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絢爛のペテルブルク①

おそらく、いや確実にロシアに行く機会は今後限られてしまうので、思い出によって美化される前にまとめておきたいという、宮殿の話。

ピョートル大帝やエカチェリーナ2世など世界史上のビッグネームが、ロシアをヨーロッパ化するというために膨大な金と時間をかけて生み出した過剰な美の世界が、ペテルブルクにはいくつかあります。この街の宮殿はエルミタージュ美術館になっている冬宮殿、郊外にある夏宮殿、また別個に世界遺産となっているエカチェリーナ宮殿などなど。

モスクワから長距離移動の疲れが吹き飛ぶよろこび、高緯度地域の夏空の儚げな青に包まれる気分は何にも代えがたい感動です。冬は地獄ですが、想像は不都合なものをかき消して、すぐこの街が好きになりました。
政治経済はモスクワに全て移ったので、ここは歴史的な役割を負っている京都のような立ち位置です。帝政期はペテルブルクが中心でモスクワは田舎のように書かれているのは、トルストイらの小説に出てきます。

文学の話題が出てきたので「文学カフェ」に。ネムスキー通りを歩くと観光地のレストラン特有の華やぎがあったので地図で確認もせず足が向かいました。ロシアの普通の飲食店でほとんど英語は通じないのですが、とても流暢な英語で二階に案内されました。この安堵感はおそらく外国人観光客が日本においても体感していることなのかもしれません。
一階は中国人の団体客がウェイターと揉めていました。大皿をとりわける中国式ではない「西洋風」の個別皿配膳に不満があったようです。

ボルシチ ビーツよりトマト多めか

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