突破口はスキルではなく人間性。「価値観が違うから仕方ない」をチームで乗り越えた方法
もっと成果を出したいのに、あるいはもっといいチーム作りがしたいのに、上手くいかない。悩みの原因が人間関係にあるとき、もしかしたら自身の成長の方向転換が突破口になるかもしれません。
プライベートでは苦手な人と距離を取ることが選択できても、仕事だとそうもいかない場面が多くあります。同じチームのメンバーなら尚更です。
GCストーリーは「働きがいのある企業ランキング」「ホワイト企業大賞」など組織づくりにおいて様々な賞を受賞しています。今回は、GCストーリーで最年少ボードメンバー*となった小池隆太さんに、リーダーに必要な成長についてお聞きました。
1年間バトルを続けた後輩との関係。転職も考えた2年目後半
ー社会人生活4年半の間で、最も成長のきっかけになった経験は何ですか?
2年目に一緒のチームで仕事をしていた、後輩の女の子の存在が大きいと思います。価値観が合わず1年間ずっとバトルしていて、お互い受け入れられませんでした。プレイヤーとして一通り仕事ができるようになったのもあり、2年目の終わりに会社を辞めようと思っていました。もうしょうがないというか。
「相手のために何ができるんだろう」とか「相手は何を感じているのか」とか考えても、価値観がまったく異なる人に対して自分にできることはない。自分とは明確に違う人間だと思って、相手と自分を分断していました。
ー合わなければ離れる、関わらないなどの選択はよく聞きます。でも実際は転職せずにボードメンバーになっていますよね。それはなぜですか?
「転職して自分が外に行くだけで変われる」と思っていたと自覚したことがあります。自分のスキルを上げることに目が向いていて、違う場所に行ったら成長できると思ってたんですよね。でも単純に環境を変えても自分の中身は変わらないし、同じことを繰り返すだけだと思って転職をやめました。
社長から「人間的に成長したいならGCストーリーが一番良い」と言われたのも大きかったです。自分の認識を広げたり深めたりする、人間的な成長をするプロセスが組織にあるし、ここにいる人たちはそれを目指しています。
スキルの成長か人間性の成長か、改めてどっちを選択するか考えたときに人間性を選択したいと思ったんですよね。
GCストーリーにおけるボードメンバーとは
「事業に対し責任を持って成果を出すことを目指している、そう行動していると認められている人」(つまり役員になるつもりの人)を指します。
リーダーとしての役割を果たす必要があり、所属する組織の運営にコミットし組織を引っ張り、組織が納得する形で方向性を決める人。かつ組織を自律分散型に導く人。自己成長に完全コミットしており、自律していると認められる人と定めています。
※現在は役員+中堅層の10人前後になっています。
自分が成長しないと変わらなかった現実
ー残ると決めてから後輩との関係性をどう改善したんですか?
システムコーチングを紹介されて、2人で受けることを彼女に提案しました。3年目に入って新入社員がチームに来てくれて、自分たちの雰囲気が迷惑をかけていると感じたんです。「このままじゃ良くない」と2人とも分かってはいました。
ー他者の存在によって関係が変化するきっかけになったんですね。
明確にそうでしたね。セッションは2人で2人の世界を作るという内容で、月に一度6回受けてました。それまでは彼女の考えを気にしていたけど、初めて自分と彼女2人の関係性をどうするかに意識が向けられました。
分断の感覚も柔らかくなった感じでした。それまでの「彼女はこんな人」という見方ではなく、いろんな要素を入れたときに「繋がり」とか「人と協力しながら進める」とかはお互い大事にしたいことで一緒だ、と認識しました。
それって結局自分の中の認識の話なんですよね。だから1年間ずっと関係が変わらなかったのか、と腑に落ちました。自分の認識が変わらない限り成長しないのに、気づけないまま2年目を過ごしました。
人間的な成長は、もちろん人との関わりの中で気づく部分もありますけど、結局自分の中でしかないというか。
自己理解を深めていくのもそうだし、相手を知る姿勢を持たない限り成長しないと気付いたのが3,4年目です。「チームをより良くしたい気持ちになった」というのが、分かりやすい表現かもしれないです。
成長の軸がスキルから人間性へ。成長の方向転換が自分事の範囲を広げた
ー「チームをより良くしたい」はそれまでなかった考えなんですか?
あったんですが、1,2年目は完全に売上ベースでした。前のチームはメンバーもたくさんいたので、売上をいかに上げるかに自分の役割があると思っていました。
(小池さんが1年目当時の写真。左奥)
ー新しいチームになって、コミュニケーションにも目を向けた方がチームの為になると思い始めたんですね。
1年目も大学のときも、ずっと価値観の合う人といたんですよね。2年目は価値観の異なる後輩がいたけど、お客さんの為になればいいかという思考でした。スキルを伸ばせば人の為になるし、と思っていました。それはそうだけど、目的達成や売上、プロジェクトの完結、ただそれでしかなくて狭いんですよね。
ースキルを伸ばしていたときの考え方と、人間性の成長が入ってきてからの考え方は変化がありましたか?
自分事の度合いが増していきました。例えば後輩を自分事の範囲とするかしないかで当事者意識が全然違うんです。頑張ろうと思うモチベーションやエネルギー量も違うと思います。幸せにしたい範囲にメンバーが入ってきてるとアクションも変わってきます。
ースキルと人間性の成長の2軸の話だと思いました。スキルの成長からいくか、「誰かを幸せにしたい」と人間的な成長からいくかはそれぞれですが、小池さんは前者だったんですね。
そうですね。横のスキルから伸ばして、縦の人間性の成長の壁にぶつかったと思っています。
業務でいっても、スキルと人間性の話があるから難しいと思います。習得するべき規定のスキルの話と、ステークホルダーに関わったときにどういうコミュニケーションを取るかの人間性の話があります。人間性の成長をしていくと、GCの事業であるプロジェクトマネジメントの質もさらに上がっていくと思います。
1年後、自分がどんな景色を見ているか分からない。それが人間的成長の面白さ
ー最近では社外の幹部やリーダークラスのみなさんが集まる研修に参加されていると聞きました。そこではどんな気付きがありましたか?
GCストーリーは組織と個人が一対一の関係だなと感じます。
自分の使命(パーソナルミッション)への視点と、会社をどう進めていきたいかの視点、どちらもあるのは強いなと思いますね。かつ、みんながどっちも応援してる。個人と会社の関係がフラットだなってすごく思いますね。
ー会社のことだけを考えるでもなく、個人のことだけを考えるでもなく、という感じでしょうか。
そうです。だからなのか、人に向き合う姿勢が強いなって思いますね。
人のことを考えている量もそうだし、メンバーに対して「こう変わってほしい」じゃなくて「こうなったらみんな幸せだろうな」と願って行動している度合いが高く感じます。
他の参加者の方も人は変えられないと分かっているんです。分かっているし幸せな組織を作りたいと思っているけど、変えたいと悩んだり、そもそも相手がどんな状況かも聞けていなかったりする状況があると感じました。
ー「人は変えられない」は小池さんも後輩との関係でぶつかった壁だと思います。今はどのように捉えているんですか?
人は変えられない前提に立ったときに、相手のためにできることってあんまりないと思ったんですよね。
例えば、最初は相手は別の人間だからしょうがないと思っても、いざ相手のためにできることを考えると「相手にこうなってほしい」がだんだん出てくる気がします。自分はそうでした。
良くしたいと思うがゆえに求めてしまうものがあって、でも結果あまり良い影響はないんですよね、相手はそれを求めてないことも多い。
自分にできることってあまりないんだと自覚したときに、信じることが大事だと思いました。相手に「こうなってほしい」よりは、相手に「幸せになってほしい」と信じる気持ちがベースで出てくるコミュニケーションの方がいいんだろうなって。
どちらがベースにあるかでコミュニケーションの仕方が変わると思います。
ー最後に、人間的成長について小池さんの考えを聞かせてください。
スキル的な成長イメージだとある程度描けるんですよね。GCで働き続ける理由の一つでもありますが、自分がここで1年過ごした先にどんな未来があるか分からないんです。
違う自分になっているのは何となく分かるけど、具体的にどう人間的に成長しているか分からない。実際に入社当時と今とでは考え方が広がったのもあるし、それが楽しいです。
自分の中の認識や考え方が広がることに対して好奇心があります。自分がどうなるか分からないからこそ楽しいし、面白いと思ってます。
【プロフィール】
小池隆太
2017年新卒入社。全国の看板や什器設置のプロジェクトマネジメント業務を担当。従業員の幸せと事業の発展を同時に目指す考え方に共感し、多くの人に広げたいと思いGCストーリーに入社。2021年3月よりボードメンバーに。現在はプロジェクトマネジメント業務に加え、職人のネットワークを活かした新規事業開発に参画している。
取材/櫻庭実咲・辺田美歩子 編集・文/櫻庭実咲 デザイン/清川伸子
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