見出し画像

【ウィンドファン攻防戦】

僕がまだ20代の若い頃、2階の6畳の間に〈ウィンドファン〉が設置された。4・50cm開けたサッシ窓の隙間に、縦長に取り付けるように設計されている。

〈ウィンドファン〉というのは、室内機と室外機が一体化した、謂わば簡易クーラーみたいなもので、湿度の調整機能が付いた現在の〈ウィンドエアコン〉とは少し違う。

ところで、昔の〈MADE IN JAPAN〉は特に丈夫に作られていて、つい数年前までは現役で活躍していた〈ウィンドファン〉だったのだが、ついに冷えなくなってしまったのだった。

仕方がないので取り外し、最近では倉庫の肥やしになっていた〈ウィンドファン〉を、貯まったゴミと一緒に〈市営ゴミ処理場〉まで棄てに行くことにしたのである。

車の後方座席を倒して荷室を作り、この際、積めるだけのゴミと一緒に〈ウィンドファン〉も詰め込んで、家内と2人でいざゴミ処理場へと出発した。

〈市営ゴミ処理場〉には・・

①「燃えるゴミ」
②「粗大ゴミ・不燃物」
③「プラゴミ・布・紙」

などを処理する所が、其々3ヶ所に設けられている。

① で燃えるゴミを出し、 ②で炊飯器を出し木製の物入れを出し、最後に重い〈ウィンドファン〉を下ろして、 ③に進む途中に気が付いたのだった。

「おい、そう言や〈ウィンドファン〉はクーラーだぞ。コンプレッサーでフロンガスを使っとるじゃないか❓️係の人が取ってくれたけど・・エアコンみたいにリサイクル品扱いになるんじゃないか❓️普通は・・」

「・・そうだよねぇ」

「いや僕も今気が付いたんじゃ」

「係りのおじさん、気が付かなかったのかなぁ❓️」

「まぁ、取ってくれたんだから、とっととプラゴミ棄ててトンズラしたほうがええど」

そんな訳で、急いで ③まで行き、プラゴミを棄てて出口の方へ向かっていたところ、車の前方に2人の男性係員が立っていて、大きく手を振っているのが眼に入ったのである。止まれと言っているようだ。

停車して窓を開けた。

「はい、なんでしょうか❓️」

「あのぉ~すいませんが、さっきの〈ウィンドファン〉なんですが、あれはリサイクル品になるんで持ち帰ってそちらで処分して下さい」

「あぁそうなんですか❗️」

トボけたフリをして応えたのだが、内心では〈やっぱりバレたかぁ❗️〉と観念したのである。

結局〈ウィンドファン〉は持ち帰り、ちゃんとリサイクル料金を払ってキチンと処理したのであるが、名誉の為に言っておくと、〈ウィンドファン〉は、初めは悪意なく普通の粗大ゴミだと思って持って行った訳であり、決して確信犯ではないことを理解して頂きたいのである・・・

・・って、途中で気が付いたし、あわよくばそのままトンズラしようと言ってたじゃないかって❓️

・・・んんん・・ゴメリンコ❗️


いいなと思ったら応援しよう!