高吸水性樹脂の仕組み
紙おむつなどに使われ、自重の100倍以上の水を吸収して膨らむ樹脂、ポリアクリル酸ナトリウム。その樹脂について、以下の記事でご紹介しました。
今回は、どうして多量の水を短時間で吸収するのか、その仕組みについてお話します。
ポリアクリル酸ナトリウムは親水性のカルボキシル基を多量に持ち、高い保水性の源になっています。
樹脂が水に濡れると、負の電荷を持つカルボン酸どうしの静電反発で網目が広がり、水が樹脂の中に入ってきます。
さらに、カルボキシル基の水素がナトリウムに置き換えられている事で、吸水性を高めています。ゲルの中のナトリウムイオン濃度は、ゲルの外の水(溶媒)よりも高くなっています。そのため、ナトリムイオン(陽イオン)の濃度差を無くそうと、水がゲルの中に入っていきます。こうして、ポリアクリル酸ナトリウムは多くの水を吸収します。要するに、浸透圧が発生しているんですね。
静電反発と浸透圧の二つの効果が働いています。
ゲル外部のナトリウムイオン(陽イオン)濃度がゲル内部と同じだと、ゲルはあまり水を吸収しません。逆に、ゲル外部の陽イオン濃度が高ければ、水はゲルの中から出ていきます。例えば、吸水したゲルを食塩水の中に浸けると、ゲルは収縮します。イオンを持っているゲルは、水(溶媒)のイオン濃度に大きく影響されます。ポリアクリル酸ナトリウムは、この性質を上手く利用しているんですね。
いいなと思ったら応援しよう!
読んでいただけるだけでも嬉しいです。もしご支援頂いた場合は、研究費に使わせて頂きます。