました。これにはブログの影響もあると思っています。

製造業のIoT導入事例の裏話

さて、今回は「製造業がIoT導入でメンテナンス予測の最適化する方法とポイント」というブログ記事を公開しましたので、その舞台裏や記事に込めた執筆の思いをここに書いておきたいと思います。

IoT導入の話題は今やどこでも耳にしますが、「結局、何のために導入するのか?」「その効果やコストはどれくらい見合うのか?」という根本的な部分が十分に議論されないまま進められるケースが多いのが実情です。

特に中小の製造業の現場では、ベンダーやソリューション業者から「振動センサーをつければ状態が可視化でき、故障予知できますよ」「AIでデータさえ取れば解決しますよ」といった形で提案されることも多く、言ってしまえば、素人であるユーザー側、企業側では「とにかく導入すれば何かが変わる」という雰囲気になりがちです。

曖昧なまま走り続けてし気づいたときにはコストがかさむだけで、ほとんどメリットが得られない結果になりかねません。

こちらの記事で取り上げた振動センサーの事例は、そんな「目的が明確でないまま導入を進めようとして、ギリギリの段階でこのままでは不要かもしれない、と気づいて踏みとどまれた」というケースです。

ある意味では「良くない事例」ですが、似た状況にある企業に「ちょっと待った!本当にそのIoT導入が必要か?原理を理解できているか?」と問いかける材料として紹介したかったのです。

新しいものを導入することへの「ワクワク感」と油断

振動センサーなどのIoTを使った故障予測のアイデアは、言葉だけ聞くととても先進的で、楽しそうに思えます。つまり「ワクワク感」もあります。

たとえば、ベンダーが「可視化」「見える化」などという言葉も、何かメリットがありあそうだと思わせられる言葉です。

製造業の経営者や担当者は「生産性を上げるために何かしなければ」と考えている、目的意識や使命感がある人が多いです。

そういう人は、ワクワク感をちらつかせられたり、メリットがありそうな言葉を浴びせられると、ついつい隙や油断が生まれます。

私のように、一定以上の経験を持つコンサルタントなどが冷静に見ると、この「偽物のワクワク感」に気づくことができます。

製造業コンサルタントなどの専門家に相談できるのが理想ですが、まずはブログ記事を読んでいただけることで、同様の落とし穴にはまるのをギリギリで踏みとどまれる企業が一社でもあれば、うれしいです。

何も、振動センサーのベンダーや製造業の担当者を批判したいわけではありません。

外部の専門家を含めた、いろんな視点を意識的に取り入れ、慎重に物事を進めることで、製造業の発展に寄与できたらと思っています。

記事の最後には「何をすればいいのか?」がわかりやすいように「製造業IoT導入チェックリスト(全25項目)」を公開しましたので、適宜ご活用ください。

製造業をはじめ、ものづくりに携わる皆さんのご参考になれば幸いです。

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