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30代からの語学1 始めるきっかけ

朝、娘の朝ごはんから一日が始まる。

みんなが朝ご飯を食べると食器を洗い、コーヒーを飲みながら本日の中国語授業(教える方)の予定を確認。げげ、今日オンラインで公開する小テストの内容が中途半端なままだった...

8月は娘の幼稚園も夏休み。在宅勤務と幼稚園児は相性が全く最悪で、子どもの遊びに巻き込まれながら仕事を少しずつ進めていく。灼熱の公園でも平気で遊びまくる娘を連れて帰って、昼ごはんを食べながら学生の質問が受信箱に届いているのに気づく。

色々と仕事に追われながらも、娘の3時のおやつを用意して、夕方にはアマプラでアニメを見せて、夜ご飯も作って食べさせてお風呂に入った。さあ、あとは寝かせるだけ。おやすみなさい。

30代+育児中の語学は、ここからが本当のスタート。コロナ禍の前からずっと続いているベトナム語の勉強。ベトナム語を始めたのは5年前だから2016年、34歳の時。仕事や家事育児の合間に勉強をしていくのでなかなか進歩しないのは仕方がない。でも、幸いこれまでドロップアウトしなかったおかげでフォーマルなエッセイでも時間をかければ読める。今日のエッセイは「ベトナムの戸籍の歴史」。ベトナム王朝時代から第二次世界大戦後のハノイ市の戸籍の話はすごく面白い。

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マスターしきれていない外国語の長文読解は時間がかかる。娘が寝ついてから始めると、一日で読めるのはせいぜい一段落(それでもしっかり一時間半はかかる)。しかも30代に入ってからは、新しい単語をすぐには記憶できないので同じ単語を何度も何度も調べている。もしこれが大学の宿題だったら出来の悪さにうんざりしていただろう…

それでも、プレッシャーのない語学は純粋に楽しめるし毎日続けられる。学生だった頃のように授業の単位を求められる訳でもないし、履歴書の学歴欄を埋めようと語学の検定試験を必死に受ける必要もない。気になる言語を好きなだけ学べばいいし、基礎さえつけばテキストなどにこだわらず好きな題材を好きなペースで読めばよい。子育て中なので時間はすごく限られているけど、勉強自体は高校や大学の時よりもずっと自由度が高くて楽しい。金銭的にも少しは余裕があるのでレッスンにもお金をかけられるし、勉強の選択肢も広がってる。

30代からでも語学を楽しむコツはどこにあるのだろう?今までの自分をちょっと振り返ってみる。

語学を始めるきっかけ

私は言語学を専門に研究していて大学で中国語を教えている。なので、外国語も語学も非常に身近な存在なのだが、20代の頃は学位論文を書くために実験調査や学会発表などで追われていて、商売道具の中国語と英語以外の勉強をしたくても時間的余裕は全くなかった。

30代に入ったのと同時に最後の学位を取って大学に就職して少し時間的余裕ができた。そこで、最初に勉強してみたのは台湾語(台湾で使われる閩南語)始めたきっかけは「なんとなく」。「研究のため」みたいな打算的な理由というよりは、自宅と職場の往復になりつつあった日々の生活に少し変化が欲しくて、新しい趣味として始めるには心理的負担が少ない語学を選んだのだと思う。

そんな訳でとりあえず書店に行って入門書を一冊買ってちょっと勉強してから、当時はまだ結婚前だった妻に「来週から一緒に台湾語レッスンに行くから」と突如宣言したのであった。

何も聞かされていない妻にとってはまさに晴天の霹靂だったが、その後台湾語を話すためだけに高雄まで行き、娘が生まれるまで見事に学習を続けた。

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5年前に始めたベトナム語の場合は、始めたきっかけが少し違った。自分の担当する中国語の授業にベトナムからの留学生がいたのだ。でも、「日本語でうまく教えられない時にベトナム語で教えられるように」とか「分からないところはベトナム語で質問してもらえるように」みたいな崇高な理由はない(そもそもそんなことができるレベルまで上達するには数年は必要だ)。なんというか、今思えば不思議なのだが「ここでベトナム語を始めないと恐らく一生始める機会はないな」とその当時は思ったのである。そういう訳で、とりあえず書店に行って入門書を一冊買って、分からないところは中国語の授業の合間にそのベトナム人留学生に教えてもらっていた

30代にもなると、語学が多少身についたところで職場での自分の立場や収入が大きく変わることなんてないことが分かってくる。だからこそ、30代から始める語学の動機は気楽でいいと思う。日々の出勤や在宅勤務での大して変化の無い生活に退屈した時に、TVの紀行番組や旅行ガイドブックで見た日常とは違う世界を思い浮かべながら気になる外国語の入門書を手に取ってみるのは、新しい自由な冒険が始まるみたいでワクワクする。

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ただ、その入門書を買った瞬間にモチベーションは一気に下がるのだけどね…(詳しくは第3回に)