西成を歩く
「大阪市西成区」
日本最大スラム街といわれる場所です。
関西人なら皆知ってるものだと思っていたけど、実際知名度はどんなかんじなんだろう。
難波とか梅田に比べると、そりゃ綺麗とはいえません。人を寄せつけない独特の雰囲気があります。
ドラッグ、酒、風俗、怪しい露店など、なんでもありの自由な街です。
決して観光に適した場所じゃないと思うけど、自由な生き方に憧れる私にとっては最高に刺激的で楽しいところです。
一歩間違えれば事案だけど気さくに話しかけてくれるおじさんがいたり、大阪ならではのあったかい雰囲気が好きです。
なんか疲れちゃったなあって時、ふらっと散歩したくなる、そんな街。
初回にしてなんか不穏な場所だけど、結論から言うと色んな発見があって楽しかった!!
色んな人に知ってもらうために、レポートてきなものを書こうと思います✍️
まずは今回の目的地について。
私が絶対行きたい場所はこちらの2ヶ所です。
三角公園
飛田新地
色んな意味で有名です。
訪れる前に軽く下調べしました↓↓
「三角公園」
西成区の上らへん、「あいりん地区」にあります。最も危険な地域の公園というだけあって、ヤバい。空気が汚い。
ホームレスの方とお話するにはもってこいです。
西成の歌姫、坂田佳子さんの拠点地としても有名です。
鳩がたくさんいます🕊🕊
「飛田新地」
大正時代から続く遊郭です。
現在は法律の関係で全店舗が「料亭」という形で営業しています。
あくまでも、料理を食べに来た客と店員の自由恋愛だからセーフらしいです。
でも料理が提供される訳ではなくて、お客さんはプレイの前後に飴やお菓子の詰め合わせを貰います。
ガバガバ判定です。
メイン通り、青春通り、妖怪通りなど、容姿や年齢によってジャンルが分かれていて、調べたところ料金は基本的に1万ちょい~5万ちょいでした。高いです。
一番安い金額でもプレイ時間は15分とか。
でもその分ルックスがアイドル女優並みだから貴重な体験になるのは間違いないと思う。
周辺は撮影禁止なので、気になる人は自分の目で確かめてください!
① 南海本線・天下茶屋駅
3月9日。ビバ快晴☀️
西成区のちょうど真ん中くらいにある駅からスタートします。
私はこの日の為にとある助っ人を招集しました。
高校時代の親友、通称爆乳1です。
のんびり街を眺めていると、友人らしき人物を見つけました。
白いフリルに真っ赤なチェックのふんわりワンピース。
西成とのミスマッチ感が半端ないです。
高校時代を3年共にした私の数少ない友人。
おもしれー女を体現したかのような人間です。
西成行こうぜ!と誘って着いてくる時点で常人ではありません。
私達はひとまず三角公園を目指すことにしました。
二人とも方向音痴なので行き方も適当だしどこ歩いたとかもよく分かってないけど、思い出しながらぼちぼち書いていきます。
まず天下茶屋駅を出て松虫通という道を歩いていると、いきなり都会らしからぬものを見つけました。
ゴムの自販機です。(不健全な方の)
人生が変わる!0.02ミリと称してありました。
そんなもので人生変わるならこんな鬱になってないぞ
② 廃墟
そのまま雑談しながら歩いていると、今度は謎のでっかい廃墟が現れます。でかい。暗い。怖い。
ガラスのはめ込まれていない真っ暗な空洞と目が合います。
コンクリの壁にはあんまりうまくないスプレーの落書き。
入り口には「世界人類が平和でありますように」と刻まれた怪しげな石碑がありました。
私は怖いのが苦手で心霊スポットとかも絶対行きたくないタイプなんだけど、この時はなぜかわくわくしたので、帰ってからこの建物の正体を調べてみることに。
リアルに情報源が記憶しかなくて時間かかりました
建物の正体は老人ホーム!
最後まで完成しなかったけど。
計画を進めていたのは、正圓寺という地元でも有名なお寺でした。
でもとある事件がきっかけで建築はストップ…
以下、正圓寺の住職目線で超簡単にまとめてみました。
長いのですっ飛ばしてくれてもいいです。
①敷地内に老人ホーム作って稼いだろ
②10億円かけて工事スタート
③補助金の手続きめんど。てきとーにしたろ。
④国に却下されちゃった!こんな大金払えない!
④建設ストップ。詰んだ。
⑤不動産経営者のNと出会う
⑥N「このままじゃ建設会社に寺の資産差し押さえられちゃうよ」
⑦それはまずい。資産隠さなきゃ!
⑧N「俺の会社に土地売ったことにしようよ。あくまでも偽物の書類ね。ほらこの紙に判子押して」
⑨よくわからんけど押すか
⑩え、待って気づいたらガチで寺の土地売却されてる。騙された!
⑪俺無一文。つらい。
⑫協力してくれる第三村人発見!
⑬おまえ優しいな。信用できるわ!お布施とか渡すから一緒にお寺立て直そ♡
⑭え、なんか知らんうちにお寺の代表名義こいつに乗っ取られてるんだけど
⑮【悲報】俺、全てを失う
\全員逮捕END/
控えめに地獄!!!
どの景色の裏側にも物語があるの、なんかすごくわくわくします。
これだから知らない街を歩くのはやめられない。楽しすぎる。
③ 自販機
廃墟の横道にあった石の階段を登ります。
小さな公園の草むらを抜けて住宅街に侵入しました。
白壁の一軒家とかじゃなくて、築年数が結構いってそうな木造のおうちが多かった。
なんというか、味わい深い。懐かしさを覚えます。
ずっと歩いてみたけど住民らしき人をまったく見かけない。
ほんとに人住んでる?
自分たちがいまどこにいるのかもわからないまま、とにかく気になる道を歩いていると例の自販機を見つけました。
「おいなはれ」の文字と宝船に乗る七福神のイラスト。
もはやこれを見ると安心するまであります。
ああ、今私は西成にいるんだと感じる瞬間です。
誰かが言ってました、その土地の治安を知りたいなら、自販機の値段を見ろと。
通常、自販機のジュースって150円とか、都会なら200円近いものとかもあるじゃないですか。
西成はなんと、平均50円。
やっっっっすい。
もちろん安い訳にはそれなりの理由があります。
それは賞味期限が近いこと。
怪しさ満点だけど、サンガリアとかの大手メーカーの飲み物もあった。
マイナーのやつは本当に一回も見たことない。こんなんどこで製造してるんや。
明日あさってに期限が迫ってるやつなんかだと、30円。切れてると10円…
ここまでくるとちょっと不安。ガンジス川よりかは何百倍も安全だけど。
自販機を目印にどんどん歩きます。
気のせいか、路上にゴミが増えてきた。
④ 今池本商店街
なんか広い道にきた。
Googleマップよると公園はかなり近い。
心を躍らせながら進む。
スーパー玉出。相変わらず眩しい。私の地域の玉出が閉店した時はなんだか悲しい気持ちになったことを思い出しました。
行ったことないけど。
噂ではメロンパンが10円で買えるらしいけどほんとかな。
道路を挟んだ向かい側に商店街がみえる。
公園とは真逆だけど、どんよりした雰囲気に惹かれてアーチをくぐってみます。
あるのはシャッターの閉まった居酒屋とスナック。
ところどころ営業しているけど、寂しさは拭えない。でもそれが逆にいい。
どこか懐かしい、昭和感漂うこのかんじ。
通行人も少なかった。
爆走チャリに何度か轢かれかけたけど無事生還。
いかにもな中年おぢに「2人共可愛いねぇ」と言われたのであざっす!と元気に返して先に進みます。
いざ、公園へ!
⑤ 三角公園
さっきから同年代の女の子と全くすれ違わない。
薄々気づいていたけど、ここは圧倒的に女性が少ない。当たり前か。
そんなことを考えながら歩いていると、ついに公園が見えました。
事前調査の通り、入口には街頭テレビがぽつんと立っています。
私はついに来たんだ。あの憧れの西成に。
想像よりゴミは少ない。
ちゃんと地面も見える。
謎の水たまりが広がっているけどこれは気にしないでおこう。
ボランティア活動もあるくらいだから、なんだかんだいい街になりつつあるのかもしれない。
公園は思っていたより広い。
あとなんか聞こえる。
歌声とギターの音、
近づいてみるとそこにはまさかの坂田佳子さんがいました。
よくこの場所にいるのは知っていたけど、まさか今日会えるとは思わなかった。
ひとまず公園の入り口近くにある薄汚れたベンチに腰掛けます。
ここを居住地にしているであろうおじいさん、怪しいオーラをまとった外国人、キャリーケースを引くお兄さん。
色んな人が笑顔で彼女の周りに集まっていました。
歌声に耳を傾けながら、周囲を観察します。
大きな建物が目に入りました。
壁にはカラフルな自由の女神のスプレーアート。かわいい。
その横の垂れ幕には「覚醒剤の売人は、西成から出ていけ!」の文字。
こりゃひどい。
私はひとまず一服することにしました。
隣の友人はヴィヴィアンのライターを首からぶら下げているにも関わらず、非喫煙者です。
それもそのはず、私たちはまだ19歳。
西成にいてはそれも霞んでしまうけど。
20歳になったら吸うんだ!と言う友人が眩しくて、なんだかみじめな気持ちになりながら1本のピースを取り出します。
いつもと同じ味のはずなのに、汚い空気を浴びながら吸う煙草はなんだかとてもおいしく感じました。
足元にいる大量の鳩をぼーっと眺めます。
いい天気で、風がそよそよしてて、明るい歌声が聞こえて。
落ち着くなあ。
でもここは西成。公園に並ぶみんなの青いおうちが私を現実に引き戻します。
吸い終わった。
そろそろ行こっかな。
最後に、公園の中心部に近づいてみます。
そこにはヤジを飛ばしながら楽しそうに歌う坂田さんがいました。
はじけるような笑顔の彼女と目が合います。
これは実際に目の前にしてみないとわからないけど、元気をもらえる、楽しくなってくる、そんな感じ。
しっかりその光景を目に焼きつけた私達は公園を後にしました。
⑥ 飛田新地
最後はあそこしかない。
ここまで来たら怖いものなんてない。さぁ行くぞ!
もうこの辺はよくわからない。己を信じてまっすぐ進む。
男性だけが味わえる未知の世界。
私達はしょせん昼の道を歩くことしかできないのです。
営業時間中に女性が歩くと、やり手ババアと呼ばれる従業員に注意されると聞きました。
私達は作戦を立てます。
まだ夕方とはいえ、女2人が歩くにはなかなか厳しい。
しかも片方はロリータ女です。目立つどころではありません。
それにしても今日は暑い。
偶然にもアイスの自販機を見つけました。
みんな大好き、セブンティーンアイスです。
とりあえずお気に入りのチョコミントを購入。
頬張りながら脳みそをフル回転させます。
閃いた。
現地民になりきろう。
(これより洗脳タイム)私達は西成の住民。
今日はたけしくんの家に遊びに来た。たしか家はこの近くにあるって言ってたっけな。
そうだ、飛田を通って近道しよう。
記憶を改ざんした私達は、アイス片手に飛田の門へと立ちはだかります。
幸い門の向こうに人は見えません。
入口には一帯の店名が書かれた大きなマップがありました。
しかし、足を踏み入れた私達は衝撃の光景を目にします。
ふつーに営業しているではありませんか。
さすがに全店舗ではないけど、ちらほらと明かりが灯る座敷を確認しました。
どの店先にも白い看板があります。
黒の筆文字で漢字2文字の名称が書かれていました。
女の子の名前を連想させます。
扉が開かれむき出しになった赤い座敷には、セクシーに足を崩したお姉様がいました。
ピンクのネオンが妖艶な雰囲気を誘います。
本当にちらっとしか視界に入らなかったけど、めっちゃ美しかった。言葉通りの美人。このレベルの方がたくさんいるのだと思うと、本当に驚愕します。
私が男性だったら、きっと1人に絞れない。
隣にはちゃんと噂のやり手ババアさんがけだるげに座っていました。
男性に「お兄さんこの子最近入っばっかりよ!よってって!」と声をかけて勧誘するのが彼女達の役目です。
私は冷やかしだと思われないように早足でまっすぐ突き進みます。
たけしくんの家に向かって。
まるで異世界に迷い込んだ気分です。
どこまでも続くお店を横目に、私達は終わりを告げるゲートをくぐりました。
私達の敗因は、時間を見誤ったこと。どうやら早い場所で朝の10時から開店していることもあるようです。もちろんメインは提灯の灯る夜ですが、お店の女の子達は交代で外に座って1日お客を待つようです。
それでも、この土地を自分の目で見ることができて、私はとても満足していました。
たけしくんってなんだっけ。
私達は10分も経たずに飛田新地を後にしました。
普通の民家が見えてきたときの安堵感。
やはりここは異端なのだと改めて思い知ります。
坂を登ると、新地が一望できました。
コンクリートの大きな壁が目の前に立ちはだかります。
これは、通称嘆きの壁。
昔、まだここが完全な遊郭だった頃に、女の子が逃げ出せないように立てられたものです。
今と違って自由や自分の意思が尊重されなかった時代。
ここは楽しい思い出だけじゃない、そういった過去も含めていい勉強になりました。
⑥ さいごに
一通り西成を歩いた私達は、日本橋のやよい軒で腹を満たして解散しました。
そういえば、西成の壁のあちこちに鳥居を模したテープが貼られていたんですよね。
なんか神聖な場所なのかなと深読みしてしまいます。
これ、次の日に会社の先輩に聞いてみたらなんて返ってきたと思いますか。
『あーあれな、
小便せんように貼ってんねん。
誰も鳥居にむかってしようとは思わんやろ?』
たまげた。
私はまだまだ西成を知らないみたいです。
自由で、刺激的で、最高に退屈しない街。
皆さんもぜひ、行ってみませんか。
(その時は集団で行くことをオススメします)