これからのエンジニアに必要とされること
本記事は2018年10月01日に公開した記事のバックナンバーです。
gCストーリーに2013年に中途入社した羽根と申します。
これまで、エンジニアとして20年以上、働いてきました。
それなりに勉強もしてきましたし、プロジェクトマネジメントやらなんやらといろいろな経験をしてきました。
このブログは学生さんも読んでくれているそうですから、
今日は、経験の中から感じていることをお話ししようと思います。
20年でもっとも大きい変化だと感じることは、システム開発の効率がとても上がったということです。
20年前に比べて、Webアプリケーションを作る効率は5倍くらいになったと思います。
AIがプログラミングをなくすのではないか?など、いろいろと言われていますが、すくなくともAIがプログラミングを支援するようにはなっていくでしょうから、効率は今後もどんどん上がっていくと思います。
一方で、システムの複雑さというのも年々増してきています。
20年前はそれこそ、要件定義というプロセスがあって、設計の前にどんなシステムを作るのかを決めていました。
今では、それは幻想と言わざるを得ません。
作ってみなければ、使ってみなければわからないことなんて多々あります。
僕らがこの仕事を始めたころの「誰かが決めてくれた通りにプログラムを書けばよい」という神話は、過去のものとなりつつあります。
高度なシステムの知識を持った人がどういうシステムにするかをイメージして試行錯誤で作り上げていく、サービスをリリースした後も試行錯誤で
より良いものにしていくというのが当たり前になると思うのです。
さらに、システムの複雑さというのも、単純にデータ構造が複雑とか、
そういうレベルではなくなってきています。
今までのシステムのように、雑な言い方をすれば、データを入れて出すというレベルから、そのシステムによって、人はどう感じるかというのが大事になってきています。
安くて機能も豊富なスマートフォンが多い中で、iPhoneがなぜ売れているかを考えるとわかりやすいと思います。
そうした時代背景の中で、エンジニアは変わらなければならないと思っています。
技術を磨くのは当たり前ですが、それでは足りなくなってきています。
少し前なら、会計の分かるエンジニア、物流に詳しいエンジニアというのは
重宝がられましたが、それすら過去のものとなりそうです。
高度な知識というのは、Webのおかげで簡単に手に入るようになりました。
少なくともシステムを作るのに必要な知識を手に入れるのに、
やる気さえあれば、それほど時間は必要ありません。
これからは、
人の想いに共感できるエンジニア、
使う人を尊敬することができるエンジニア、
システムと生活の橋渡しができるエンジニアが、必要とされています。
また、自分のシステムが社会の一部として形成されていることを、
感覚として理解しているエンジニアであることも大事だと思います。
システムはそれ自体、自分たちだけで作ることはできません。
システムの上で、いろいろな生活を送っている人たちが形作っています。
極端な例ですが、あなた以外だれもいないtwitterをあなたは使いますか?
もちろん、twitterは場所を提供してはいますが、その中にあるものは世界中のみんなが作ったものです。
そういった、wholenessというか、そういった感性が、これからのシステム作りには、とても大事になってきます。
慶応義塾大学の村井先生が書いた、
「角川インターネット講座 (1) インターネットの基礎情報革命を支えるインフラストラクチャー」
は、エンジニアを目指す学生さんには、ぜひ読んでほしいと思う本です。
ここでは、wholeness という概念が実現されている世界観が書かれています。
エンジニアであることに誇りを感じられるし、こういうエンジニアでありたいと思えるような内容です。
それから、手前みそではありますが、gCストーリーという会社の環境も心地よいと思っています。
wholeness という考え方というより、感じ方、あり方といったものを
感じられる、とても良い環境です。
エンジニアとしての最近の6年間で、この感覚というか感性は、だいぶ育まれたように思います。
まだまだ、未熟ではありますが、限りある時間の中で
少しでも役に立てるように頑張っていこうと思います。