治療のパターン化は本当に悪なのか?
こんにちは木城です。
今回は治療のパターン化について僕の意見を書いていきたいと思います。
大御所の先生のセミナーに行くと
「人の体はそれぞれ違うんだから個別性をみないとダメだ!」
「パターン化は悪!」
みたいな話をよく聞きます。
でもこの「パターン化=悪」の風潮には、メリットもあればデメリットもあるので、今回はこの辺をお話しして行きたいと思います。
結論、僕は治療のパターン化はある程度必要と考えています。
それは、パターン化することで救える人の人数が増えるからです。
パターン化の最大のメリットっていうのは、時短です。
評価の重複しているところを省くことで、治療全体にかかる時間を短縮できます。
病院だったら評価を短縮して余った時間をさらに治療時間に当てることもできるし、自営の店であれば治療する人数を増やすこともできます。
ここからは僕の店の例なのですが、僕の店は独立して半年ぐらいは2時間おきに枠を設けて予約をとっていました。
・9時の枠
・11時の枠
・13時の枠
って感じですね。
これは治療に90分前後かかっていたので、準備やお客さんの入れ替わりの時間を考慮して2時間おきにしていました。
なのですが、毎日お客さんを見続けているうちに、治療の法則性、いわゆるパターンですね、これがなんとなくわかってきました。
もちろん全員が全員そのパターンでうまく行くわけじゃないですけど、7〜8割ぐらい同じような評価結果が得られるなって思う部分が出てきました。
なので、ここを短縮することにしました。
そうすることで、今は治療を60分前後で終われるようになったので、2時間おきだった枠を、90分おきにすることができるようになりました。
・8時半の枠
・10時の枠
・11時半の枠
って感じですね。
そうすると何がいいかというと、前まで1日6人しか見れなかったところが、1日8人見れるようになりました。
今までだったら救えなかった人を、1日あたり2人も多く救える可能性が出てきました。
結果、僕のお店の売り上げも増えました。
これって悪ですかね?こういう話をすると、
「そのパターンに当てはまらなかった人もいるだろ!」
って意見が必ずあると思います。
これには2つ言いたいことがあります。
1つは、例えばパターン化しなければ10人中9人の人を治せたとします。
パターン化することによって、10人中7人しか良くできなくなったとします。
これは仮にですよ、7人しか治せなくてもいいって言ってるわけじゃないし、実際僕はやり方さえ工夫すれば施術の成績がそんなに下がるとも思ってません。
続けます。
仮に
①10人中9人良くできる人が1日6人施術した場合と、
②10人中7人良くできる人が1日8人施術した場合
どっちが多くの人を救えているか計算してみてください。
1ヶ月に22日稼働した場合
①6人×0.9×22日=約118人
②8人×0.7×22日=約123人
年間だと
①118人×12=1416人
②123人×12=1476人
つまりパターン化で単純に施術成績が下がったとしても、救える人の数は増えているんです。
そしてこのパターン化により施術成績が下がるというのは、工夫して対策すれば防げます。
この対策は2点あります。
・パターンが当てはまらないことになるべく早く気づくための策を用意しておくこと
・パターンが当てはまらない条件を始めから知っておくこと
これをしておけば、
「はい、これは例外パターンだから通常時短のために省いていた評価もしっかりやりましょう!」
という風に転換できるので施術成績もそれほど下がりません。
これをうちの店では徹底しています。
で、ここからはもう少し話を広げていって、社会全体を見たときにどうなんだという視点で話していきたいと思います。
「パターン化=悪」とされている大御所の先生方が凄い技術を持っていたとして、これを他の後輩や若手のPTさんに伝えることができますか?
個別性を追求することはもちろん大切なんですけど、追求しすぎると再現性が下がって他のセラピストに伝えることができません。
また僕の身近であった例をお話しします。
2年ぐらい前に「シンスプリントの治し方」というプチセミナーみたいなのを身内のPTさんを数人呼んで行いました。
内容は、「筋膜調整でシンスプリントの方を治す」というものだったんですけど、これが終わってわりとすぐ受講生から連絡がきて
「今まで治らなかったシンスプリントの人が治りました!」って喜びの報告がありました。
教えたのは完全にシンスプリントの人に特化した施術パターンです。
多分これだと7〜8割の人しか治せないかもしれません。
でも個別性をみて、10人中限りなく10人に近いレベルで治せる方法を教えようと思ったら、それこそ1日なんかじゃとても無理で、筋膜の公式のコースに何回も出たり何年も修行をしないと厳しいです。
でもここまで探求できる人って何人いますかね?
こういう人を育てるクラスは絶対必要だし、実際僕もコースに何回何回も行きました。でもそうじゃない人だっているわけです。
そこまで仕事に対して時間もお金もかけれないけど
「でも今担当しているシンスプリントの人をなんとか治したい!」
そんな人のために7〜8割の人が治るパターンを教えることが間違っていますかね?
実際シンスプリントの方も治って喜んでくれるわけだし、断片的で完全ではないパターンであったとしても、それを知る人が増えることで、日本のシンスプリントで悔しい思いをしているランナーさんを今よりは多く救うことができるわけじゃないですか。
社会的にみてもその方が有益なんじゃないでしょうか。
僕は個別性をみることは大事だと思っていますし、いちセラピストとしては僕も常にそうありたいと思って努力もしています。
でも「個別性をみることが正義」「パターン化は悪!」
みたいに頭ごなしに否定するのはどうかと思うし、結果的に救える人をの数を減らしてしまうことにつながるのではないかと思っています。
長くなってしまいましたが、なので僕の結論としては、
「適度なパターン化は業界的にも必要」ということです。
以上終わりです。