【言霊】
テレビ画面にはナイター中継が映し出されている。
家内と息子は野球が大好きでいつも応援しているのだが、その夜は贔屓チームが敗けていた。
野球にはさほど関心がない僕はシラケた顔をして言った。
「ダメじゃないか、今日は敗けだ敗けだっ!」
すると熱烈なファンの息子が言う。
「いや、勝つ勝つ勝つっ❗️」
家内も加勢してきた。
「そうそう、勝つ勝つって言ってたら勝つよっ❗️言霊よっ❗️コ・ト・ダ・マッ❗️」
《コトダマッ❗️》
家内が粋なことを言った。
「〇子、言霊って言葉を知ってたんかぁ~」
「それくらい知ってるわよっ!失礼ねっ❗️」
家内の中にも日本精神が生きていた。うん!日本の女だ。
・・・・・・・
結果、2人の〈言霊〉は天には届くことなくチームはボロ敗けした。
(言霊:言葉に宿る不思議な力)