なれるよ。 僕はスーパーヒーローになって遠い国の彼だって、それに君だって笑わせる そのつもりさ 偉大なシンガーにはなれないと思うし、世界をひっくり返すような発明家はきっと無理だろうなって思うんだ でも、スーパーヒーローにはね、なれるんだよ 愛を歌う彼だって、世の中を照らすあいつだって僕はきっと笑わせるよ それまでは少し悲しい顔を見せてしまうかもしれないけど 安心して待っててよ 親父を殴る彼だって、手首押さえてるあの子だって僕はきっと笑わせるよ ちょっとね時間は掛かってしま
白髪が私を縛ります 喉、腕、足ときて私の空洞を縛り上げました 穴をほじるこどもは、無邪気にそれに必死に 音を立て手を汚し続けます 淡い閃光を過呼吸と瞬きから覗き 心を次第に熱く熱く熱くさせます 誰も冷ましてはくれない 空洞を私は愛せはしません 夜、駆け巡る疾走はまるで夏のようで 心を、冬にしようと努めるのです 上がったら下げる 自然の摂理と人工物に軽く口づけをして 私の血はまた巡る、巡る 一気に巡った血は私を深い硬直に落としました 証に似たような、勲章に似たような 理解の
右の手で掬った淡い純情は死に行く間際 幸福はプリズムのように輝いて遠い地平線の先 君の左の手は僕の左の手のごとく甘い飴を 木々のゆらめきは君の囁き声のように高く時には低く あなたが無くなったとてあなたは無くならない 鈍い金属の音が周りを走り回る 僕らは狭い部屋の中 その一畳にも満たない愛で肩を寄せる 目に見えた愛がとても貴く見える 君の目にも同じように 最後に秤に乗せる 傾いて君は微笑む
ハイウェイの上 閃光が輝く道の上 止まっていたのはわたしだけに思えた 長く暗い道をトワイライトが 照らし続ける限り 走らなければならない ついていけないと 止まってしまったあの日から 私は私のことを臆病者だと罵ることにした そうすれば 誰もが許してくれると思っていたからだ でも 誰も私なんかを見向きもしなかった 私を追い越した者たちは 私などはなから居なかったように 前を見ているのだ なにかに 許してもらいたかった私は 結局自分自身を許せなかった
走る跡が僕の視線の先 波間と砂に形づいた いつもより甲高い声は潮騒になんて負けることは無い 例えば君が嫌だったとして 僕は迷うこと無く有り続けるだろう 例えば君が走り抜けるなら 僕は間違いなく隣を君よりも早く駆ける 笑みが僕の指の先を掠め 触れられなくとも 満ち引きな君を ありふれたものと同じになんてしない 僕の脛を落ちる雫が 君の頬を流れる雫が すぐ乾かなくとも
真水でふやけた私はここじゃ浮いてくるの 初めての経験、見えない命 あなたは知らぬ間に溶けてしまった 気ままに揺れる姿に呼吸が浅くなる 時間を掛け慣れ親しんだそこはもう 私の居るところよりも心地良いみたいだ 月が照らさないと私は近くには行けない でもそれもなにかの過ち 私も近くに行けるだろうか でも もう行けない 羞恥をもう見せられない 天邪鬼の私をどうか救って
ちゃんと好きだよ って言えば良いと思ってるあいつが嫌いだった 暗闇で見る天井の霞んだ豆電球が目に染みた 戻ってこないし なんなら戻ってきてほしいとも思わないけど 大切な時間であったもの 一輪の花のようなもの よる食べた罪悪感の肉まん 太っちゃうね なんて言って 太らせようとしてくせに いつまで経っても痩せこけた心は痛みに過敏だ きらきら輝いていた あの頃咲いてた花弁は 一枚ずつあいつが剥いだ 水も溢れて 茶色く濁って 見てない間に黒くなったよ 一人になったよ 私は夜に
窓を開けると 爽やかで少し強い風 万華鏡みたく光る世界 揺らすと零れ落ちそうな淀みない世界 ぼやけくすんで またぼやけ 滴る汗 言い訳は口から溢れ 風に靡く フラットに行こう そして不公平で斜めな世界へと 窓を開けると 普段通り過ぎる雑音 風に消され 瞬く空へと 悪いことなんかなにもない ただ 良いことだってなんにもない 変わらない きっと また 変わらない 相変わらず 滴る汗は僕らを濡らすのだ
小さくなって浮かぶ ぷかぷかぷか 僕は僕を忘れて ぷかぷかぷか やりたくない問題と面倒くさい事象 頭の中 ぷかぷかぷか うかうかうか してられない なんて 思ってはいるけど 何か破裂してしまいそうな自分もいる 破裂してしまったら それっきり 僕らは出会うことはない 似たものは沢山いるけれど 僕は ぼくらは もう出会わない 7日目の蝉 捕食されるゼブラ 腕が取れた人形 それっきり それっきり
パンパンパン ロケットが飛ぶ まだ見ぬ世界へと 過度な期待もなんのその 私には想像できないあれやこれ ヒューヒュー風を笑わせる 冷やかな目 彼は変わらない 鋼鉄の体や心 でも やわなのを私は知っている 知っている 私と同じくらいやわなのを もっともっと飛ぶのだ 忘れて 忘れて 忘れて 君を笑うやつなんて忘れて 私だけが知っている 君が涙を流すのを
ある冬の日 降り注ぐスパンコールは この場所を私だけの聖地に変えてみせた 高鳴る心臓の音と笛の音 雑踏が外界から私を一人に攫って 浮遊感で真っ白な夢 白鳥が舞うみたく 氷が溶けるみたく 私は今日真っ白へと生まれ変わる 塗りたくった白をみて 私は恍惚とするのだ 遠くに見えるエンジェル 吐いた息で霞んでる 私もそこからあるきだす 待ってなんていられない 燃える心臓が無情にもとめるのだ
会いたい 血が流れた そうやって血が流れた 僕たちは流してきた 流し合ってきた 悠久の時の中 閉じこもった僕らは徒然に 出会っては血を流す 蟀谷から流れ落ちる真赤に 深く心酔し 自分に酔い自分を騙し 今もまた生きている そしてそれが 叶えがたい愛となる 心はまた素直に あい いたい
翼があったらどうだろう 私に想像しうる強い翼があれば 私は飛ぶことができるだろうか 無限の空も包み込む大海も豊かな大地の上 僕は滑空できるだろうか きっとかわらない 膝を抱え頭を抱え ひとり閉じこもるだろう 可能性と未来が僕の前で笑っているのは きっと嘲笑に見えるのだ 誰か手を取ってくれぬだろうか そんなことばかり考えているのです
軌道上 手は届かなそう もう変わらない距離をみつめている 一瞬の夜の輝きの如く 生命の力強いエネルギーの如く 輝いている そう 輝いている 手は空を切るばかり 純情や純朴も今はくすんでいる そして 霞んで消えてった 時間を掛けながら私の事を見なくなる 回転は私の心を蝕むばかり 一度のすれ違い 私は私が見えなくなる
乾いたものを埋めるのは いつだって私ではなかった 一瞬の雨をまつ 粒は一人だ 暗い闇も冷たい夜も溢れる光も すべて一人で受け止める そうして そうして その後に何が残るだろう 隙間を埋める雨を 待っていたはずだ 私達はまた渇く 風で吹き飛ばされる 独りよがりでは生きてはいけない 側を思うその気持ちが大事なのだ
「檸檬」 苦かった あの頃に味わった果実の味 もう今はどうしょうもない 甘かった 君の揺れる影 通り過ぎる夏の記憶 上を向く度に 流るる酸いが 今もまたあの影追う とりとめのない 衝動は 突き動かすたびに あの日に灼かれ 僕は散り散りになるのです 生い茂る雑草が 上を向く僕を邪魔するのです 理解が 僕に目を閉じろと言うのです