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パリ・オペラ座の日々1993~1994:3月29日 初オーシャン、初SG

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(僕たちが住まいを構えたサン・マンデの地図)

東京→パリの移動翌日。長距離の移動と時差ボケで疲労困憊していたものの、まず生活の基盤を整えねばならず、早速あれこれ動くことになりました。

3月29日(日)

朝5時起床。二人とも時差ボケで体調不良。AM11:00にLeroy氏来る。各種説明受ける。PM3:00に再度Leroy氏来て、銀行、ショッピングセンターに連れて行ってくれた。口座開設の手配を行った。

スーパー買い物 86F
毛布・マクラ・スリッパ 266F
パン 4F
スーパー買い物 57F
肉屋ソーセージ 9F
N氏へ国際Tel 100Fくらい



アパートの所有者Nさんはこの時日本に帰国して生活しており、事前に伝えられていたのは「現地での細々したことはフレデリックにお願いするように」と。フレデリック?誰それ?(笑) 

 Frederic Leroy(フレデリック・ルロワ:アクサン記号は上手く出ないので省略…ごめんなさい)はNさんの古い友人のようで、無理やりアパートの細々とした管理を押し付けられているみたい。航空機のパイロットになるための勉強をしている人だと。パイロット?ずいぶん夢のある話だな。学生さんなのかな?

早朝、フレデリックに電話して、たどたどしい英語でパリに到着した旨を説明すると、向こうもたどたどしい英語で対応してくれました(笑)しばらくして車でやって来たフレデリックは…う~~ん30代後半?パイロット目指すにはオッサンすぎないか?まあ年齢ってわからないからなぁ(この頃僕は27才。フランス人からすると、日本人の僕たちは10代に見えたかもしれない)。でもなかなかのナイスガイで良い人そうに見える。家財道具の説明とか、とりあえず必要なものがあるか?とかいろいろ気遣ってくれる。そして洗濯機は今現在壊れてる…( ̄ー ̄) これも事前にNさんからは聞いてなくて、やれやれという感じ。「近日中に修理業者が来るからさ」と。

布団が無くて困っている事、手持ち資金を安全に保管するために銀行口座が作れたらありがたいと伝える。いったん帰宅したフレデリックが午後再び来てくれて、Societe General(ソシエテ・ジェネラル)という銀行、ショッピングモールのAuchan(オーシャン)へと連れて行ってくれました。まだ土地勘が全く無くて、移動手段も無かったのでこれは有難かった。

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(下の小さな名刺のマダム・ボフィスさんが対応してくれた。仏語に限ったことではないけど、人名の読み方って難しい。Leroy氏のことも最初は「ルロイ」って呼んで直されました。)

銀行口座の開設はややこしい話で、フレデリックがいてくれなかったらすごく困っていたと思います。なんたってほとんどフランス語がチンプンカンプンだから全部おまかせ(笑)銀行の入口で呼び鈴を鳴らし、ガラスの向こうからロックが解除されて初めて中に入れる仕組みにびっくりしました。当時の日本の銀行は、オープンな広いロビーに窓口がたくさん並ぶスタイルが標準的だったのに対して、フランスでは店内は何席かの対面式の相談カウンターのみ。ATMは建物の外壁に設置されていて、外で操作するスタイルが多いようでした。

学校・職場に所属しない立場での渡仏でしたので当然ビザも無く、金融機関の人からすると僕らは怪しいプータローでしかないわけです。そこをフレデリックが一生懸命説得してくれて、日本の住民票の仏語訳を提出することでなんとか口座開設できることになりました(今思えば、そんなに無理して口座が必要なわけではなかったんだけど)。


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その後、Porte de Bagnolet(バニョレ メトロ3番線の東端)にあるショッピングモール内のAuchan(オーシャン)で買い物。これはビックリした!スーパーではなく、「ハイパー」と呼ばれる巨大店舗でした。

今の日本ならイオンの巨大ショッピングモールはちっとも珍しい存在ではないけど、1993年の日本にはそんなものはほとんど無かったんです。まずそのデカさに圧倒されました。どこまで売り場が続くんだろう…と心配になるくらい広い。

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(Auchanの写真はWikimedia commonsより)

僕はいまでも異国に行く楽しみって、スーパーとか市場をのぞくことだと思っているくらいで、渡仏してすぐに体験したこの時の衝撃は忘れることができません。

①まず店舗がデカい。通路が広い。
このAuchanはどうだったか記憶が定かでないんだけど、後によく通うようになるCarrefour(カルフール)では店員さんがローラースケートでシュ~~~って滑って来る!(笑) それくらい広い。

②商品が何から何まで面白い。
肉も魚も野菜も何もかも初めて見るものばかりで面白い。アーティチョークの実物なんてこの時初めて見たし、クスクスの粉とか冷凍食品のコーナーとか、とにかくめくるめく世界!

③売り場内でビールを開けて飲んじゃう!
これは決して良い事ではないけど、広々した店内なんでビールの棚からヒョイっと掴んでその場でグビグビ。空き瓶は棚にスッと戻す…という光景を目撃してしまい、マジか?!と。レジに並んでいるときも、大きなショッピングカートに食品を満載した親子が前にいたら、会計前なのに子供がチョコのデザートをむしゃむしゃ食べ始めた!(-_-;) 「どうせお金払うんだからいいでしょ?」的な表情で親も意に介さない様子。店員さんもスルー(笑)

とにかくすごくショッキングだし、楽しいしで、あっという間に時間が過ぎてしまい、慌てて布団とマクラと、その他思いつくものをどしどし買い込んで帰宅しました。


なんにもしてないんだけど、そんなことで一日終わっちゃう。まさにプータローなパリ生活がようやく始まりました。

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