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身近なもので課題を解決

細胞培養に液体のりが有効だったというニュースが話題になっています。

商品名は記載されていませんが、写真の通りならアラビックヤマトなんでしょう。記事を読むと、洗濯のりも使ってみたようです。
例は少ないですけど、こういう身近で安価なものが一番良かったりするんですよねw
だから、可能性のありそうなものは片っ端から試してみた方が良いと思います。僕は仕事の研究でもよくやります。

アラビックヤマトに使われている高分子、ポリビニルアルコールは創傷被覆材や細胞培養に使われることがあるので、もしかするとと思って使ってみたのかもしれません。

ポリビニルアルコールは下図のようなシンプルな構造を持つ直鎖状の水溶性高分子です。

この構造式のnは重合度で、[ ]内の構造がn個繰り返されるという意味です。
重合度が違うと水溶液の見た目や性質が変わります。

ポリビニルアルコールは酢酸ビニルを「けん化」することで作られるのですが、重合度と同様、どのくらい「けん化」するのかで性質が変わってきます。けん化度が高いほど、水酸基(OH)が多くなります。

図のポリビニルアルコールは「けん化度」100%ですが、液体のりや洗濯のりに使われるのは75~80%程度と推測されます。90%を超える高けん化度タイプは、ゲルやフィルム用途で使われることが多いですね。
けん化度が低いと酢酸基が残ってしまうため、液体のりは酢酸のにおいがするんです。

アラビックヤマトは写真のように黄色い液体です。着色しているのは80%程度の低けんか度タイプの特徴です。
ただ、洗濯のりは無色透明なので、もしかすると90%くらいの「けん化度」かもしれません。

僕はポリビニルアルコールと聞くと、写真のようなスライムしか思い浮かびませんw

ちなみに、木工用ボンドは酢酸ビニル樹脂のエマルション(乳化液)のため、かなり強い酢酸臭がします。
さらに、酢酸ビニルとエチレンを合わせた高分子、エチレン酢酸ビニル共重合体は、ガムベースや紙のコーティングなどに使われています。ガムベースには酢酸ビニル樹脂そのものを使うこともあります。
これらはポリビニルアルコールとは性質が異なるため、たぶん細胞培養には使えないと思います(^^;)

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