新興勢力と秋の空。
今朝のこと。マスクをしつつ、音楽を聴きながら会社の門をくぐると「あら~マスクしてたら誰だかわからなかったわ」と、遠くから大声で話しかけられる。
よくよく見ると、日々の清掃に来て下さるお掃除の女性だった。びっくりしたのが今まで敬語だったのがいきなり長年の友人のようにくだけた話し方になっていて、もともとこちらは社会人としての対応しかしていなかったのでこの変化にやや戸惑いを隠せない。
日々のお掃除はトイレがメインだったから、その方とは顔を合わせることはあっても、会釈をするか朝の挨拶をするくらいで、会話らしい会話をすることはなかった。
私が建屋に入るドアのところに来てもその方は背中越しにおしゃべりしていて、適当に相槌を打っていると、ようやく本題に入り、
「あの小柄な人、辞めてね!ほら、あの人!」
ようやく事の次第が読めた。
組織のパワーバランスが変化したのだ。
お掃除の女性はローテーションで来られているのだが、その退職されたと言われている小柄な女性は70近い超ベテランでそのお掃除のシフトを牛耳っているドンだった。
この年代は本当にパワフルで身体も動くが口も負けていないから、組織的に長は他にいても
実際に手綱を握っているのはその方ということは、時折トイレで手を洗う数十秒の間に聞かされる会話の雰囲気で何となくわかっていた。
掃除は業務時間なので、担当エリアになる建屋で働いている人としゃべることは業務外になるから
よくよく考えてみると、ドン以外のおばちゃんとはあんまり話したことがなかった。
社外の人と業務時間内に話していいのは、 「ドンだけに許された特権」という暗黙の了解があったのだった。
たまにどうしても小柄なドン以外の「その他」女性のストレスがピークな時があって
(シフトに不満、ドンの横暴ぶりに疲弊、老後の不安など)、その時にトイレに入ろうものなら、洗面所の鏡を拭くお仕事で終わりだわ~みたいな感じで待ち受けされる。しかも、ドンの見回りがない時を見計らって。
どうやら、今朝話しかけてきたくだんの女性は、小柄なドンがいなくなったことで新たなトップになったらしかった。
「目の上のたんこぶが取れて幸せいっぱい」の、眉毛のないドンPart2。
また新しい歴史が始まる。