御社の「業務プロセス改善」はなぜ頓挫したのか?~第9回 業務プロセス改善の柱はコミュニケーション②~
今回は、コミュニケーションツールの具体例としてSlackとNotionを紹介します。いずれも昨今では使い始めている企業も増えており、PCでもスマートフォンでも使用でき、制限付きではありますが無料でも利用できるツールとなっています(2024年4月現在)。
コミュニケーションの気軽さと構造化を兼ね備えたSlack
例えばメールの場合、宛先やccを選んだり、文の書き出しを考えなければいけなかったり、気軽さという点では課題があるのではないでしょうか。また、メールの内容も受け手が件名や内容から仕分けなければならないなど、情報整理にひと手間かかることも何とかしたいところです。
一方、グループLINEなどのコミュニケーションが身近なツールとして慣れているかもしれませんが、グループが乱立したり、グループ内の会話内容が発言とともにズレてしまったりして、肝心の情報がどこにあったのか探すのが大変などという課題があります。
Slackは、これらの課題を解決する以下の特徴を備えています。
コミュニケーションの場のツリー構造
コミュニケーションの“枠”の大きな順から、ワークスペース>チャンネル>スレッド の順で構成されていることが大きな特徴です。
この3階層を意識して発言(テキストやファイルをアップ)することで、何の情報を発信しているのかを発信側が指定することができます。
そのため、過去のメッセージを探す際にも、チャンネルやスレッドを限定して履歴を辿ることが容易になっており、検索性も非常に高いのです。
また、ワークスペース、チャンネルごとにメンバーを招待でき、チャンネルをプライベート設定することで招待したメンバーのみでのコミュニケーションが可能なので、限定されたメンバー間での情報交換もできます。
リアクション機能
SNSツールなどではおなじみのリアクション機能も気軽に使用することができます。また、リアクションのアイコンを自ら作成できることも特徴で、「ありがとうございます!」「承知しました!」など、社内のコミュニケーションでよく使用するメッセージをアイコン化しておけば返信の手間が省けるとともに、本質以外のメッセージで溢れてしまうことを防ぐこともできます。
掲示板とプロジェクト管理機能を兼ね備えたNotion
掲示板は、特に製造業の現場では単純な情報提供の場というだけでなくダッシュボードの役割を果たすなど、複数メンバーに同じ情報を伝達する手段として重宝されています。
しかしながら、事務連絡や過去の実績などのいわゆる“静的”な情報には向いているものの、常に変化する“動的”な情報の共有には向いていないことが欠点でもあります。
このNotionは、タスク管理、ノート作成、プロジェクト管理などを行うことができるオンラインツールなのです。
作成する文書や画面などはNotionでは“ページ”という概念で表現されており、ユーザーは、テキスト、画像、タスクリスト、カレンダー、データベースなどを含む文書となる各ページを作成することで、メンバー間で情報を共有します。それらページはプロジェクトにリンクさせておくことで、情報の分散を防ぎ、一元管理ができるようになっていることも大きな特徴です。
また、個人のタスク管理にもチームとしてのタスク管理にも使用することができる点も、二重管理や二度手間にならない点で優れています。
さまざまなビジュアルレイアウトを使用して、情報を美しく整理することができ、APIを通じて他のアプリと統合することも可能になっており、組織に合わせたカスタマイズが自由にできます。
当社の例ではあるりますが、Notionで作成しているページの例を以下に示します。
プロジェクト
プロジェクトとして顧客別のページを立ち上げています。そのプロジェクトページの中で、タスクの設定や担当者の設定をし、プロジェクトごとのタスクリストだけでなく、担当者別のタスクリストも見ることができるようにもしています。
ドキュメント(議事メモ)
ドキュメントページは、打ち合わせ等のメモや議事録などとして活用し、各プロジェクトにリンクさせてプロジェクトから議事のメモにドリルダウンで閲覧することができるようにしています。
代表の予定
私は自身のスケジュールをGoogleカレンダーで管理しており、そのGoogleカレンダーをNotionに連携させてメンバーにも公開しています。
そうすることで、各メンバーが私の予定を確認することができ、タスク納期の意味や得意先とのやり取りなどに活かすことができるのです。
このように、全ての仕事の入り口をNotionにして行うことができるようになり、メンバー間の情報格差をなくすなど、コミュニケーションの円滑化だけでなく業務効率化にも大きく寄与します。
業務プロセス改善におけるコミュニケーション
ここで改めて、業務プロセス改善におけるコミュニケーションを考えてみましょう。
目的を含めてリアルタイムな情報を共有することは、タスクの進捗を確実にし、プロジェクトを確実に進行させます。紹介したSlackやNotionなどのツールを活用しながら、経営者もそのツール内に積極的に参加して組織のコミュニケーションも活発化させることが大切になります。
そもそも、こうした新しいツールの導入そのものが改善の体験となり、こうしたツールの使用を呼び水にして新たな取組に推進力が加わるのです。
さて、次回はいよいよ最終回ですが、これからの将来の展望として、中小製造業のDXの取り組み方や注意点と、実際のDXを実現した事例について紹介していきます。
こうご期待!
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