紫陽花「ハンカチ」作・うまいもんだなあ

こんにちは。大阪芸短文芸部です。
6月のテーマ「紫陽花(あじさい)」の作品が届きました!

うまいもんだなあの作品です。
どうぞお楽しみください!

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「いてっ」
雨上がりのよく晴れた日。足を滑らして道の真ん中でずっこけた。運の悪いことに水たまりに手をついた。
「あーー!もう…サイアク」
「大丈夫ですか?」
後ろから声がした。振り向くと、白いワンピースを着て麦わら帽子をかぶった絵の中から出てきたようなきれいな女性が手を差し伸べてくれていた。20代前後だろうか。
「ありがとうございます!私、どんくさくってよく転ぶんです。あっ、大丈夫です!せっかくのハンカチが汚れちゃいます。」
女性がハンカチを私の擦りむいた手に当ててくれたので慌てた。ハンカチは真っ白で、私の手はどろんこだった。
「いいのよ、受け取って。ほかに痛いところはない?」
帽子の奥に見える優しい笑顔に負け、ハンカチを受け取った。
「はい!わざわざすみません…。ありがとうございます。ドジなの、いっつもバカにされてばっかりで。お姉さん、優しいんですね。」
すると、女性はまた笑った。
「私もドジっこでよく周りの子たちから笑われていた時があったわ。やりたくてしてるわけじゃないのに。今日みたいな雨上がりの日に水たまりに向かって転んだ日もあったかも。そのときは自分はなんて運が悪いんだろうって泣きじゃくってたわ。
そしたら、通りかかった女のひとが助けてくれたんだっけ。
転んだご褒美にこのハンカチを上げる。アジサイの刺繍がついてるの。かわいいでしょ。これで今日は運がいい日になるわって言って歩いて行ったの。とてもきれいな人で、素敵なハンカチももらって、ドジで転んでよかったなって思えてきて。
長話しちゃってごめんなさい。もう行くわね」
そういって颯爽と歩いて行った。手元には先ほどもらった白い、アジサイの刺繍のハンカチが残っていた。

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今月から、作品投稿を活発化していく予定です。
月ごとのテーマに沿った作品には、(テーマ)「作品タイトル」作・ペンネーム というタイトルをつけてお届けいたします。
月ごとのテーマ作品をまとめ読みするも良し、テーマ無しの完全オリジナル作品を読むも良し、様々な楽しみ方をして頂けるよう、精進して参ります!

それでは次回の更新もお楽しみに!

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