温度応答性ゲルを使った除湿システム
昨年の記事ですが、温度応答性ゲルを除湿に応用する研究成果が発表されています。
関西大学の宮田研究室とシャープの共同研究によるものです。
使われているのは、32℃を境に親水性・疎水性が変化するN-イソプロピルアクリルアミドゲルです。
32℃未満で親水性となって吸水し、32℃以上で疎水性となって水を排出する特徴を除湿に利用しようという研究です。
しかし、乾燥状態のゲルはあまり吸湿しません。
そのため、以前からアイデアはあったのですが、殆ど検討されたことがありませんでした。
この研究はN-イソプロピルアクリルアミドゲルとアルギン酸を混合しています。親水性高分子のアルギン酸が吸湿を上手く補助しているようです。二つの高分子が絡み合った構造も関係しているかもしれません。
従来の除湿材料(ゼオライト、シリカゲルなど)は、吸湿後に高温で乾燥させる必要がありましたが、温度応答性ゲルを使えば低温(50℃以下)で吸収した水をリリースさせることが出来ます。
以下は、前述の記事にあった除湿システムの図です。
効率良く吸湿・乾燥させるためには、ゲルの形状などを工夫する必要があると思いますが、機能性ゲルで著名な宮田先生の研究なので、その辺りは問題ないでしょう。
おそらく、ゲルを多孔質にすることでより吸湿し易くしていると推測されます。
僕がいま研究している新しい温度応答性ゲル(40℃付近で変化)はどうなのか、今後試してみたいですね。
温度応答性ゲルについては、以前の記事を参照下さい。
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