ジャンヌ(詩)
朗読用に書き下ろし 作・本山由乃
ジャンヌ
炎に呑まれゆく
この身に言いつける
かの思い出は 散りゆく花びらに
土に還りしまま まみえるその日まで
突き刺さる眼に、
心臓が止まる
雑音に成り下がった声々で
地獄の門は開かれる
舞うのは花か、火の粉か
白々しくも 祈り続けて
あまりの晴天 突き抜ける蒼
黒ずむ視界は 遠かった
恨み言を言うんじゃない。
そういうものとは訳が違う。
呪うわけでもあるまいに、
眼と耳をふさぐのはおよしなさい。
わかりきった答えだろう
あまりに重い枷だった
ただの女にはあまりにも
生ぬるい風は誰の血か
救われたのだろうか、私は
炎に呑まれゆく
この身に言いつける
かの追い風は 散りゆくあの日々に
主に還りしまま まみえるその時に
いざゆかん、
我に続け
あの果てにある地獄の業火へ
今 誘える 唯一の場所へ
了
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