パリ・オペラ座の日々1993~1994:4月20日 ノルマンディー旅行前編 ルーアン、ル・アーブルへ
(モネが繰り返し描いたことで知られるルーアンの大聖堂)
4月20日(火)
この日はルーアン(Ruen)とル・アーブル(Le Havre)へ行った。ルーアンでは目的のレストランL'episodeでランチ。こじんまりとしたとっても良い雰囲気のお店。グリーンのイスが素敵だった。料理は全体的にヌーヴェルキュイジーヌな感じでサッパリとしてどの皿も美味しかった。食事後ルーアンの町を少しブラブラ。ジャンヌ・ダルク所縁の時計台、広場、木組みの街並みの様子、モネの描いた大聖堂など観光して、その後ル・アーブルへ移動。
ル・アーブルに着いてみたら、単なる港町でちょっとビックリ。完全な商業都市、商業港だった。目的のオン・フルールへのバスがもう終わっていたので、宿を探して一泊することに。夜は地元民多数のブラッスリーでフリュイ・ド・メールなど。カキ、オマールが美味しい。アメリケンソースの虜になった。
SNCFチケット 576F
メトロチケット 12F
L'episodeでの食事 333F
Cafe 17F
水 4F
サンドイッチ 22F
Brasserieでの食事 214F
チョコレート 5F
ル・アーブルでのホテル代 260F
ここまでの3週間くらいでようやく生活基盤が整って、先々のオペラ座でのバレエチケットの手配、ビザに配慮した英国渡航の準備など、種まきがひと段落した感じです。気温も暖かくなってきたし、緑が美しい時期に短い旅行をしようという話になりました。
フランスのほとんどの地域をまだ訪れたことがないわけですから、どこでもよかろうということで、なんとなくガイドブックを眺めてノルマンディーへ出掛けることにしました。北方向の地図を眺めて、ジャンヌダルクゆかりのルーアンと、スーラが描いた美しい港町オン・フルールへ。
チケットは事前予約せずに、SNCF(フランスの国営鉄道)の窓口で当日購入しました。まだまだフランス語がヨチヨチ歩きなので、aller-retour(行き帰りのチケットを同時購入する場合)のこととか、ホームでチケットをコンポスタージュ(Compostage ホームに設置されている機械でチケットに刻印)する仕組みとか、戸惑うことばかりで珍道中もいいところです。
ノルマンディーについて知ってるのは、牧畜が盛ん、ブドウが出来ないのでりんごから作るシードルの産地…くらいです。車窓から見える牧草地に巨大な牛がゴロゴロ見えます。デカい!フランスの牛ってデカいです!ほんと。
パリから電車で1時間くらい。日帰り旅行には最適のチョイスだと思います。パリとは打って変わって木組みが印象的な街並みで、とても風情があります。歴史的にも見どころ満載です。
(ルーアン中心部の街並み。ノルマンディー方面に行くと、このような木組みの街並みが多くなります)
(有名な時計台。1525年!に設置されたものだそうです)
ジャンヌダルク関連の広場、施設もありますが、最大の見どころはなんといってもノートルダム大聖堂。移ろう光を追ってモネが描き続けたことでも有名です。
(1881年ルーアンのノートルダム大聖堂)
(モネの描いたルーアンの大聖堂 1892年頃)
ノルマンディー地方は、第二次世界大戦末期に主戦場になってしまったため、この大聖堂も爆撃と地上戦で壊滅的な被害を受けました。
(第二次大戦の爆撃と砲撃で破壊された大聖堂)
尖塔はある程度残りましたが、中央の部分はほぼ崩壊してしまいました。現在は長い年月の修復を経て美しい姿に復元されています。
午前中に到着していたので、街並みを観光した後は先日購入したばかりのレストランガイドブック「ゴーミヨー(GaultMillau ゴー・エ・ミヨーとの表記もあります。創始者の二人の人物名)」を参考にレストランを選んでみました。
ゴーミヨーはトック(料理帽)の数値が評価になります。20が最高評価で、1993年版では20のお店はゼロ、19.5にロブション、トロワグロなどの有名店が並びます。ルーアンのL'Episodeはトック15。評価の本文の最後が価格の目安で、C:アラカルト、M:ムニュの意味です。このL'Episodeは、「M:90フラン」ですから、お昼は2000円以内でセットメニューを出してくれるカジュアルなお店ということになります。
若い夫婦二人で切り盛りしていて、こじんまりとした明るいお店でした。どの皿もサッパリとした現代的な感覚のお料理でしたけど、とても美味しかったです。僕ら以外には、親子三世代がテーブルを囲んで小さなお孫さんがウロウロしていたりして、リラックスしたムードだったのも良かったです。
妻の描いた絵日記。一皿づつスマホで撮影する時代ではないので、これを描いておいてくれて良かった。なんとなく思い出します。
お腹もいっぱいになって、さて次の目的地オン・フルールへと移動のため、まずは電車で商業港のル・アーブルへ。これも小一時間くらいだったように思います。オン・フルールへはバスの移動ということでターミナルで相談すると、もうバスは終わりだと…_| ̄|○ 長年東京で暮らしていると、こういう部分の想像力が足りなくていけないですね。
どのみち一泊するつもりだったので、ル・アーブルでホテルを探しました。夕方まで少し街をウロウロしてみたんですけど、これが見事なまでに商業都市、商業港なんです。
目に入ってくるのはこんな光景ばかり(笑)ついさっきまで居たルーアンの中世の香り漂う素敵な街並みとは対照的です。でもまあ、これも現代のフランスの光景ですので、それなりに楽しく散策しました。
後年、アキ・カウリスマキ監督が2011年に製作した「ル・アーブルの靴みがき Le Havre」を観た時に、このときの期せずして滞在したル・アーブルの夜を懐かしく思い出しました。港町特有の少し荒っぽいけれど人間味あふれるムードは、あの映画の中の様子に通じるものがありました。
夕食は気軽なブラッスリーで食べたのですが、その時のフリュイ・ド・メール(貝類の盛り合わせ)、アメリケンソースのオマールエビなどは超絶美味しかったです。さすが港町!
翌日のオン・フルール向けのバスが早朝ということで、その後はビジネスホテルのような宿でさっさと就寝しました。
(有名なモネの「印象 日の出」はル・アーブル港の様子を描いたもの)
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