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最初は反対派でした。フラット型組織への移行と葛藤を当時のマネージャーに聞く。

GCストーリーは2018年2月よりマネージャー不在の自律分散型組織へ移行しました。移行後の課題や葛藤は2019年にも記事を掲載しています。3年経った現在改めて振り返ってみてどう感じるのか?当時マネージャーを務めていた大野さんにお話を伺っています。

最初はマネージャー制度を撤廃することに反対でした

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ー2018年に行われたマネージャー制度の撤廃について、聞いた当時はどのように思いまししたか?
最初役員から聞いたときは「正気かな?」と思いました(笑)
聞いた当時は稟議フローや権限移譲について明確に決まっておらず、僕は割と反対派だったんですよね。

ー確かにいきなり聞いたら驚きますよね。。反対だった理由を聞いてもいいですか?
マネージャーがいなくなることで、働いているメンバーが幸せになるイメージを持てなかったからです。フラットになることで生まれるのは混乱だけだと思っていました。僕の当時の職種がプロジェクトマネージャーだったこともあり、設計段階で成功イメージを持てないとうまくいかないという考えだったんです。
加えて僕のマネジメントが、まずはチーム内の小さい世界で成功体験をメンバーに積んでもらうスタイルでした。フラット型組織は、全くの逆で強烈に自立が求められます。
当時の経営スタイルであるアメーバ経営が、安定してきたタイミングでもあったので余計に驚きました。

【アメーバ経営とは?】
京セラ名誉会長稲盛和夫氏が生み出した経営管理手法。
全員参加型経営を実現するために「組織の細分化」「部門別採算制度」が特徴である。アメーバ経営は日本航空の再建においても成果を残し、医療介護分野でも導入が進み業種問わず発展を遂げている。

ーマネージャー陣と何か話はしましたか?
同じような意見を持っている人もいましたが、「役員層は会社を良くするためにみんなのことを思っているわけだよね。だったら、その判断を信じた方がいいんじゃない」と同世代のマネージャーに言われてハッとしたのを覚えています。

ーフラット型組織への移行直後は大野さんご自身は何を感じていましたか?
最初の2~3ヶ月は一種の諦めにも近い気持ちがあって、モヤモヤを引っ張ってました。開き直るというか「知らんぞ」という感じも正直あったんですよね(笑)
ただ、組織変更でリーダーをやっていたときには出来なかったことも多かったと気づいたんです。アメーバ経営のリーダーは求められる役割が多く、だからこそ成長できた部分はあります。

・今期のマスタープラン(数値目標)の達成
・来期のマスタープラン(数値目標)の検討
・採算管理
・次期アメーバリーダーの育成
・自分自身の成長

かつ、当時はプレイングマネージャーで緊急かつ重要な仕事が多かったので、緊急じゃなくても重要な第二領域をほとんど動かせなかったんです。その状態が続いてしまうと、未来は楽にならないんですよね。
リーダーの役割がなくなったことで、未来への投資に時間を使い始めました。

ー大野さんの中で、新しい役割を持つと決めたきっかけや理由はあったんでしょうか?
人のせいにしてた部分をまずは反省しました。思い通りにいかないことに対して自分のスタンスが良くなかったと今となっては思います。そこから具体的には新メンバーへの教育、営業戦略、社内メンバーのフォローやサポーター制度の動きを取っていました。

リーダーが組織を作るのではなく、組織がリーダーに求めることをやる

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ー大野さんご自身がマネージャーになったのいつからですか?
入社3年目で25歳の時に4~6人のチームのリーダーになりました。

ーチームリーダーになって欲しいと話を聞いたときは率直にどう感じましたか?
まず「怖かった」のが第一印象です。高校や大学でもリーダーになることはありましたが、自分に何ができるかってそこまで深く考えてなかったんですよね。ただ、不安と同じぐらい直接的にメンバーを幸せにできる可能性が広がることに喜びを覚えもしました。

ー最初のリーダー経験で葛藤はありましたか?
最初は純粋に皆を幸せにしたいと思ってましたが、自分より優秀なメンバーが多かったのでだんだん認められなくちゃいけないみたいなのも強くなっていったんです。
途中から背伸びをしている感覚もあって、そこはしんどかったですね。リーダーとして成果を残さなくちゃいけない葛藤もありましたね。

ーすごくよく分かります(笑) チームマネジメントで心がけていたことはありますか?
当時は出社していたので、朝礼や終礼に顔を合わせて無駄な話をする時間は大事にしていました。業務には関係ない話でも、何でも話せる関係性を大切にしていたのを覚えています。

ー大学の時にもリーダーは経験されていると伺いました。
周囲から推薦されて30代以上続くサークルの主将を経験しています。当時の失敗が原体験として繋がっている部分はあります。
カリスマ性があるリーダーを目指していたら、全然周りがついてこなかったんですよね(笑)
「サークルの業務だからやるでしょ」みたいな感じでしたが、後輩は感謝されないからやりたくないみたいな。同期からも反感を買ったタイミングで 、自分がなぜリーダーに推薦されたかを真剣に考えました。

振り返ってみると、役割とか関係なく誰とでも毎日コミュニケーションを取っていたのは僕だけだったんです。みんながいるから自分がいる前提だから、僕は主将に推薦されたんですよね。そこからはリーダーが組織を作るよりも組織がベースにあると考えるようになりました。あくまでも組織の方向性とメンバーのためにリーダーがやるべきことをやるのがいいんだろうなぁと大学の原体験から感じたことではあります。

階層型とフラット型。2つの組織構造を経験して分かったこと

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ー2つの組織を経験したからこそ感じる違いを聞ければと思います。階層型でもあるかつての組織体系のメリットとデメリットはなんでしょうか?
「論語と算盤」の考えを体現して次世代のリーダーを育てるには本当にいい仕組みだと思います。アメーバ経営の目的は主に3つと言われています。

・全員参加型経営
・経営者意識を持つ人材の育成
・市場に直結した部門別採算制度
引用:https://www.kccs.co.jp/consulting/service/amoeba/company/

アメーバ型組織のリーダーになった人はすごい経験ができる環境で成長実感もあるんですよね。僕自身もこの仕組みで成長した部分は多くあります。

デメリットはリーダーにならないとその経験は得難いのかもしれません。独立採算部門型のリーダーを増やすためには事業として倍々のペースで成長していかないと増えないんですよね。僕たちの当時の限界だったのかもしれません。

ーフラット型組織のメリットは何でしょうか?
個人が主体性を持てば持つほど成長できるので、可能性は広がりますよね。アメーバリーダーしか経験できなかったことを誰でも経験できるようになります。 チャンスが与えられるではなく掴みとっていける感じなんですよね。GCストーリーだと小池は現状の組織にフィットして成長した印象があります。

ーなるほど。デメリットはありますか?
成長が個人の主体性に委ねられてしまう部分はデメリットになる可能性があります。
ティールやフラット型組織で成功している会社は、中途採用メインでスキルも備わっている自律した個の前提があります。
GCストーリーは新卒採用がメインなので、これから成長していく個人をどのように支援するのかが課題の1つにあたるので、メンター制度などを整え個人を支えるアプローチをしています。

組織の観点からもマネージャー不在とはいえマネジメント機能は必要ですよね。マネジメント機能を誰が担うか?を上から定められるわけではなく自発的に自分がやると選択することに価値や意味があると思います。 自らの主体性を持って、取り組むのが大事ではないでしょうか。

ー自律や主体性はどのように育まれるんでしょうか?先天的なものなのか難しさがありますよね。。
貢献する対象を決めるのは一つあるかな、と。
モヤモヤするのはどこに貢献したいか決まってないときだったりします。どこに貢献するか決めれば、あとはやればいいだけなんですよね。

そのためには自分が満たされてないといけません。GCストーリーの組織デザイン事業部でも話されてましたが、シャンパンタワーのように自分からチームへ、そして社会と広げていくように上から満たしていかないと溢れていかないんですよね。他者に貢献したいと思うときは、やっぱりある程度自分自身が満たされてないと厳しいと思います。 自己肯定感が低いときって誰かのために何かしようと思えないですよね。

ーフラット型に移行して3年が経ちましたが、大野さんはGCストーリーを組織としてどう見てますか?
課題はたくさんありますけど、面白い組織ですよね(笑)
例えば、転職活動するとしたら一般的に「自分は何ができるのか?」証明しないといけないと思います。スキルや能力によって自分自身を捉えられる側面が当然ながらあります。
振り返ってみると「こういうスキルがあるからGCストーリーにいて欲しい」と言われたことはないんですよね。
自分自身を人間として見てくれて、「同じ方向を向いているから一緒に頑張ろう」と思ってくれる人がいるのはすごいしありがたい環境です。

その一方、ぬるま湯にはならないようにしようとしていて、今いる会社の人たちと未来に対して、自分が力になりたいと自然と思えています。将来的には自分の孫に勧めたい会社にしたくて、孫に胸張れる会社って単純にすごいじゃないですか。 良い未来に繋ぐために今は一生懸命やるしかないんじゃないかなっていうのが、僕の今の率直な感想です。

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【プロフィール】
大野拓さん
GCストーリー株式会社2013年新卒入社。プロジェクトマネージャーを経験後、入社3年目にマネージャーに。フラット型組織へ移行後は、新人研修、営業戦略の運営を担当。現在は事業推進部と組織デザイン事業部を兼務。GCストーリーYouTube公式チャンネルのGCDaysを立ち上げ、活動中。副業として登録20万人のYouTubeチャンネルのチームリーダーを担当。

取材・編集・文/佐藤政也 写真・デザイン/熊谷怜史

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