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ハンドジェル・化粧品に使われる高分子「カルボマー」とは?
カルボマー、聞き慣れない物質ですが、ハンドジェルや化粧品の原料としてよく使われています。
カルボマーとはカルボキシビニルポリマーの略です。
そして、カルボキシビニルポリマーは、カルボン酸を持つビニルポリマーの総称です。
具体的には、アクリル酸系の高分子が多いです。
写真のような細かい粉末です。
すぐに舞い上がるため、取り扱うときは息を吹きかけないように、吸い込まないように注意する必要があります。
水に溶かすときは、70℃以上の熱湯に溶かします。
水溶液の濃度は1~2%が目安です。
2%が限界ですね。
今回は2%の水溶液を作りました。トロトロした水溶液になります。
*120mlの熱湯に2,4gのカルボマーを溶かしました。
2%はちょっと溶かし難いので、1~1.5%くらいが丁度良いと思います。
粒が細かいので熱湯に入れるとすぐにカタマリ(継子状態)になり、厄介なんです。
カルボマーはアルコールにも溶けます。
約20mlの2%水溶液に...
60mlのイソプロピルアルコール(IPA)を加えて混ぜます。
濁ることはなく、綺麗に混ざります。
水に溶ける高分子はアルコールには溶けないことが多いんですが、カルボマーは水にもアルコールにも溶けます。
だからハンドジェルに使われるんです。
続いて、2%の水溶液(100~150ml)に重曹を少量(3,4つまみ)加えて混ぜてみます。
すると、すぐに粘性が上昇し、ゲル化します。
カルボマーの水溶液は弱酸性なので、弱アルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)を加えると中和反応が起きます。
すると、以下の図のように変化します。
水溶液が酸性から中性になると、カルボマーに付いているカルボン酸が解離します。すると、カルボン酸どうしの静電反発によって分子鎖が広がり、ネットワークができます。
こうしてカルボマーはゲル化します。
*カルボン酸を持つ高分子の中には、酸性条件でゲル化するものもあります。
カルボマーはチキソトロピー性を持つため、ゲル化したものや水溶液は、何もしていないと流動性がなくなります。
一方、力を加えるとゲル状態が崩れて流動性が出てきます。
ジャムやマヨネーズ、ケチャップのようになるんです。
(水溶液でも、力を加えていないとゲルのような状態になります。厳密には少し流動性があります。)
化粧品やハンドジェルを指や掌でスムーズに塗り広げることが出来るのは、チキソトロピー性のおかげなんですね。
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