【書籍レビュー①】新卒採用力が会社の未来を決める!/小山昇
新卒採用力が会社の未来を決める!/小山昇
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▽おススメ…「中小企業の」会社経営者の方、採用経験の浅い方、採用に理解のない経営陣を説得したい方
▽難易度…★★☆☆☆(採用1・2年目レベル)
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2017年出版、採用手法としてはちょっと古いのであまり参考にできない箇所もあるかと思いますが…
「なぜ新卒採用が重要なのか」について、中小企業の経営の観点から書かれた本なので、第1章を読むだけでも面白いかと思います!
労働人口の減少により、今後企業が生き残っていくため、他社との差別化は人材ではかる時代です。いかに優れた商品やサービスを持っているかではなく、いかにして働く人材を確保するか。 その手段として中途採用ではなく、定期的な「新卒採用」が重要です。
ということが主題となりますので、私のような採用初心者の理解を深めるのにも役立つ本かと思われます。
著者は、株式会社武蔵野という会社の代表取締役である小山昇氏(出版当時は従業員220名規模 *2021年現在800名)
自らの経験を元に、「新卒採用の重要さ」「母集団形成」「選考・面接」「内定辞退を防ぐフォローアップ」という流れで完結にまとめられています。
採用にあまり関わろうとしない社長、事業部長などの意識改革をさせるにも良い話がそろっているかなと思いますので、今回は「新卒採用の重要さ」について、印象に残ったお話を3点まとめていきます。
〇新卒採用を続けると「組織に変化する力がつく」
新卒採用といえば…人事の皆さんはよくご理解の通り、長引く採用活動期間。一人当たりの採用コストは百数万…。入社日まで内定辞退に怯えながらフォローを続ける日々…と苦労やコストは絶えません…。
それなのに、採用した新卒ちゃんが会社に利益をもたらすようになるのは早くて3年?? いやいや、3年以内に辞める新卒が3割もいるのに…?? そんなじれったいっことをするのなら、手っ取り早く経験のある中途社員を採用した方がよいのでは。新卒採用は割に合わない…。なんて考えたくなる気持ちもありますよね。
しかし、毎年どこの会社も優秀な新卒を採用しようと躍起になっているのはなぜでしょうか、と著者は問いかけます。
毎年新卒を採用し、組織の新陳代謝を促すことが会社の業績を伸ばす上で必要不可欠。会社の成長の源泉は新卒採用にあり。新卒採用は負債ではなく投資なのです。
◆新卒採用は効率のいい「投資」である
新卒は何にも染まっていない。だから自社の文化や価値観、仕事のやり方を速やかに体得させることができる。⇒中小企業は一体感とスピードを持って仕事に当たることが重要。新卒採用は、経営者の示す方向を素直に共有し、そして即座に行動できる人材を増やすことに他ならない。
中途採用は確かに即戦力にはなるが、自社の文化になじませ、価値観を共有させるのに時間を要する…。前の会社の経験が仇となり、新しい風を受け入れることに消極的。消極的ならまだしも、時には抵抗勢力にもなりうる・・・。
こちらの件については、まさに前職で痛感しました…。
特に困ったのが、せっかく社風を打ち出して同じ価値観を持つ新卒の子たちを採用できたのに、入社数か月で、先輩の中途社員から全く違う印象を受けてしまい、入社前に聞いていた社風と違う…!(リクルーターとして会ってもらっていたのも新卒の社員だったため…)というトラブルはよく起こっていました・・・。
中途の先輩社員たちは、残念なことに「同業他社での経験」があったから採用された方ばかりで、「前職ではこうだった」とか我流を貫ける環境でした…。やっぱり採用って、中途であっても「社風理解」「ビジョン共感」ってすごく重要ですよね…というのを痛感したものです…。
◆新卒社員の存在は、先輩社員のやる気とポテンシャルを引き出す
経営者は、社員満足に常に細心の注意を払うべき。社員が現状に満足していなければお客様満足向上の努力などはせず、その努力をしなければ業績は決して伸びません。
新入社員が入るとよほどひねくれた社員ではない限り「できる先輩」と思われたい!と考えるはず。そうして既存社員のマインドセットを行うという魂胆ですね(笑)
私も後輩指導や若手社員の人事面談の際によく使う手段です。誰かに教えることによって、理解が進みますからね。新卒の教育係にはベテラン社員よりも2.3年目の歳の近い社員の方が、新入社員にとっても、その若手社員にとっても成長の相乗効果が見込めます。
そのため、本書の中では採用担当の方にはプレッシャーになることが書かれています( ;∀;)
「ひとたび新卒採用を始めたら無理をしてでも毎年採らなければいけない」
確かに後輩が入らない=自分がずっと下っ端というのもよくないですしね…。若手の子たちは結構単純なもので後輩ができただけで心境が変わるものです。
◆新卒採用は「優秀な人よりも気の合う人」を
学歴や成績ではなく、自社の社風や価値観に合う学生を採用する=辞めそうにない人を採用する。なぜなら、採用して終わりではなく「定着」が重要だからです。そのために、採用の段階で自社の現場・現実を数多く体験させ、良いところ・悪いところを洗いざらい見せる。
そうすることで、入社後のギャップをなくして早期離職を減らすというわけですね。
そもそもこの考え方は、優秀な人材は大手に採られてしまうので、中小企業がいくら頑張ってもそれは難しい。それならば、優秀な学生の採用は潔く諦めて、せめて気の合う学生を採用しよう。というロジックから来ていますが、ほんとに潔い考え方だなと感心しました(笑)
ましてや、なにかの奇跡で優秀な学生がエントリーしてきても、涙を飲んでお断りすべきだと。要はその優秀な学生を育てる力が自社にあるのか、ということですね。
このことは、まさに自社も痛感していることがあります。うちに優秀なプログラマーが入っても、その力を発揮させられるだけの案件があるのか…。その方が将来的に満足するような待遇を用意できるのか…。
当たり前のように、育てやすいからという理由で「プログラミングの勉強をしている理系学生」をターゲットにするのではなく、本当に必要な人材ターゲットなのかを考えないといけません…。現状を鑑みたら、文系を採用して育てる方向でも問題ないのではないか…など。。。
また、ここも自社の課題のひとつなんですが…「気の合う人を」となった場合、価値観や社風というものが確立していないと判断ができません。中小企業は社長との距離が近い分、やはり社長の個性や考え方に共感をしてもらう必要があるんですよね。
しかし、うちの社長はシャイなので人前で話すのも好きではないし、語りたがらない…。なので、採用担当のわたしが「うちの社長はね、、、」と補足をするスタイルでやってみるしかないんですよね( ;∀;) なので社長のエピソードを語れるように、会社説明資料に「うちの社長はこんな人ページ」を作ろうと思い立ちました(笑)
以上3点が今回改めて、採用活動について考えさせられた点になります。
その他、著書にある採用手法的なところでいうと、株式会社武蔵野の合説や面接の内容なども具体的に書かれており、参考になるかと思います。
ただ、こちらの企業は恐らく体育会系の企業。著者も散々語られておりますが、この本を読んですぐ自社の採用活動に活かせるかと言われたらそうではないと思います。
しかし、普段他の企業がどのように採用活動を行っているかなど、詳しく知る機会はほぼないと思いますので、そういった意味では、比較対象としてとても勉強になると思います!
例えば…、著書の中にあった「面接では就活生を平等に扱うため、笑顔も相槌もせずにひたすら一問一答のように質問していくスタイル」というやり方にはびっくりしました(笑) 著者も述べていますが、会社によって求める人物像が異なり、その価値観を見極めるために、どんな手法を取るべきか、面接でどんな質問をすべきかは、必然と変わってきます。
改めて、自社の求める人物像とは…。自社の価値観とは…。しっかりここを理解しないことには、採用の組み立てはできないなと考えさせられました!
※現在、kindle unlimited会員なら無料で読めますので、良かったら♪
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