温室効果ガスの種類と発生源 ~カーボンニュートラルを実現するための課題とは?~
(前半無料)
温室効果ガスで有名なのは二酸化炭素ですね。
では、二酸化炭素以外はどうでしょうか?
以下のグラフを見て下さい。
温室効果ガスについて、よく引き合いに出されるグラフの一つです。
こうしてみると圧倒的に二酸化炭素が多いですね。
このグラフは人為起源ですが、畜産による二酸化炭素とメタンガス発生を人為的と捉えるかどうかは意見の分かれるところです。
そして、もう一つ考えたいのが、各ガスの地球温暖化係数です。
メタンや一酸化二窒素は、人為的な排出量こそ少ないものの、二酸化炭素と比べて桁違いの地球温暖化係数です。
しかし、地球温暖化に最も大きな影響を与えているのは二酸化炭素です。
以下のグラフを見て下さい。
左上のグラフが示す、二酸化炭素の大気中濃度が突出して大きく、加速度的に上昇しています。
一見、メタンと一酸化二窒素も同じくらい上昇しているようにみえますが、単位が違います。メタンと一酸化二窒素はppbなのに対し、二酸化炭素はその1,000倍のppmです。
二酸化炭素は石炭を用いた火力発電や自動車の排気ガス、工場の排気など、化石燃料の燃焼がもっとも多く、焼畑農業も原因の一つとなっています。
日本で最も二酸化炭素を排出しているのは石炭火力発電所です。
とういうより、他の先進国も似たようなものです。
以前よりクリーンになったものの、火力発電の排出量が最も多いことに変わりはありません。
原子力発電所の再稼働が増えてきましたが、だからと言って火力発電をすぐになくすことは出来ません。
どの国にとっても、エネルギーを安価に安定供給することは何よりも大切なことだからです。
一時の感情論や思いだけでなくそうとするのは危険なことです。
ちなみに、排出量は少ないものの、地球温暖化係数の高い亜酸化窒素や一酸化二窒素も温暖化に影響しています。
化石燃料からも出ていることが分かります。
そう簡単に変えられませんが、化石燃料や、石油由来の材料使用を削減することが必要だと考えられます。
難しいのが、日本は石油化学の強い国で、産業の中心の一つを担っています(日本に限った話ではありませんが…)。
もちろん、石油化学工業を維持するにはそれなりに大きなエネルギーが必要です。
二酸化炭素削減を目指すにあたり、どういう過程を経て低炭素社会を目指すのか、グランドプランなしに進めることはできません。
全体として炭素排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するためにどうするのか、国はもっと情報発信をした方が良いと思います(HPでは発信しています)。
マスコミも政府批判ばかりしていないで、意味のある情報を流し、一人ひとりが考え、行動できるように努めて欲しいですね。
*各企業は様々な取り組みを数十年前からしており、実際に日本の製造業の二酸化炭素排出量は2016年度で約10%減少しています(1990年比, 環境省・温室効果ガス排出・吸収目録より)。
環境省のHPでは様々なプランがざっくりと示されていますが、肝心のエネルギーの安価かつ安定供給が抜けています。
そこが無いと、全て絵空事になってしまいます。
現状では、脱炭素社会は不可能に近いです。拙速に理想だけを追求するのはいかがなものかと思います。
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