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保育士さんたちへ、最大の敬意を。

時間が経ってしまったけど、昨年度、娘の保育園で「一日保育士体験」というものに参加してきた。

「一日保育士体験」とは、年度内に両親が一度ずつ、保育園で一日、自分のこどものクラスで過ごすことができるという貴重な機会。
保育士体験について、娘に「ママもしたいんだけど、してもいい?」と聞いたら、「え~でもなあ、恥ずかしいなあ」と言われた。ママが保育園に行くって言ったら喜ぶかと思ったのに。ガーン。
…しかし拒否られても、やっぱり娘が保育園でどんな生活をしているのか見たい。
3月生まれでマイペース、かつシャイな性格の娘。0歳児の頃から通っている子もいる保育園で30人弱のクラスに、娘は昨年度転園したばかり。前年度のほんわかアットホームな小規模保育園(2歳児までしかいない、同学年の子は4人でみんな女子!)とは全く異なる環境で、ちゃんと今の保育園の生活に順応しているのか。お友達に辛く当たられたり、いじわるされたりしていないか…!?
気になっていたので、保育士体験させていただくことにしました。
ちなみに、保育園と調整して体験日を決めてからは、毎日のように「この日はママも娘ちゃんと保育園行くよ~!楽しみ~!!」と、こちらが前向きだということを言葉にして伝えていたら、娘もだんだんと「ママ先生楽しみ!」と笑ってくれるようになった。娘が消極的なのはやはりちょっと寂しかったので、よかったです。

一日保育士体験の当日。物珍しさからか、大人との交流に飢えているからか、クラスのこどもたちがたくさん私に構ってくれました。常に複数のこどもたちが「こっちで遊ぼう!」「これ見て!」「これして!」「これはなんとかでうんたらでどうのこうの!!」と喋りかけてくれていた。その一方でさっき始まったお人形遊びは突然全く違う局面に移行しているし、あの子とこの子でやりたい遊びは異なるし、背中には誰か乗ってるし、聖徳太子でも対応困難なんじゃないか?と思うくらい、五感をフルに使う一日だった。
本当はずっと娘を見ていたいけど、嬉しそうに話しかけてくれる子や、私の膝の上に座りたくて争う子たちを蔑ろにはとても出来ず…。強く主張できないタイプの娘は、本当はもっともっと「私のママ」に甘えたかっただろうなあ。

娘の素の保育園生活の様子は、大方予想通りで、マイペースな娘がぼーっとしていると、しっかり者タイプのお友達から「娘ちゃん、手はおひざだよ!」とか「背中ピンとして!」と注意され、その度に娘は(あっそうだった)と言わんばかりに慌ててその通りにしていた。主張強めなお友達からは(それは最早イチャモンに近いな!)と大人なら思ってしまうようなことを言われてもいて、そういう時の娘は反論することもなくかと言って謝ることもなく、ただ困った顔をしているように見えた。本当は想うところがあるだろうし、やだなあ、って思っているかもしれない。そういうことが日常的にあっても、毎日ちゃんと保育園に行ってくれている娘には感謝しなくちゃいけないし、それだけでもう、とてもとても偉いなあ、と思った。

もちろん全体的に見ればそんな辛そうな所ばかりではなく、お友達と楽しそうに遊んだり、娘がお友達の一番好きなキャラクターの人形を確保してあげていたり、娘が(私に甘えて)泣いていたらお友達が「娘ちゃん、おりこうさんなのにどうしたの?」と優しい言葉をかけてくれたり、という場面も見ることができた。家庭では与えられないものをたくさん得て成長しているなと感じたし、仲良しのお友達とは楽しくやれているようだったのでその点は安心した。

娘の成長を感じると同時に、何よりも保育士さんの献身的な勤務の実情には正直驚いた。給食まで一度も水分補給をすることもなく、お昼寝まではトイレにも行けず(膀胱炎が職業病と言われているらしいです…)。一日中歌ったり絵本を読んだりと声張りっぱなしだし、まだつたない日本語のこどもたちが言い合いになればお互いの主張を辛抱強く聞き、言うことを聞かない子を怒るのではなく「どうしたの?上手にできるところ見せてよ~」と、こどもに寄り添った声掛けをする…。すごい。 す ご い 。
こどもが好き、というだけではなかなか出来ないと思う。だって毎日だもん。意思疎通ができるようになってきた年齢ではあるけど、それでも「自分が!自分が!!」の主張がめちゃくちゃ激しい3歳児、と4歳児。話したいことは尽きないし、たまに事実が捻じ曲がっていることもあるし、衝突することもたくさんある。娘みたいにシャイな子もいるし、話すより先に体が動くタイプの子もいる。そんな子たちに毎日付き合うのは結構キツイと思う。それでも一日保育園で過ごして、こどもたちは先生のことが大好きで、本当に信頼しているというのがよお~く分かった。

好きな飲み物を好きな時に飲んで、いつでもトイレに行けるしなんなら業務中に煙草吸うことだってできる会社員って、緩い仕事なんだな…。

娘にとって、というかまあ全てのこどもたちにとって、同じ月齢の子たちと過ごすというのは時に、試練となることもあると思う。でも親としては、それも含めてこどもの命も成長も、保育園に委ねることでもっと成長できると心から思える。今までも娘と話す中で、そして日々の対応からとてもいい保育をしてもらっていると思っていたけど、自分の目でその様子を見たことで、より深くそう思えるようになった。

保育士としてのお仕事は大変だけど、もちろんその分、こどもたちの成長を間近で見られるという遣り甲斐があるんだと思う。なんといってもこどもたちは可愛い。いろんな性格の子はいるけど、どの子もその子なりの可愛さがあるというのも、一日保育園にいて感じたことのひとつ。可愛いところを引き出してあげるのも幸せだと思うし。

そして保育園の給食とおやつ、めっちゃ美味しかった。栄養バランスもちゃんと考えられているし、量も十分にあるし、味も薄くなく濃くなく、いやもう本当に美味しい。日々の献立表を見ていると、私が作ったこともないようなメニューがたくさんあるし(というか私がカレー or 鍋みたいな人間だからあれだけど)、私が作るよりよっぽど美味しい。毎朝保育園に娘を送る時に調理室からいい匂いがしてくるんだけど、それも朝早くから調理師さんたちが準備して作ってくださっているからなんだよね。有難すぎる。

保育士さんのパートの時給、我が街では1000円下回ってるところが多い。いやもうさ、全然だめでしょ。全く割に合ってない。
保育士さんがなかなか水も飲めずトイレにも行けないのも、人材不足が解消されれば少しは変わるんじゃないかなあ。保育園は土曜日も開いているし、朝は早い。娘が通う公立の保育園なんて本当に古い施設だし。先生方が日々きれいにしてくださっているし、危ないところは都度修繕してくれているので「こんなところで保育なんて!!」っていう環境では決してない。でも、やっぱりトイレの水の流れが悪かったり、先生の更衣室こんな狭くて大丈夫?っていう狭さだったり、大人用トイレも暗くて狭くて…。
ちゃんと保育園の状況改善に繋がるのであれば保育料なんて喜んで払うのにな。どうしたら待遇改善されるんだろう。

それでも毎日こどもたちを笑顔にしてくれて、泣いている時には優しく声をかけてくれて、命を守って育ててくれている保育士さん、調理師さんたちに、私は最大の敬意を込めて言いたい。
保育園で働くみなさま、いつも本当にありがとうございます。

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