PCでYouTubeの〈心霊動画〉を見ていた。
すると側にいた家内が言った。
「父さん、そんなん見てなんともないのぉ? 怖くな~ぃ?」
「こんなん、なんともないわ!」
「夢に出て来ない?」
「出ん出ん❗️大体が作り物が多いし・・まぁ、どうみても本物っていう感じのヤツもあるけどな」
僕は選りすぐりの〈動画〉を探し出して再生した。
「ホレホレ、これなんか・・自然な感じだろ? ビックリする時の声を聞いてみ・・・」
やがて画面は〈霊〉に遭遇するところになって、投稿者の怯えた声が響き渡った。
《う、うわぁぁ~~~❗️・・・ おわかりいただけただろか・・ では今1度ゆっくりとご覧頂こう・・・》
「なっ?・・・この叫び声は演技じゃないと思うぞ・・この女の幽霊も本物っぽいし」
僕はカーソルの矢印を女幽霊の所へもっていく。
「もう~止めてよっ❗️駄目!そういうの・・アタシ見ないほうがいいわ」
「おぉ!苦手だったら見るな見るな❗️」
僕はそう言うと、もっと凄い〈心霊動画〉はないものかと、マウスをクリックしながら作品を物色していた。
けれども良質な〈心霊動画〉がそうそうあるものではない。スキップさせ捲りながら動画を見ていると後ろから声がした。
「もう~父さんっ❗️飛ばさないでよっ❗️」
「えぇっ?なんだよ!見てたんかい❗️」
口とは裏腹に、怖いもの見たさの家内なのであった。