【クラクション】
もう随分むかしの話になるが、鳴らされたクラクションの音に腹を立てた男が、鳴らしたクルマの運転手を殺したという〈クラクション殺人事件〉という事件があった。
考えてみれば、僕が少年時代に走っていたクルマのクラクションの音は「ブッブ~ッ❗️」という感じの柔らかな音質だったのに、いつの間にか神経を逆撫でするような「ビッビ~ッ❗️」という鋭い音に変わってしまった。音もデカくなった。
そこへいくと、僕のクルマのクラクションの音は、昔ながらの「プップ~ッ❗️」って感じの音なのだ。
別段、昭和のクラシックカーに乗っている訳ではない。中古で買った〈日産デュアリス〉というSUVに乗っているのだ。
〈デュアリス〉というこのクルマは、当初は日産のイギリス工場で生産して、ヨーロッパだけで販売する予定のクルマだったところを、後から日本に逆輸入し、更には日本の熊本工場でも生産を開始したという曰く付きのクルマである。
ヨーロッパ仕様だからなのだろうか、クラクションの音が日本車とは全く異なっているのだ。超柔らかな音なのである。
付け加えて言えば、ヨーロッパのクルマは、日本車のように何から何まで至れり尽くせりと気配りした便利仕様ではないのだという。要するに、日本車とは文化慣習思想が違うのだ。
僕の〈デュアリス〉が熊本工場で生産製造された日本生まれだとは言え、クラクションはイギリス製造仕様そのままなのかもしれない。
頼りない音と言えば頼りない音なかもしれないが、「ビ~ッ❗️」という耳をつん裂くような音よりも、僕は断然好きなのだ。
因みに最近のヘッドライトでもそうである。自分が運転する分にはいいのだが、それが対向車のライトになると話が違ってきて、ヤケに眩しい。〈ハロゲン〉から〈LED〉に変わってからが特に眩しいのだ。
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