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パリ・オペラ座の日々1993~1994:6月28日 仏語の進化、モンパルナスタワー


6月28日(月)

大きな転換点になった一日。
朝、3か月ぶりくらいにフレデリックから11時30頃に来るとTelあり。手紙のこと、ガス代のことなど話し合う。さらにパイロットの学校のこと、南仏プロヴァンスのことなどあれこれ1時間くらい話し込んだ。こちらの語学力の向上をとても喜んでくれて、お試しで飛行機に乗らないか?と誘われてしまった。

午後は二人で「観光」へ。久しぶりにパリの街を練り歩く。モンパルナスへ行き、修道院のアンテナショップでエメラルド水を買う。その後モンパルナスタワーに登りパリの街を一望する。C&Aでトレパンを一つ買って、カフェで一服。近くのクレープ屋さんでガレットを食べた。帰りはメトロ6番線で逆回りで帰宅。

ガス代 903F
エメラルド水 38F
ズボン 29F
モンパルナスタワー入場料 78F
カフェ 30F
アイスクリーム 19F
クレープ屋 132F


階段から落ちてのケガとか、風邪、歯痛など、この時期の日記にはあれこれネガティブ要素が続いています。会社や学校などの日常を構成するルーティーンが無いことが、そういったマイナス要素により一層拍車をかけていたように思います。病は気から…の言葉通り、悪い部分を気にしすぎですね。あらためて記述を辿ると、とにかくバレエ観劇の頻度が激しすぎて、これじゃ体調がなかなか戻らないのも当然だよなぁと(笑)

そんな中でも、この日は明るい気持ちの一日でした。

アパートの管理を引き受けてくれているフレデリックが久々に来てくれて、あれこれ話し込みました。相談したいことはいっぱいあったのですが、彼はフランス北部リールにあるパイロット養成学校で訓練中で、一度パリを離れると数か月戻らないような生活でした。電話で話すこともできたと思うのですが、こちらのフランス語レベルがあまりに稚拙で込み入った内容を伝える自信ががありませんでした。

数か月ぶりに再会してみると、自分たちでも驚くほどフランス語がスムーズに口から出るようになっていて、その変化をフレデリックも素直に喜んでくれました(3月末に初めて会った時はほとんど英語で会話していた)。地道に勉強してきた成果がようやく表れてきました。

アパートの外壁工事のこと、ガス・電気代金の支払いなど相談しました。夏の旅行シーズンの行先としてどこがおすすめ?と尋ねてみると、「そりゃもちろんゴルドだよ!」との返事。南仏プロヴァンスのゴルドという町が本当に素晴らしいんだと力説してきます。よくよく話を聞いてみたら、ゴルドはフレデリックの故郷なんだということが分かりました。自分の故郷を最高だと断言できるのって素敵だなと思います。このアドバイスを素直に受け入れて、7月後半に僕たちは本当にゴルドを訪れることになりました。詳しくは旅行の時の日記で書きますが、これは忘れられない旅になりました。フレデリックに感謝です。

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(南仏ゴルド)

この頃フレデリックは航空パイロットになるための学校に通っていて、リールの学校ではジャンボジェット機(!)を操縦していると話していました。ただ実際に商業パイロットになる道は険しくて、免許が取れたとしても貨物機の操縦士か、最初はスチュアードとして搭乗するような立場になるかもしれないということでした。どこかで小さなセスナに乗せてあげるから遊びに来ない?と誘われましたが、この話はその後なんとなく立ち消えに…(ちょっと怖い感じがしたので)。「自動車と違って空は安全なんだよ、みんなルールに従って飛ぶんだから…。道路はキチガイばっかり走ってるよ」と力説していたのが印象的でした。

(↑ リールにも近いヴァランシエンヌの航空パイロット養成学校。この学校かどうか定かではありませんが、こういう場所に通っていたようです)


午後はモンパルナスへ出かけました。モンマルトル(パリの北側)と間違えやすいですが、モンパルナスはパリの南側で、フランス西部ブルターニュ地方への玄関口となる駅です。パリ大学などがある学生街のカルチェ・ラタンからさらに南に行ったエリア。

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フジタ、ピカソ、コクトーなどが集ったカフェ「ラ・クーポール」など見所満載ですが、もちろんそれは90年くらい前の話なので、そういったカフェも今はわりとフツーの風情で淡々と営業しています。

フランス西部のブルターニュ地方へ向かう列車が発着するため、ブルターニュ発祥のクレープ(ガレット)屋さんが多いのも特徴で、駅の周辺に軒を連ねています。

そしてなんといっても現在のモンパルナスを象徴する存在がこちら。

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モンパルナスタワー 59階建て。1972年竣工ですから、もう48年も経つんですね。パリ市内では唯一の高層ビル。そのドライな外観は建設当初から批判の的になり、1974年にはパリ中心部での新たな高層ビルの建築が条例で禁止されてしまいました。

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散々な評判のモンパルナスタワーですが、せっかく来たので展望台へ上がりました。1900年のエッフェル塔の建設当時、作家のモーパッサンが塔を嫌うあまり唯一エッフェル塔を見ないですむ塔の中のレストランでの食事を好んだというエピソードがありますが、モンパルナスタワーの屋上展望台から一望するパリは素晴らしい眺めでした。

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エッフェル塔、トロカデロ方向

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アンヴァリッド、遠くに凱旋門。


その後クレープ屋さんで食事したり、ラルティザナ・モナスティク(L'artisanat Monastique)というフランス各地の修道院で作られた製品を販売するお店で、打撲・やけど・虫刺されに効能がある万能薬(?)だという「エメラルド水」を購入しました。はちみつとか、クッキー、衣類まで販売されていて、面白いお店でした。

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https://www.artisanatmonastique.com/eau-emeraude-lotion-naturelle-a-base-huiles-essentielles.htm

↑ 1951年から続いていて、現在も継続しているようです。


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