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研究のトレンド

研究者の多い人気の研究テーマも、いつかは下火になり、ニッチな分野になる。ときには研究の存在自体が忘れ去られてしまうこともあります。
流行が去る理由は様々です。

・研究が成熟・実用化され、やることがなくなった。
・既存の技術に取って代わる新たな技術が登場し、分野自体が変わってしまった。
・研究が長期間行き詰まり、みんな手を引いてしまった。

新技術の登場はあらゆるものを一変させることがあり、目の当りにすると衝撃を受けます。
一方で、流行する理由にもいろいろあります。

・多くの人を悩ませる喫緊の課題がある(例:病気の治療、大気汚染の解決)。
・国や自治体が研究費を出すプロジェクトの影響(全てではないです)
・常識を覆す新物質・生物が発見された。

他にもありますが、国が研究費を出すプロジェクトというのは影響が大きく、国が積極的に推進することで盛んになったり、その成果を受けて多くの企業・大学がさらなる研究に乗り出したりと、いろいろなケースがあります。中には、日本のプロジェクトの成果を見た他国が、同様のプロジェクトをスタートさせることもあります。
国家プロジェクトには多くの優秀な研究者が集まり、設定した目標を上回る優れた成果を残すケースが多いです。成果報告会を聞きに行くと勉強になる上、関わった研究者の熱意に刺激を受けます。

毎年、大きな規模の学会で生の情報に触れていれば、どんな研究が流行しているのか大体掴むことが出来ます。
人気の研究テーマは発表件数が多く、発表会場は満席 or 立ち見の人で溢れます。
一方、人気の無い研究テーマは発表件数が片手で数えるほどしかなく、会場は発表者と座長+聞く人が2,3人という寂しい感じになります...。
しかし、青色LEDの窒化ガリウムのように、ほとんどの人が見向きもしない研究が大化けすることもあります。
他には、論文の件数ですね。論文が多く出されている研究テーマはトレンドと考えられます。

研究の流行が大きく移り変わる様子は時に面白く、そして悲しくもあります。
ここからは、個人的に興味深いと思ったものをご紹介します。
僕の専門分野であるゲル、そして電池、電子ペーパーなどに触れていきます。

刺激応答性ゲル

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