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思春期終了のお知らせ

 なんだろう、恥ずべきことは一定期間内のみで、次の段階へと足を進めて、しまった。しまったと思った。でも大人になったのだ。もうすぐ卒業できるだけあって嬉しい配分が大きい。

 バスの中で読んでいたある本が元凶だ。安かったから絵柄で選んだ漫画。でも、その本を見たときにきらめきを感じたから、僕の直感は正しかった。

 ある日目が覚めると、兄が女の子になっていた――と話は始まる。なんだ、ただの TS物(性別がスイッチするジャンル)か、よくある話じゃないか。まあそうだ。そんなのを読んでいたら読者はニヤニヤするかもしれないが、これほど心には刺さらなかっただろう。

 女の子になった原因は、妹が食材に混ぜた薬だったそうだ。天才妹に遊ばれながら、主人公は性別を女性として、日々の生活を過ごしていく。

 なんだ、ただの百合(女の子同士の恋愛)か、じゃないよ。本当にすごいんです。

 突然憧れのかわいい女子になれるという、おたく気質な人にとってはたまらない展開。声も顔もかわいい。この先には、大変な日常生活が待っていた。

 スカートを履いてみる。とてもスースーして、なんだか気持ち悪い。

 お風呂に入る。髪を洗うのが面倒で、時間がかかる。ドライヤーも必須。

 一ヶ月に一回の恒例行事。トイレに行くと、思いがけない量に仰天する。

 全部、女性はふつうのようにこなす出来事に過ぎない。でも、男はそんなことは考えたこともないし、したことは無論ない。読んでいて、ただただ驚きの連続だった。

 同時に、特に性別に関する面で、特段恥ずかしがる必要がないと知る機会にもなった。異性を見るのが恥ずかしい?それは思春期ならではのフィーチャーで特徴だったのだ。

 僕は変わった人間だが、みんなと同じ経験をしていたようでとても安心した。やはり、人には年代ごとに悩みがあって、年齢経過で次の問いにと展開される。天と地を逆さまにしたような視点で物事を見れたのは大変うれしいことで、自分の成長に間違いなく結びついた。

 18 歳の誕生日にこれを買うと良いんじゃないかと思う。割と本気にだ。

 美少女系のデザインが好きで、いっつもニヤニヤしていて、むっつりな人には特に。外見が重要なんじゃなくて、中身なんだぞ。これは本当に大事。

 最後まで興奮と熱狂だけで書き殴ってしまったが、これで良かったのだろうか。思春期はまだ続いているんじゃないか。怪しい点があるが、ステップアップしたのは本当だ。信じてほしいよ。この変な文章で伝わるかどうかはあれだが。

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最後に、本の紹介


 絵柄はかわいらしいですが、ラノベを読むよりかはバスや電車で読める範囲だと思います。電子書籍ならもちろん、紙もカバーをつければ……。


 ニコニコ静画や pixiv では無料で読めるみたいです。

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最後じゃなかったけど本当の最後


 女体化系の漫画は初めてだったが、とてもおもしろく内容もためになることばかりで、読んだ途端今までの自分の行動全てが恥ずかしくなった。ちゃんと人のことを考えていきていかないとねえ。

 別の視点から考えるってことは、自分の想像をはるかに超える観点を手に入れるってことです。(生物学的に)性別は二つあるとされますからまず二通りの考え方があるといっていいでしょうか。

 今の時代、男らしさ女らしさに代表される言葉は禁忌ですが、それでも僕ら人間は性別に由来する独特の考えを持っていると思います。この発想はなかった、ていうのです。相手の意見を聞くと、これはどうなのかなと首を傾げるアイデアが提案されるわけですが、そこにも無限のポテンシャルが内包されているんですね。

 性別転換というジャンルもただの特殊嗜好に終わらず、僕たちの引き出しを増やしてくれます。もし自分が男の子だったら、女の子だったら。それぞれに大変なことがあって、当たり前の如く毎日を送る。

 自己を投影するのも理解を深める手段の一つです。つまり、小説や漫画の数だけ考え方が増えます。似たような人でも気が合わない理由がなんとなく分かる気がしてきます。


 本当に何がいいたいのかわかりませんが、とにかくこの「お兄ちゃんはおしまい!」という漫画にハマった。それだけのことでした。