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【エッセイ】たからもの

 自分は小さな頃から『想像で遊ぶ』ことが得意でした。

『想像する女の子』といえば、小説『赤毛のアン』を思い出す方もいらっしゃるでしょう。時には想像が暴走して、ちょっとした事件を引き起こしてしまうアンですが、彼女は明るく前向きで友達も多い、基本『愛されキャラ』。

 私の場合、仲のいい友達が少ないことも理由の1つだったんですよね(苦笑い)

 だからなのか…私は、想像の中で作り出した妖精と会話をしていた時期もありました。

 小説垢で仲良くして頂いているnoterさんに打ち明けたところ、「それは『イマジナリーフレンド』だと思いますよ」とのこと。

 イマジナリーフレンドとは、心理学、精神医学における現象の1つ。『想像上の仲間』や『空想の遊び友達』などと訳されることが多い。子供の心を支える仲間として機能する(Wikipediaから一部抜粋)

 Wikipediaを見て「なるほどな~」と思いました。

 まあ、これはこれでいい思い出です("⌒∇⌒")

 そんな私は、もう1つ信じていることがありました。ちなみにサンタクロースではありません。母親は私が幼稚園児だった頃から、ダイレクトにプレゼントを渡していたので、サンタを信じる『隙』を与えてくれませんでしたから(笑)

答えはこの植物↓です。

不法侵入による撮影ではありません(笑)

『アツバキミガヨラン(厚葉君が代蘭)』という名前で、学名ユッカ・グロサリオとのことです。このエッセイを書くにあたって必死に調べました。

 検索欄に『白い釣り鐘型の花』とか『尖った固い葉』などのワードを、思い付くままに入れて、やっと正式名にたどり着くことができました。

 知らんかったぁ。そんな名前だったのね( ̄~ ̄;)

 自分、心の中でずっと『たからものの花』って呼んでいましたから。

 そうなんですよ。サンタクロースは信じていなかったクセに、あの白い袋状の花一つひとつの中に、色とりどりの宝石が入っていると、私は信じていました。

 きっかけは覚えていません。でも登下校中、その花を見かける度に、私は白い花びらが包んでいるであろう宝石の色や形を想像していたことはしっかりと記憶に残っています。

 『たからものの花』ことアツバキミガヨランが花を咲かせていたのは、社宅の中にある某施設でした。

 本当はもっと近くで見て、そして触ってみたいけれど、用事のない子供が入ったら不法侵入扱いされてしまいます。更に他の子に『不法侵入現場』を見られた日には「や~い!先生に言ってやろ~」と言われてしまうことでしょう。

 しかし私は、ある日(確か小学2年生の頃)、とうとうタブーを犯してしまいました。

『花の中身を確認するぞ!!』と

 周りに誰もいないことを確認し、私はダッシュで入り口を突破。1つの花をむんずと掴み取ると、再びダッシュで施設をあとにしました。(はい、反省しております)

「…………」

 手の届かない場所に咲いていた花が、今は自分の手のひらに…。私はドキドキしながらそれを見つめました。
 
 (……軽い)

 確かこれ↑が率直な感想だったハズ…。重量感によって既に答えは出ていましたが、最後の悪あがきとして、私は花びらを全部むしり取ることに……。

「…………」

 はい、もちろん空っぽです。

 かなりのショックを受けたことを覚えているので、心から信じていたのでしょうね。その日を境にアツバキミガヨランは、『たからものの花』から『ただの花』に降格してしまいました。

 だから思うんですよ。

 あの時、踏み込まなければ、色とりどりの宝石は、もうしばらく『存在』していたんだろうな……って。

 宝石を消したのは自分なんでしょうね。

 そして52歳である現在。

 私はアツバキミガヨランが咲いている道を、毎朝車で通っています。

 白い花を見る度に、子供だった頃の自分を「変な子だったなー」って思う私。しかし子供時代の想像は、現在いまの創作に役立っていると思います。

 そんなワケで『ただの花』になったアツバキミガヨランですが、現在の私にとってはある意味『特別な花』なのかもしれません😌

 
《あとがき》

 絵本垢は、これが今年最後の投稿になります。この垢を始めた時には「エッセイ垢と小説垢があるし、そんなアクティブな垢にならないだろうな」なんて思っていましたが、ウミネコ文庫さまの企画で『ばくら』を書いたのをきっかけに、たくさんの方と交流することができました。嬉しい誤算にびっくりしております。関わってくれた皆さま、本当にありがとうございました。

 また来年もよろしくお願いいたしますm(__)m 

    2023.12.23   鈴木カツラ

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