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カニカマにキレた話


結論:カニカマにはカニ(エキス)が入っている


みなさんカニカマはよく食べますか?
そんなにたくさん機会はないですかね。
カニカマって、カニ風味のかまぼこなわけですから、
カニは入っていないと思っていませんか?
でも入っていたんです。
え?入れてくれてるの?やったー!
って思いたかったんですが、キレてしまいました。

ではいきましょう。



はじめに


今回の記事はいつもと趣向を変えて、
ただのエピソードトークとなります。
身になるわけでも面白いわけでもありませんが、
カニカマにキレたことがある人はなかなかいなさそうなので、
書いてみました。是非最後までよろしくお願いします。



本編


 私は幼い頃からエビが大好きだった。特に蒸しエビが大好きで、回転寿司屋に行くと食べた皿の9割が蒸しエビだったことをよく覚えている。甲殻類アレルギーになってしまった今となっては信じられないくらい幸せなことだ。


 高校生のとある日、とにかくエビが大好きな私はお昼にエビドリアを食べた。プリプリのエビが数匹上に載っているやつ。手軽で美味しくて、よく食べていたものだ。

 次の授業は体育だったから食べ終わったら着替えて体育館に向かった。授業が始まると、まずは体育館を10周してウォーミングアップをする。運動は好きなタイプで、真面目に走って無駄に陸上部についていったりしていた。
 しっかり体を温めて次はラジオ体操。これが終わるとようやく授業がスタートする。最近の授業内容はバスケ。球技は好きだし、チーム戦は何より白熱するから、体操をしながらワクワクしてずっとバスケのことばかりを考えていた。

 だが、ふと体に異変を感じて思考が遮断された。頭がなんだかかゆいのだ。ちゃんとお風呂入っているのになあと思いつつポリポリかいていたが、それにしてもかゆい。しかもかゆいのも一部ではなく頭全体なのが奇妙だった。

 そうこうしているうちに、わきの下と股間がかゆくなり始めた。何が何だか分からなかったが、異常なほどにかゆくなり始めていて、もう体操どころではなくなっていた私は急いで保健室へ向かわせてもらった。その道中、汗をたくさんかいた部分から痒くなり始めていることに気づいた。

 保健室に到着した時にはもう全身に異常が起き始めていた。真面目にウォーミングアップをしてしまったせいで、全身から発汗していたからだ。全身に蕁麻疹が発生し、呼吸も苦しくなり始めたのですぐに病院へ運ばれ点滴を受け、アレルギー検査が行われた。結果は甲殻類アレルギー。大好物を失った瞬間だった。


 その後エビの誘惑に負けて、
いけるっしょ!
と安易に考えて何度かトライするもしっかりと発疹し、本当に食べられないことを悟ってさらに落ち込んだのはまた別のお話。


 そして話は大学生になった私がアパートでひとり暮らしを謳歌していたとある夜へ移る。

 特に何をすることもなく、部屋でだらだら過ごしていた私に電流が走った。エビやカニは食べられなくても、カニカマなら食べられるのではないか…?
(天命だ!)
私は駆け出した。コンビニまで走って5分程度。部屋着のまま飛び出してきてしまったが今はそんなことどうだっていい。とにかくカニカマが食べたいのだ。カニじゃなくていい。カニカマでいいから、私にあの頃を思い出させてほしい。

 焦る思いは私の足を速め、汗を流しながらも目的の地へとたどり着いた。自動ドアをくぐる。走ってきたから心拍数が上がっているだけではない、緊張しているのだ。

 これはそう、再開なのだ。久々に再開する元カノなのだ。大好きだったあの頃の記憶が脳を駆け巡る。

 そして私は見つけ出した。これまでの数年間、無意識のうちに見ないようにしていた甲殻類全般の食品。数年ぶりにしっかりと目にした真っ赤なカニカマは、今までで一番美しかった。

 私は焦る気持ちをグッと抑え込み、額を流れる汗を手の甲でぬぐうと、カニカマを優しく手に取った。じゃあ、行こうか。私とカニカマはレジへと歩き出そうとした。

「待って!」

 カニカマから声が聞こえた気がした。

(どうしたの?まさか…?)

 嫌な予感がしながら、恐る恐るカニカマを裏返し、戦慄した。
 そこには左手の薬指にキラリと光る指輪…ではなく、原材料の一つにこう書いてあった。

【カニ(エキス)】




カニカマに、カニ入れんじゃねえええええ!!!




 エキスならいけるか…?とも考えたが、濡れた手の甲を見てラジオ体操の記憶がフラッシュバックし、涙を呑んで手ぶらで家路についたのだった。


もし明日地球が滅びるなら何をする?


 よくあるトークテーマで、明日地球が滅びるなら何をする?というものがある。かなりその人の人となりが現れる面白い質問だ。大切な人と過ごしたり、好きなものを食べたり、散財したり、はたまた犯罪を犯したり。いろんな選択があるが私はこう答えている。

海老天蕎麦を食べたい。

とね。(蕎麦もアレルギー)




おしまい


いかがでしたでしょうか。いかがもなにもないですが、
アレルギーに振り回された話を書いてみました。
ラストに蕎麦についても書いていますが、同様に蕎麦も好きだったのに途中から食べられなくなってしまった食材なので、
海老天蕎麦は本当に食べたいです。たまに夢の中に出てくるほどです。
好きなものを好きなように食べられることって幸せなんですね。

以上です。

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