アルマ望遠鏡の挑戦

アルマ望遠鏡と宇宙観測


アルマ望遠鏡は、南米チリの標高5,000mの地にある巨大な望遠鏡です。
2011年に観測開始したこの望遠鏡は、日本を含む22の国と地域が協力して運用しています。
アルマ望遠鏡は、一つではありません。
なんと、66台の巨大なアンテナがあり、それを一つの巨大な望遠鏡のように機能させているんです。
そのため、直径16kmのアンテナと同等以上の解像度を誇ります。

アルマ望遠鏡(三菱電機HP : http://www.mitsubishielectric.co.jp/society/space/telescope/alma.html)

宇宙を観測する望遠鏡と言えば、ハッブル宇宙望遠鏡を思い浮かべる人が多いと思います。

ハッブル宇宙望遠鏡(Wikipedia)

1990年にスペースシャトル・ディスカバリー号によって打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は、今も現役です。
打ち上げ当初は不具合によって分解能が大幅に低下するトラブルがありました。しかし、そんな状態でも地上の望遠鏡より高い分解能を誇りました。
さすがは宇宙望遠鏡と言ったところでしょうか。

他には、ハワイにある「すばる望遠鏡」も有名ですね。
こちらは、1999年から観測を開始しています。

国立天文台ハワイ観測所すばる望遠鏡(左側、Wikipedia)

日本の国立天文台が運用しているので、ご存じの方も多いと思います。
ハワイのマウナケア山頂にあります(標高4,205m)。

ハッブル、すばる共に、可視光と赤外光を使って観測を行っています。
対して、アルマ望遠鏡はミリ波・サブミリ波を使うため、より高い精度の観測が可能なんです。
可視光と赤外光では見えない物質も観測できます
現時点で、世界一の分解能と感度を誇ります。
もちろん、ハッブル、すばるの両望遠鏡も欠かせない存在で、アルマ望遠鏡と共に宇宙観測の中心になって活躍しています。

実は、アルマ望遠鏡の正式名称はアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計と言います。
英語ではAtacama Large Millimeter/submillimeter Array 
この頭文字を取ってALMA=アルマ望遠鏡と呼ぶわけです

宇宙は、今から138億年前に誕生したと考えられています。
そして、アルマ望遠鏡は130億光年以上も遠くにある天体の放った電波を捉えることができます
つまり、アルマ望遠鏡によって、最初の銀河がどのようなものだったのか、その大きさや形成過程などを解明することが期待されています。
また、私たちの居る太陽系が属している天の川銀河がどのようにして誕生したのか、その謎も解明できるかもしれません。

2021年で観測開始10周年を迎えたアルマ望遠鏡は、大きな謎に挑戦をしているんです。

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