《ゴルトベルク変奏曲》演奏史の三段活用
バッハの《ゴルトベルク変奏曲》は1741年、『クラヴィーア練習曲集』の4番目として出版された。実際のタイトルは「2段鍵盤のチェンバロのためのアリアとさまざまな変奏曲からなるクラヴィーア練習曲集」。表題の通りこの曲は、手鍵盤を2段そなえたチェンバロのための作品で、その点は争いようがない。
とはいえその後、チェンバロが音楽の表舞台から姿を消したのも事実。その間、鍵盤楽器の代表選手となっていったのがピアノだ。19世紀末にチェンバロが再び注目を集め、改めて表舞台に登場してきたとき、この楽器は改造を加えられ、モダンチェンバロへと姿を変えていた。こうして《ゴルトベルク変奏曲》を含むバッハの鍵盤楽曲は、ピアノ奏者とチェンバロ奏者、どちらのレパートリーにも繰り入れられる時代がやってきた。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?