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歴史と科学 vol.20 〜真珠の輝き〜
真珠(パール)は、古代からその美しさと希少価値で人々に愛されてきました。その歴史は、宝石の中でも特に長く、多くの文化に深く根付いています。今回は、真珠の起源から現代に至るまでの歴史についてお話します。
真珠の自然発生と古代文明
真珠は、貝に異物が入った際に、その異物を排除しようとする貝の防御反応によって形成されます。これは、貝が異物を包み込み、その周りにカルシウム炭酸塩(主にアラゴナイト)を層状に積み重ねる事が原因です。
最も古い真珠の使用例は、紀元前2500年ごろの古代メソポタミアやエジプトに遡ります。エジプトのクレオパトラが真珠を使用していたという伝説があります。彼女は、古代ローマの将軍マルクス・アントニウスを驚かせるために、大きな真珠をワインビネガーに溶かし飲み干したとされています(酸でカルシウム炭酸塩が溶けたのでしょうね)。当時の真珠は小国1つを買えるほどの価値があったため、もし実話であれば、アントニウスはさぞ驚いたことでしょうね。
また、古代ローマでも真珠は権力者や貴族に非常に人気があり、その希少性と美しさから、地位や富の象徴とされました。
インドでも真珠は宗教的儀式や装飾品として使用されてきました。ヒンズー教の文献では、真珠は神々からの贈り物とされ、浄化や守護の力があると信じられていました。中国でも紀元前2000年ごろから真珠が使用されており、皇帝や貴族の装飾品として珍重されました。
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