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30代からの語学7 効果的なレッスンの進め方

雨が続いても娘は元気で朝から寝る直前まで疲れ知らずにずっとはしゃぎ続けている。口癖は「遊びきれない(=遊び足りない)」。私も妻も毎日ヘトヘトだが、幼稚園の夏休みが終わるのはまだまだ先...30代の体力の衰えを感じる。

コロナ禍の前と後では大学教員にとっての大学の夏休み期間の役割は全く変わってしまった。コロナ前はハノイに言語調査と文献収集に行って、集めたデータを元に10月初旬の秋学期が始まるまでに研究発表やら学術論文やらを仕上げていた。でも、コロナが感染拡大してからは国外に調査に行くなんて夢のまた夢。新しいデータを増やせない中でも研究のペースを崩さないように色々な分析理論やアイデアを吸収したり、今までの研究を再度整理したり書評を書いたりしている。自ずと家にこもって読書をする時間が長くなる。あぁ、ハノイに調査に行きたい。

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個別レッスンで何をすればいいのか分からない...

前回は個別(マンツーマン)レッスンを選ぶ際のコツをまとめてみたが、本格的にレッスンを始めるとなるとやっぱり色々な不安が出てくる。そもそも大学までの外国語の授業は基本的に多人数クラスだったはずなので、講師:生徒 = 1:1のマンツーマンレッスンを受けた経験がある人なんてほとんどいない。だから、レッスンの展開が読めないのだ。

自由会話は語学の中では最上級のタスクの一つ

レッスンの要望の中で「自由な話題で会話練習をしたい」というのはかなり多いだろう。しかし、実際に会話をしようと思うと何を話題にすればいいのか分からない。「そういえば、大学の頃にあった英語の授業でもクラスメートとの自由会話は全く弾まなかったなぁ〜」と嫌な記憶を思い出す(あくまで私個人の経験)。マンツーマンレッスンは大体45〜60分くらいの長さが標準的だけど、日本語でもあまり知らない人とはそんなに長くお喋りできない。

実は、テキストを使わない自由会話は語学の中では非常にレベルの高いタスクである。例えば、下記リンクの中国語教室にはフリー会話クラスがあるが内容を見るととても高いレベルが求められることが分かる。上級レベルでは即応力を鍛えられて非常に刺激的だが、初級レベルでは到底歯が立たない。

初級者がマンツーマンレッスンで自由会話を行おうとすると、まず講師の先生の質問が聞き取れない。そして、なんとか聞き取れたところで単語の意味がさっぱり分からない。そう、全く会話にならないのだ。始めてから5分もすれば「あ、これは無謀だったな」と誰でも気づく。では、何だったらできるのだろうか...

すでにやり終えたテキストをレッスンで使ってみよう。

マンツーマンレッスンで最初にお勧めするのは、「すでにやり終えたテキストを使って、復習を兼ねて会話練習をすること」である。独学時代に使っていたテキストは自力でやり終えたので、内容には一応馴染みがある。でも、よくよく考えてみると自力では分からなかった部分や確認が必要だなと思っていながら放置していた部分が必ずあるはずだ。なので、レッスンでテキストの前半の方からもう一度練習してみるといい。これならば既に一度目を通した内容で会話練習もできるし、独学の時には分からなかったところを質問できる。それに、このやり方ならレッスン前の予習・復習が格段に楽だ(だって、一回やった内容ですから)。慣れないレッスンはそれだけでも心理的負担になるのに、大量の予習・復習に追われてしまうと多忙な身には正直きつい。

最初はこのやり方で様子を見ながら三ヶ月くらい続けてみよう(二週間に一回のペースなら6レッスン)。もし内容が物足りないと感じるのであれば、講師の先生に「もう少し難しい内容を勉強したい」とか「発展的な内容も一緒に勉強したい」と伝えてみるといい。先生たちは補足や関連表現を用意したりして色々な工夫をしてくれるはずだ。

分からない時はとにかく質問をしよう。

私が新しい語学のレッスンを始める際、「分からなかったです」「〇〇(単語)の意味は何ですか?」「繰り返してくれませんか?」をその外国語でどのように言うのかを講師の先生にまず確認する。例えば、ベトナム語の場合は "Tôi không rõ lắm"(あんまりハッキリしませんでした)"Từ 〇〇 ý nghiã là gì?" (〇〇という単語の意味は何ですか?)"Có thể nhắc lại dược không?"(繰り返してもらってもいいですか)のような表現を教わった。これら教わった表現をとにかく何回も使っていく。

マンツーマンのレッスンでは「分かったこと」を伝える以上に「分からなかったこと」を伝えるのが大事だ。これは教える側の視点からも同じことで、自分の言ったことを生徒さんが理解しているのかどうかが分からない時はとても不安だ。次の話題に進んでいいのか分からないし、確認の質問をしても答えが返ってこない...気まずい時間だけがただ流れていく、ということになりかねない。こういう時に「分かりませんでした」と一言答えてもらえれば、先生たちはすぐに頭を切り替えられる。「OK、もう一回繰り返すよ」とか「どの単語が分からなかった?」のようにあなたの問題を解決するためにフォローしてくれる。

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毎回のレッスンの最後には次回の内容を確認しておこう

もうひとつ私が毎回のレッスンの最後に必ずやっているのは、「次回はテキストのこの部分とあの部分をやって、宿題としてこの部分をやっておきます」というのを講師の先生と確認すること。これをやるだけで、次回の予習をどこまでやればいいのかがハッキリするし「それ以降の部分は準備しませんよ」という宣言にもなる。仕事や家事育児に追われている中で次回の予習をしないといけないので、どこまでやるのかを明確にすることで無駄な努力を極力減らしたい。それに、次回どこまでやるのかが分からないとレッスンの準備をするのが単純にしんどい。

この他にもノートの取り方やオンラインレッスンの対応などで細かいコツはたくさんあるのだが、「今日は何をやるのか」と「何が分からないのか」を講師の先生と気軽に共有できれば心理的にも楽だし信頼関係も強まってくる。レッスンを始める際はぜひお試しあれ。