スイス・ドイツ漫遊記 3日目 シャモニー~ツェルマット
財布をすられて意気消沈する暇もなく、ツアーは淡々と続きます。今日も強行軍。スイスの地理をざっくり言うと、スイスとイタリアの国境に有名な山々が並んでいます。左端にモンブラン、真ん中あたりにマッターホルン、そして右端にサンモリッツが並びます。昨日のユングフラウは国境の山々ではなく少し内陸部に入ったところにあります。詳しくはネットで地図をご参照あれ。
本日は、内陸部のインターラーケンからスイスの左端を越えてフランスのシャモニーという街まで行き、そこからロープウエイでモンブランまで行きます。そして今宵の宿はまたスイスに戻ってツェルマット。マッターホルンのお膝元。クラクラする工程です。朝食は7時、添乗員K藤さんの8時にはバスが出ますよの掛け声で、昨日と同様急いで朝食を掻き込みます。シャモニーまでの道のりは233km。ほぼ神戸から名古屋です。インターラーケンから貸し切り高速バスに乗ること3時間。
スイスの首都ベルンを通ってレマン湖の端をかすめて一気にフランスまで走り抜けます。この辺は半分寝ていたので記述は雑です。
国境はどうなるのかなと思っていたのですが、関所のような建物はあるものの稼働している気配はなく、そのまま通過。国境ほぼはないに等しくスルーして、あっさりフランスに入ります。この旅3か国目です。
まずは昼食。スキー場としても有名なシャモニー、ログハウス調の食堂に入ります。
ツアーなのでメニューは決まっています。どんな料理が出てくるか楽しみにしていたら、鱈のような白身の特大ソテーが出てきました。何故に山の中で魚……と思いながら味見してみましたが、やはり魚の扱いが日本とは違い何というか残念でした。2-3口でごめんなさいです。
皆も食べているのかいじっているだけなのか、お皿の魚は減った気配はありません。食後に巨大なティラミスが出てきました。これは激甘!
食べ終わったところでバスに乗って街中へ。エギーユ・デュ・ミディ展望台へのロープウェイ乗り場に移動です。山に囲まれたスキーリゾートのシャモニーは落ち着いた佇まいの中にも高級な香りのするしっとりとした街です。気のせいか街行く人々も裕福そうです。でも、昨日のことがあるのでショルダーバッグのファスナには安全ピンを装着。ロープウェイ乗り場はかなりの広さでした。
写真の右上にある小さい白っぽい山の頂上、ルーペで見ると小さい突起があるのですが、そこが目的の展望台です。まずは一つ目のとんでもなく長いロープウエイに乗り込みます。眼下にシャモニーの街。そしてそのすぐ山側には氷河が迫っています。こんな街の近くにまで氷河が来ていると驚いていたら、これでも温暖化で氷河が短くなった方だとのことです。
その後、2つ目のロープウエイに乗り換えて、エギーユ・デュ・ミディ展望台(3842m)に到着。寒いです。今度は富士山越えです。
高山病予防のダイアモックスを飲んでいるとはいえ流石にクラクラします。しかし、昨日のユングフラウもそうですが、よくこんな所に展望台を作ったものだと感心です。さて、お目当てのモンブランはと言いますと、これがまた極めて判りにくい。添乗員K藤さんにあれですと言われても山だらけで判りません。4000m級の山がゴロゴロあるのです。黒っぽい尖った山の右奥のなだらかな山がモンブラン(4807m)です。
正直なところ、これといって感動するほどのものではありませんでした。ふむふむこれがモンブランか、といった具合です。展望台自体も小さく、ぐるっと回って終わり。
ただ、展望台の端に足元丸見えのガラス張りの箱があり、そこで写真が撮れるとのこと。しかしそこには厳しいルールが。そりゃそうです。万が一割れると大惨事。大きめのスリッパを靴の上から履いて、落とすとガラスに傷が入るのでカバンやスマホも棚に置いて、写真はスタッフが撮ってくれるというシステムです。そして、いざガラスの上に立ってみると……ん? あまり怖くない。あたり一面真っ白なので距離感が馬鹿になっているのです。怖さ半減。明石海峡大橋のガラス廊下の方が100倍怖いです。展望台自体は狭いので、一通り回って20分もあればお釣りが来ます。
ロープウエイに乗って下山して、トイレ休憩は5分ですと告げられました。すなわち、お土産買うならこの5分だけという意味です。急いでロープウエイ乗り場併設の土産物店に駆け込みます。モンブランなので所狭しと万年筆が売られています。ベタですね。それは日本でも買えるのでスルー。Tシャツ売り場に行きます。4000円ほどのかわいいTシャツ発見。急いでレジに向かいますが、フランスなのでなんと値札が€。しまった、スイスフランしか持ち合わせがない。ということでカード支払いをしようとするも、なんとAMEXは不可とのこと。JCBに至っては、なにそれ食えるの? といった反応でした。
後でわかったことですが、スイス界隈ではAMEXが使えない店が割と多いのです。小さい店はVISAかMaster限定で、大きめのスーパーならAMEXはタッチ決済限定で使えますという程度です。JCBはほぼ全滅。そんなわけで、泣く泣くTシャツは諦めてバスに乗り込みます。
今宵の宿はツェルマット。まずはバスに乗ってツェルマット麓のテーシュまで行きます。143㎞という神戸~舞鶴間の距離をひた走り、暗くなったころにテーシュ到着です。
余談ですが、ヨーロッパではトイレは基本的に有料なのです。ドライブインで停まってトイレに行くとゲートがあって、1スイスフランあるいは1€支払わないといけないのです。場所によってはその施設だけで使える50セントのバウチャーがもらえるところもありますが、それを使うと却って高くついたりします。なので、無料のトイレは貴重なのです。しかしながら街道沿いの無料のトイレは厳しいところもありまして、監獄のような入り口に便座のないトイレという所もあります。どちらを選ぶかは、あなた次第。
ところで、何故ツェルマットまで行バスで行かないのか。それはですね、ツェルマットには化石燃料車は入れないのです。これは、きれいな空気を求めてのことで何十年も昔からの施策です。地球温暖化がヤイヤイ言われるずっと昔からの決まりです。したがって、バスはテーシュ止まりでそこから電車でツェルマットに向かいます。といっても一駅だけですが。
5分ほどのトンネルを抜けるとツェルマットの駅です。ツェルマットに着いたころにはもう薄暮。駅前広場には四角くて小さい電気自動車がそこかしこにあります。ずっと来たかったツェルマット、30年来の夢が叶いました。できればスキーの時期に来たかったのですが、それはそれとして人知れず目頭を熱くします。
流石に駅前は商業ビルが並んでいますが、少し離れるとこれぞスイスという木組みの建物が並んでおり、窓には赤やオレンジの花が競うように飾られております。ひとまず今宵の宿に荷物を運びこんでから夕食です。
夕食は少し離れたところにあるレストランです。ツェルマットの街を迷って歩いて行きつ戻りつ、全然違うホテルの敷地に足を踏み入れたりして漂うこと20分、ようやく着きました。レストランHornox。なぜホテル併設のレストランではなく他のレストランに行くのか謎ですが、たぶん安いのでしょう。
夕食のメインはコルドン・ブルーでございますと、給仕の人に自慢されましたが、何のことはない。ハムやチーズを挟んだヨーロッパ風のとんかつでした。
食べ終わったら9時半時過ぎ。土産物屋は閉まっています。明日も早いので、早期撤収早期就寝。
明日は、マッターホルンです。