![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/53683207/rectangle_large_type_2_114b7ca437e76be59bdb67ba45d81849.jpg?width=1200)
【チーフの自信作】
勤務していたホテルの宴会料理はレベルが高かった。特に洋食が秀逸だった。
温かい料理を担当する〈ホット場〉と、冷たい料理を担当する〈コール場〉とに分かれているのだが、双方ともにいい料理を提供していた。
ある日〈ホット場〉のチーフが腕に寄りを掛けて〈グリンピースのポタージュスープ〉を作り、小宴会のメニューに加えたことがあった。
そのスープは〈コーンスープ〉を薄緑色にした感じで、徹底的に裏漉してあるので非常に滑らかなものだった。
チーフが自信タップリに言う。
「今日のスープは旨いでぇ❗️残ったらお前チョッと味みてみ」
・・・・・・・
やがて10名程のフレンチコースがスタートした。
オードブルに続いていよいよスープが提供される。
スープチューリンでお客様にスープを配り終えてバックヤードに戻ってきた僕は、チューリンに残っているスープを少し飲んでみる。
そして率直な感想を述べた。
「ん~~チーフが言う程、そんなに旨くないなぁ」
「なんやとぉ❗️」
〈えっ?❗️〉
居なかったと思ったチーフが真後ろにいたのである。
絶句した。
(スープチューリン:10人分くらいのスープを入れる壺のような形をした金属製の容器)