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ぼる塾単独ライブ「マカロニサラダ」に行った

昔、合体前の「猫塾」がさんま御殿に出ていたことがあって、田辺さんの強烈な印象がずっと心に残っていた。数年後、2020年のアメトーーク「NEXTお笑い第七世代」で初めてぼる塾を見たとき、え、あのときの田辺さんがトリオに!?というところから妙にぼる塾が気になるようになり、それからYouTubeを見るようになったりTwitterを全員分フォローするようになったりですっかりファンになった。

お笑いライブは意外と告知が少ない。今回の「マカロニサラダ」も酒寄さんのTwitterから目ざとく発見した。チケットの買い方も検索しても出てこないので「おそらくこれは……神保町よしもと漫才劇場のページからか!」という名推理でチケットを購入できた。即完だったので本当に運が良かった。

ぼる塾の単独ライブのタイトルは毎回美味しくて太りそうな食べ物で名づけられている。昔、大学前の中華屋でチャーハンの付けあわせが中華スープとマカロニサラダだった。炭水化物を卵と油で和えたものが2品あるな、と毎回思っていた。店員のおばあさんが中華スープを運んでくるとき、いつも確実に指が浸かっていた。しかしチャーハンはとても美味しかった。思い出と食欲を刺激するとても良いライブのタイトルだと思った。

ライブの会場は神保町の劇場だった。ぼる塾がいつも漫才をしている劇場だが、自分が行くのは初めてだった。ライブ前、気運を高めようと思い、あんりが以前に美味しいといっていた神保町の炒飯屋に行った。ガーリックチャーハンを食べて口が臭い状態で行ってもぼる塾のライブなら許される気がした。(一応ガムを食べてマスクをしていたから大丈夫だとは思う。)

チケットにはC列と書かれていたので前の方じゃん!と喜んでいたのだが、感染対策なのかA列とB列は空席になっていて、実質最前列だった。着席すると会場にはBGMが流れている。開演時間の19時になると、BGMの音量が大きくなり、客席側の照明が消える。いよいよ登場、というこの演出はお笑いライブでは定番だが、毎回気持ちを最高まで高めてくれる。ステージの照明が点灯すると、左手からぼる塾の3人が登場した。会場は拍手に包まれる。ライブを盛り上げたいという観客の気持ちが感じられ、観客である自分まで嬉しくなる。

ライブは2本の漫才から始まった。1本目はいつも通りのフォーマット。生で見ていることに感動しつつ感じたのは、田辺さんは大きい。後で調べたら身長が167cmあるらしい。キャッツアイの格好をしているのも改めて面白く感じてしまう。続く2本目は楽屋の会話をそのまま台本にしたという漫才。途中、田辺さんとはるちゃんが同時に喋り始め、あんりが「同時に喋り始めんじゃねーよ」とツッコんだ。お笑いライブは、画面を通して見るのとさして変わらないときもあって、うーん、わざわざ外出してYouTube見に来たみたいだったな、という感想になってしまうことがある。しかし、おそらくアドリブであろうこのツッコミを聞いた瞬間、今日のこのライブは本当に見に来て良かったと感じた。

2本目の漫才を終えると、ステージ両脇のモニターに映像が流れた。裏で大道具の準備をしていて、幕間のショートムービーなのだろうと思っていたらムービーに続く形でコントが始まった。お笑いライブにはテレビとは違う演出がある。流れるようにムービーと実写が繋がり、明点したステージにカウボーイの格好をした田辺さんが鎮座していた瞬間、このライブで一番大きな声で笑ってしまった。

次に、酒寄さんとあんりの「配信があったらできないようなネタなんですけど」というフリがあって、田辺さんとはるちゃんがR-1に挑んだときのネタをそれぞれ披露した。ホワイトボードとともに登場した田辺さんは、東京のおいしいチーズケーキ屋さんを紹介し始め、チーズケーキの紹介だけでネタが終了した。これがお笑いかどうかは哲学的な話になってくるので割愛するが、紹介されたチーズケーキは絶対に食べたいと思った。途中、ペンを落とした田辺さんが「あらやだ」といいながら拾っていた姿が、思い出すだけで面白い。はるちゃんのネタは一人コントだった。コントに登場する「軽い男像」が微妙にずれていて、最後のトークで他のメンバーにツッコまれていた。なんとも不思議な2人のネタだったが、酒寄さんとあんりのフリとツッコミに包まれて優しく着地していた。

最後のネタは2本目のコントで、これも映像から繋がる形のものだった。2本目のコントには酒寄さんも参加していて、映像の中で謎の人物を演じる酒寄さんの口調は独特の雰囲気を醸していた。いつか酒寄さんが復帰して、知性ととっておきの飛び道具でぼる塾を最強のチームにしてくれる日が待ち遠しい。スラムダンクで言うところの三井寿である。

漫才中のアドリブ、2本のコント、ピンネタ、酒寄さんのコント出演と、足を運んで良かったと思える要素が充実していた素晴らしいライブだった。何より、YouTubeでいつも見ているぼる塾4人の会話が生で感じられたのが良かった。ライブが終わり、劇場の外でスマホの電源を入れると、頭の中で復唱し続けていた田辺さんお薦めのチーズケーキ屋の名前を急いでスマホにメモした。

最後のトークでは、次のライブの告知もしていた。次のトークライブは「いなりずし」というタイトルだそうだ。高校3年生のセンター試験のとき、母親に頼んで弁当はいなりずしとおやつにキットカットだった。最も無心でエネルギーを補給できる食べ物がいなりずしとキットカットだと当時の自分は考えたのだった。思い出と食欲を刺激するとても良いライブのタイトルだと思った。

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