空溜まり 寵愛

空溜まり

右手を焼いた
透きとおる碧は裂けた
沸き立つ血
震える樹々の闇
人間の姿を装うかなしみ
数式は傾きながら
夢に影をおとした
充たされていない部屋で
無言のままのダーツ盤
プラトンには見えた世界が
わたしにはみえない


寵愛

したたかな粘土は
星をも畏れない
からからに剥げた鼠色
深緑につぶされた未来
光源にあつまる虫と
美しい花
実存を高らかに宣言し
想像の波は身体と出合う
角の欠けたキューブだけが
殺意を隠している

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