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銀翼のハヤブサ1:銀に塗れ!(動画あり)


「銀色の飛行機が塗りたい!」と、ファインモールドの隼を後先かまわず作り始めた

ファインモールドの隼は、なんだかとてもシュッとしている。昨年1月に届いた月刊モデルグラフィックスの付録を開けた時、一体成型された胴体がコロンと出てきて、「ぴちぴちでスマートな川魚みたいだ」と思った。

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本来ならこの時期、静岡ホビーショーの合同作品展に参加する所属クラブの課題で追い込まれている時期だが、残念ながらコロナ禍でホビーショー自体が中止になってしまった。ならば次の機会に備えて、地道にコツコツと課題を進めよう...とは思わず、まるっきり別の何かを作りたくなった。

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なぜ隼だったのか?はわからない。たぶんツイッターのタイムラインで同社の新製品ファントムのインテークの写真を見たせいだ。この隼も1/72スケールでありながら、パーツ表面にはリベットのモールドがびっしり打たれている。「凄いなぁ〜」と眺めているうち、自然と手が動いた。

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冒頭でも触れたが、胴体は一体抜きなのでパーツを接着する手間は要らない。ありがたい! ただパーティングラインが僅かに浮き出ていたので、デザインナイフの刃を立てて消してやった。また下側の中央には翼面から続く峰があるので、エッジをなめないように注意深くサンドペーパーで面を作っておく。

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パーツの数は少ないので、アンテナ等の細かいもの以外はランナーから切り離してしまった。ニッパーの使い方は人それぞれだが、僕自身はこれくらい(0.5〜1mm)距離を残して刃を入れ、デザインナイフで少しずつ切り取っていくのが好きだ。なんか『丁寧にやってる』感じがする。

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組み立てのちょっとしたコツ

今回はGW中に短期決戦で仕上げたかったんで、翼のパーツの貼り合わせには瞬間接着剤を使った。販売店が限られていて謎のプレミアム感があるが、台湾製の一滴粘(ワンパンチ)が使いやすい。特に黒色のワンパンチは貼ったところに色が残り、接着剤が確実に回ったかどうかの目安にもなる。

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ちなみに瞬間接着剤は5年も経つと劣化して、結晶のようにポロポロと剥がれ落ちるけど、塗膜で覆って直接空気と触れないように封じ込めておけば大丈夫なことが多い。それでも心配だ...という人は、溶かすタイプのプラ用接着剤を使おう。

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主翼の上下を接着した継ぎ目をサンドペーパーとスポンジで処理した後、胴体パーツと組み合わせてみる。青印のところに若干の隙間が空いてしまったので、後端にランナーでつっかい棒を渡して幅を広げた。

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前側も同様にして幅を広げた。こちらはひょっとしてコクピットから見えてしまうかも?と細い真鍮線を使ったが、まぁ心配するだけ無駄だった。胴体の前後パーツを接着して、表面の状態を確かめるべくサーフェイサーを吹く。

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この時のサフは、まだ全体にブワっと塗らなくてもいい。接着した継ぎ目やヤスリ傷が残っていないかどうかを調べるのが目的だから、もし修正が必要な箇所が見つかれば、エアブラシで3-4回重ね吹きして塗膜を厚くし、やすりがけに備えておこう。

ディテールアップを少しだけ!

半日ほど間を置いてサフが乾燥したら、埋まりかけたリベットのモールドをチマチマとなぞり打つ。この時全てを打ち直す必要はなくて、これからサンドペーパーを当てるところだけでOK。

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あまり強く打ち込むとそこだけが目立ったり、モールドが崩れて余計な仕事が増えてしまうから、指先の力加減がとても重要! ヘッドルーペのレンズを最大の2.5倍に変えて「下手したら2-3年後には出来ない作業だなこりゃ」と嘆きつつ、ゆっくり針を進めていった。

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翼端のこの部分には、わりと目立つヒケがある。先にガリガリ削ってしまうとリベットが消えるので、ここもまたモールドを深めになぞり打っておく。その先の翼端灯は透明の伸ばしランナーで作り変えるという手もあるけど、今回は銀色を塗るのが第一目的なので、多くは望まないことにした。

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エンジンカウルのパーティングラインは、サフを吹いて初めて僅かな凹凸が確認できる。周囲のモールドを傷めない程度にサンドペーパーをかけ、ついでに後縁の内側を削ってエッジをキンキンに立たせた。いわゆる『薄々攻撃』というやつね。

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主脚のカバーにも薄々攻撃をかます。下側の接着ダボはかなり目立つので、どうしようか迷ったけど、スパッと切り飛ばして平らに整形。そのままだと空間がスカスカで違和感があるので、細いステーを2本ずつ、洋白線か何かで付け足すことにしよう。

下地作りは念入りに

さて、ここからは銀塗装のキモである下地作りに突入。最初に言っておくけど、最も面倒で時間がかかるステップだ。表面はほぼ整えてあるのでサフは省略して、GSIクレオスの光沢のあるブラックを30分のインターバルで3度に分けて吹き付けた。

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もちろん戦時中の実機はこんなハイライトが走るほどアウトラインのつながりは良くない。が、これはあくまでも『模型』。頭ん中のイメージを具現化して、手元で眺められるようにするのがモデラーってものでしょ。その人なりのやり方で、千差万別あったほうが面白いからね。

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一晩たって塗料が乾いたら、改めて表面を研ぎ出す。主翼の上には凸モールドがいくつかあるが、なるべく傷つけないように避けながら面を作っていく。スポンジやすりは微妙なRのラインを綺麗に出すのに便利だけれど、頼り過ぎるとなんだかシャキッとしないので、多用するのは控えなきゃと思っている。

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やすりがけでプラの下地があちこち出たまま銀を吹くと、溶剤の染み込み具合がまちまちでムラが出るから、それを避けるためにもう1度だけ黒を吹く。面倒だけど仕方がない、物理と化学の法則にはどうあがいても逆らえないし、念入りに準備を重ねて初めて美しいものが得られる、と思っている。

偉大な塗料、でも吹き方にはコツが要る

胴体や翼より先に、下地が整っていたプロペラやスピナーの塗装を済ませた。使ったのはタクミの『スーパーミラーII』。この塗料の登場でカーモデルのメッキ調の塗装が可能になった偉大な塗料だけれど、吹き方には少しコツが要る。

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1. 少し遠目の距離から、砂吹きするような感覚で銀の粒子を乗せていく。

2. コンプレッサーのエアは低めに、高すぎるとノズルから吹き出た直後に乾燥してザラつく傾向があって、低圧ギリギリのほうが結果が出やすい。

3. 吹いた直後はアルミっぽい曇りのある質感だが、乾燥するにつれてみるみるメッキ感が増してくる。
※ 下の動画の中でも再三エアーをから吹きして塗料の乾燥を促し、銀色の乗り具合を確認している様子が確認できる。

あと、この塗料はアルコール系で塗膜が薄くて、保護のためにクリアーをオーバーコートすると、そこに含まれた溶剤の影響でメッキ感が失われてしまう。カーモデルではウレタンクリアーの溶剤を半ば揮発させるように砂吹きでコートする裏技もあるけど、この隼にウレタン吹こうものなら繊細なモールドが台無しだし、さてどうしたものか? やはり水性のトップコート?

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それから構成の都合で画像の順番が前後するけど、コクピットはご覧のとおり、色を塗って組んでから胴体と翼を合わせている。計器盤は付属のデカールをモールドになじませながら貼って、シートと床、壁面は濃緑色に明るいグレーを混ぜたものをエアブラシした。

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このとき接着剤を付ける箇所は、主翼の前後のフィレット部分に黒いワンパンチ(略して黒パンチ)を若干はみ出す程度に、コクピット底面の両側にはセメダインの『ハイグレード模型用』を塗り、胴体を閉じてから余分を綿棒で拭き取った。もちろん該当箇所の塗膜はできるだけ剥がして、プラの地肌を出しておいたほうが安心できる。

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カウリングとの継ぎ目に機内色の青竹色を吹いたものの、予想外にビビッドな色合いで驚いた! そしてこのフィレットの継ぎ目の整形は、技量の差が如実に出てしまう部分かもしれない。最初のとっかかりは鉄やすりを使い、ある程度の形が出たらサンドペーパー、そんで仕上げはスポンジやすりをちぎった小片で面を整える... といった感じで、工具の役割分担や自分なりのルールを明確にしておくと、曖昧さや迷いが消えて一歩先が見えてくるように思う。

長くなったので(その2)に続きます。

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