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30代からの語学3 スタートダッシュ

雨が降るとわんぱく盛りの娘はやっぱり退屈する。ただでさえ湿度が上がってイライラするのに、遊びの選択肢が限られてしまってご機嫌斜め。運動しないとお腹もあんまりすかないのでご飯もあまり食べない。だけど、おやつはいつも通り食べる(笑)

雨と言えばベトナム語で「傘」に当たる単語の ô がやたら気になる。発音は大体「オー」と同じ。この単語、どこから来たのだろう。「オーストロアジア語族」という言語家族の一員であるベトナム語はカンボジア語などと親戚関係にあり、他の親戚言語も東南アジア大陸部からインドにかけて散らばっている。だけど、とてもたくさんの単語を中国語から「借りてきた」ので日本語とも似ている語も多い。例えば、公園は công viên(コン・ヴィエン)、注意は chú ý(チュウ・イー)、破産はphá sản(ファー・サン)。中国語を介して繋がる日本語とベトナム語の類似性。

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だけど、ベトナム語の傘 ô は「傘」を指す漢字の音とは全く似ていない。例えば、標準中国語(普通話)だと「傘」sǎn、広東語も「傘」saan3か「遮」 zhe1だけど、どちらもôとは似ていない。だからと言って親戚のカンボジア語の「傘」をgoogle翻訳で調べてみると、 ឆ័ត្រ chhtと出てきてやはり似ていない。なんとなく不思議な響きがする、母音だけのこの単語はどこから来たのだろう。

そんなことを色々な辞書を引きながら考えていると、あっという間に日付が変わる。娘の寝付きが悪かったこともあり今日一日分の勉強は目標よりも進まなかった。でも、コロナ禍の現実から少し意識を遠ざけてあれこれ考えるのはやはり楽しい。

さて、今回は新しい語学をいざ始めるときのお話。

いきなり挫折しないためのスタートダッシュの大切さ

「なにか新しい語学を始めよう!」とやる気にみなぎるあなたは、退勤時に早速駅前の書店に寄って、楽しげで易し(優し)そうな旅行会話スタイルの入門書を一冊買った。夏の暑い一日の終わり、自宅に帰るとすぐにお風呂に入って缶ビールを開ける。今日も疲れたなぁ、とTVを見ているうちに23時を過ぎる。もう寝なくては。

明くる日の朝には買ったばかりのテキストは「積ん読」に化けてしまい、次に開くのは古本屋に売る日だったりする…

自分の経験を振り返っても、新しく語学を始めようとする時のモチベーションはテキストを買った瞬間にピークに達する。そして、買ったことに満足するからだろうか、そこから急降下する。特に、新しいテキストを買ったその日に開かなかった場合は失敗する可能性がすごく高い。私も色々な外国語を勉強してきたが、なぜかフランス語だけはこの手の罠に何度も引っかかっている。

独学で始める語学は自力で主体的に臨まないと進まないので、モチベーションが高いうちに始めないと続かない。新しい語学の勉強を成功させるには何よりもスタートが肝心なのだ。私が新しい語学を始める際に気をつけていることをまとめておこう。

①仕事や家事育児の閑散期に始めよう。

私も当然職があって家族もいるのだから、日々の生活で仕事と家事育児が優先なのは言うまでもない。となると、語学に割ける時間は一日24時間から仕事と家事育児を差し引いた「余った時間」だけである。だからこそ、仕事や家事育児が忙しい時期には新しい語学を始めない。年度末の繁忙期や子どもの夏休みに始めようとしても十分な時間を確保できなくてイライラするし、極度に疲れた状態では頭が働かない。仕事のリズムが比較的落ち着いていて夜に勉強時間が確保しやすい時期や子どもが幼稚園や学校に通っていて自由な時間が比較的取りやすい時期から始めた方が絶対にいい。最初のテキストを買うタイミングを仕事や家事育児の閑散期にうまく合わせてみよう。

②テキストを買ったその日に始めよう。

何度も言うが、新しく語学を始めようとする時のモチベーションのピークは、テキストを買った瞬間だ。そこからは一気に下がっていくので、テキストを買ったその日に学習をとにかく始めてしまおう。私も経験がある失敗例だが、週末の土曜日から始めたいと思って金曜日の退勤時に書店に寄ってテキストを買うと、なぜか土曜日になっても本を開く気力が湧いてこない。それならば、土曜日の午前中に書店に行ってテキストを買って、午後か夜からテキストを始めよう。モチベーションが低下した後に語学を続けるためには何よりも「達成感」が必要になる。「その日のうちにテキストを始められた!」というのも立派な達成感なので、その後の学習を心理的に引っ張ってくれる。

③テキストを始めたら一週間休まず続けてみよう。

仕事・家事育児の閑散期にうまく最初の一歩を踏み出せたら、少ししんどいかもしれないが最初の一週間だけは毎日続けてみよう。繰り返しになるが、モチベーションが低下した後でも続けていくためには「達成感」の役割がすごく大きい。一週間続けると発音の練習が一通り済んで「私の名前は〇〇です」や「私は日本人です」くらいは表現できるようになっている。折角なので、家族に向かって「Em tên là 〇〇(あなたの名前は〇〇です)」「Chúng ta là Người Nhật Bản(私たちは日本人です)」みたいに唐突に話しかけてもいいし、自分のtwitterで「Tôi là người Nhật Bản(私は日本人です)」と無意味につぶやいてもいい。それは全部「一週間勉強したからこそできたこと」なので、学習の成果としてぜひ誇ってほしい。

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私の経験では、最初の一週間をうまく成功できた語学は、突然の仕事の繁忙期に巻き込まれなければ数ヶ月くらいは続けられる。その数ヶ月の間で最初のテキストを一冊やり切れたら、まさに理想的なスタートを切れたことになる。次回はスタートダッシュの後の勉強法を考えてみよう。