アーティストとは何者か
私のギャラリー「gekilin.」では主に20代~30代の若手アーティストを取り扱っております。
よく聞かれる質問で「アートなんかやってて食っていけるの?」というものです。
単刀直入に言うと若手はアーティストとしてだけではほとんどが食べていけていません。別の職業に就いていたりアルバイトをしていたり、美術系の学校で講師や教授や助手として働いたりしている者も多くいます。
つまり働きながら仕事が終わった後や休みの日に作品を造り続けているのです。
「なんでそこまでして食っていけないことをやり続けているの?」
とこれも多く聞かれる質問です。
アーティストとは科学者や研究者と同じ存在だと考えています。
「現代アート」とは「現代を生きる者たちによる新しい美意識と価値観の追求と研究」です。つまりアーティストたちの造る作品とは研究結果発表であり研究論文と同じものです。
それは科学で言うところの「基礎研究」と同じものだと考えています。
「基礎研究」とは「何のためになるか分からないけど、この世界でまだよく分かっていないことを研究してみる」ことです。
今年ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶教授は「もっと若手が基礎研究をできるように予算を与えるべきだ」と仰っておりました。
これは、何のためになるか分からないしお金にならない事かもしれないが、若者が未知のものへと挑むことの大切さを説いている事と解釈できます。
基礎研究もアートも、未だ見ぬ未知のものを追いかけ彷徨う答えのない研究です。そしてそれは直接世の中や人々のためになるのかどうかも分かりません。
私はこれをとても偉大なことであり勇敢な行為だと考えています。
未知なるものを厳しい環境の中で追い続ける偉大で勇敢な若いアーティストたちを、ぜひご理解及びご支援いただければ幸いです。