n「ささやかな抵抗」作・綾咲希


こんにちは、あるいはこんばんは。大阪芸短文芸部です。
noteテーマ作品がまた届きました!
綾咲希はエッセイ担当ですね。聞いてみたところ、戯曲は最近書いていないとのこと。いつか読んでみたいですね!
今回もエッセイだそうです。お楽しみください!

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 「あなたは器用だから、頭結うの自分で出来るでしょう。」
つい先日、専門科目の教授から賜ったお言葉だ。
 確かに私は、器用キャラ、ではある。幼い頃から折り紙やあやとり、小学校に上がれば、家庭科の授業など、器用さが必要なイベントは割と好きだったし、容易にクリア出来ていたように思う。
だが、当の本人、即ち私は、自分のことを器用だとは思わない。出来ないこと、失敗しそうなことは最初からやらない主義だが、少しでも出来そうなことは抱え込んでしまい、生きるのが下手なタイプだからだ。
 今もそうだ。出来そう、やりたいことを抱え込んだ結果、病んで中々ご飯も口を通らず、大学に行こうと電車に乗る度に吐き気に襲われる。そんな毎日を過ごしている。でも正直、そんな自分が好きだったりも、しなくも、ない。好きだ。苦労している自分が好きだ。自分が苦労人であればあるほど、存在している意義を感じるのだ。私が苦労をすれば、私以外の人は少し楽になる。そう思える。多分こういう人のことを器用貧乏とかいうんだろうな、なんて思う。
 文頭に戻ろう。そんなことを賜った私、当時金髪である。しかし、芝居の舞台は大正時代の日本、もちろん純日本人の役であって、金髪なんてありえない。染めなければいけないのである。正直染めたくない。だってせっかくブリーチ2回もして傷めつけた髪の毛黒くするとか!私黒似合わないし!と散々友人に愚痴るも、諦めろと言わんばかりの目線が帰ってくるばかり。もう諦めた。染めなきゃいけない。仕方ない。けど、私は、他の子達と違って、頭自分で結うから、と、上手く毛先が隠れるような髪型にし、毛先にピンク色を入れてもらったのだ。
 これがどうして、なかなかテンションが上がる。他の子達はみんな真っ黒な中、私だけは毛先がピンクなのだ。正直、優越感すら覚える。見えなきゃセーフ!ささやかながら私の抵抗である。
 私が器用かつ、役作りを見た目からするタイプで稽古の時から髪型を研究していたからこそ得た、ささやかな自由。これからも大切にしていきたいと思う。

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あとがき

エッセイなので、当然ノンフィクションです。バレませんように。
さて、私は"見せる"を想像して書きました。最近、見えなさそうで見えるオシャレ、流行ってる気がします。インナーカラーとか。可愛いですよね。今回は裾カラーでしたが、夏休みはそれに加えて、インナーカラーに挑戦しようと思っています。
こういう抵抗をするタイプって、役者に向かないと思う今日この頃です。

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今後も自由創作、月テーマ作品、に加えてnoteテーマ作品をお届けしていく予定です!
お楽しみに!

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