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ソシャゲ嫌いがポケモンGOをやってみて

 勉強しなければいけない時期なのに、弟がどうしてもやってほしいというので仕方なくポケモンGO をインストールしてみた。

 第一印象は、「あ、ハマるな」だった。1億インストールは伊達ではなく、UI からユーザを引き込む意思が伺えた。アイテムが残り何個かというのが特に他のソシャゲと比べてわかりやすく、何としてでも籠りがちな人を外に連れ出して、公園やオブジェの前で回転の儀を行わせそうとしている。僕もつられて外へ飛び出してしまった。

 僕は田舎暮らしだが、どうやら街の中だけでも 100 箇所くらいはありそうだ。まずは徒歩 1 分の小さな公園に向かった。立ち止まって画面を覗くと、待っていましたと言わんばかりに公園を指すポイントが大きくなり、モンスターボール型の標識となった。

 近所迷惑にならぬようひそひそとポケストップのアイテムを回収した。始めは本当に出るのだろうか、こんな簡単にアイテムが手に入るのかと半信半疑だったが、すぐに画面は僕を喜んで出迎えてくれた。本日初めてのポケストップです!と 10 分 の 1 くらいのスタンプをもらうとともに、泡にタマゴやきずぐすりが入った泡が 5 つほど出てきた。消えてしまう前に慌ててタップしまくったが、なんだかその行為に僕は感動して、悦びを覚えた。

 早速手に入れたタマゴをふかそうちに入れて、少し遠回りをして家に戻った。家の周りには少しポケモンが湧いているそうで、なれない手付きでかわいいポケモンを捕まえてみる。コツを掴めば簡単だが、投げ方にも種類があったり、上手く投げるとボーナスが入ったりと「やり込み要素」と呼ばれるものも平然と搭載されていた。図鑑をすべて埋めるというのはロマンを感じるし、学校に行く時にも色々とポケストップを回ったりポケモンを捕まえられるのではとわくわくまでした。

 そもそも弟がやってくれと言ったのは、フレンドになってほしかったからだという。ゲーム内のミッションで、何人とフレンドになろうというミッションがある、後 1 人だから兄貴やってくれ!頼む!ということらしい。ちなみにその他の 2 人はもうひとりの弟と、父だ。父がまたやっかいで、一度ハマったものはなかなかやめようとしないのだ。

 ポケモンGO は徒歩または自転車で各地を巡回するイメージがあるが、運転免許を持っている世代だと違うのかもしれない。父は二人の弟を連れて今日は一日まちなかを駆け巡った、いや駆け巡っ「ている」。ちょっとでかけてくると行って、そのまま何時間も帰ってこないのだ。

 そんなにアイテムを集めてどうするんだという話だが、ポケモンを収集するにあたって激しくアイテムを消費するからだそうだ。最初はローコストローリターンだが、レベル(それも上げるのに一苦労する)が上昇するにつれてより強いポケモンが出てきて、それを捕獲するには重装備で挑む必要があるからだ。僕が少し確認しただけでも数体、伝説と呼ばれるポケモンがいるのはわかったが、これほど頻繁に出てくる反面捕まえる難易度が高いと悟った。

 ポケモンGO が悪いとも言わないし、むしろ面白いゲームだと考えているが、僕は基本的にソシャゲと呼ばれる基本無料ゲームはそんなに好きになれない。好きなモノを楽しめばよいのに機嫌が悪い日であってもログインを要求される。ワンタップでたくさんのアイテムを入手できるから、「集め癖」のある人にとってはたまらないのだろう。イベントが有ると人が寄ってくるのは分かるが、上位入賞するには最低数万円の課金が必要なゲームが多い。

 要は掃除機のように見えるのだ。どんどんお金が吸い込まれていく。そのビジネスに少し違和感を感じてしまう。今の社会的に見て、現代の常識についていけない自分があるのは分かるのだが、僕はもう年だろうか。実際のモノが見えないとお金を使いにくい。といいますか、課金が一種のマウントに見えるのもそう思える原因になっている気もする。

 課金は一種の「壁」であるから、そこで階級が区別される。無課金厨と、課金厨にだ。お金を払うということは本来ゲームを購入したという意味だから、人々は無意識にお金を払った人を「正式に購入した」と、ゲームをしているのに一銭も出さない人を「海賊版をプレイしている」と思っているのかもしれない。現在進行形なのも厄介で、イリーガルな状態が継続していると思い込んでしまうのもある。

 さて、主題はポケモンGO だった。その課金システムはどうなのかというところだが、課金するかしないかのバランスはいいなと思った。子供もやるせいか、価格はバカみたいに高いわけではない。回る時間と労力を考えれば少しお得にも見える。なんだか、時間の使い方を学べるようにも思えた。楽をしたいならお金、楽をしたいならタクシー。最安がいつもお得ではないと改めて感じた。

 初めてしまったからには、こんな僕でも少しやり込みたい気持ちが高まってきた。でも、本命を忘れてはならないし、ゲームはバッテリーの敵だ。そういえば、父はポケモンGO をやるためにモバイルバッテリーを買ったと言っていたが、これも経済効果の一種なのか。脂肪を燃焼するだけでなく経済も回す力を秘めているのが、1 億のユーザを抱えるゲームといえるだろう。