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JABA東海地区クラブ野球選手権大会準決勝 静岡硬式野球倶楽部対焼津マリーンズ観戦記

先日、長良川球場へJABA東海地区クラブ野球選手権大会を観戦しました。
日程は11/14,15の2日間。1日目に1回戦4試合、2日目に準決勝2試合→決勝と言った具合だったのですが2日目の準決勝第1試合、静岡硬式野球倶楽部対焼津マリーンズがとても良い試合だったので記録しようと思いnoteに起こしました。

前日の両チーム
静岡硬式野球倶楽部は1日目の第2試合に登場し岐阜硬式野球倶楽部と対戦しました。最後まで一人で投げ抜いた岐阜硬式野球倶楽部先発の大野投手に対して静岡が3点を奪うと、これを横馬→宮島→川里の3投手の継投で守り抜き、最後はライトでスタメン出場していた上村選手がマウンドに上がり最後を締めました。

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一方の焼津マリーンズは第4試合に登場し前年の優勝チームである矢場とんブースターズと対戦しました。試合は焼津・中村投手と矢場とん・西浦投手の息詰まる投手戦で進みましたが8回に焼津マリーンズが打者9人の猛攻で一挙6点をあげ、最後は先発の中村投手が9回も無得点に抑え完封勝利を収めました。

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準決勝試合開始

両チームスタメンは以下の通り。
静岡:7高取 4川岸 5有賀(純) 2吉永 D有賀(龍) 6池井戸 3中根 7水元 8安本 P大沢
焼津:6谷藤 5百瀬 9曽根 8深見 3森山 4薮田 D半田 2杉本 7塚本 P中野
焼津は前日と同じオーダー。静岡は前日5番ライトでスタメン出場していた上村選手がベンチスタート、その影響で有賀(龍)、池井戸、中根の3選手の打順を繰り上げました。

両チームの先発投手はどちらも変則技巧派のように映りました。静岡先発の大沢投手はオーバースローのサウスポーだったのですが普通のオーバースローよりも更に腕の位置が高く、そこから変化球を両サイドや低めに決めるピッチングスタイル。
一方の焼津先発の中野投手は右投げのアンダースロー。中野投手はアンダースロー特有の下から浮き上がるような球筋で実際フライアウトがとても多かったです。ちなみに背番号は35でした(何)。
この2人の先発投手がテンポ良くゼロを並べ5回終了時点の試合時間は57分というスピード展開。早いカウントでのヒッティングがとても多かったのでスピードこそないものの独特の球筋で打たせて取るピッチングスタイルの両投手がそれぞれ持ち味を発揮し上手くハマった形になりました。また、バックの守りが安定していたこともゼロ行進の要因だったように思います。
特に静岡の守備は見ていてゾッとするくらい落ち着いていて焼津の鋭い打球も淡々と捌いていたのがとても印象的でした。両チームとも無理に背伸びすることなく自分たちのやれる野球をやることに徹していて、ここからどのように試合が動くのか、両チームがどう駆け引きをしていくのかがとても楽しみな展開となりました。

1本の爪楊枝
グラウンド整備後の6回表、ゲームが動き出します。静岡は二死無走者から1番高取選手が死球で出塁、2番川岸選手の2球目と4球目に盗塁を決めて二死一三塁のチャンスを作り(川岸選手への4球目は結果四球)、3番有賀(純)選手がライト前に運び静岡が先制しました。

なんとか反撃したい焼津でしたが大沢投手が立ちふさがります。6回以降、毎回ヒットは許すものの前半同様淡々と投げ続け8回まで得点を許しません。昨日の矢場とん戦の展開はおそらく静岡も知っているはず。終盤になればなるほどプレッシャーも大きくなっていくと思うのですが大沢投手もバックを守る選手たちもそんなことを感じさせないくらい落ち着いたゲーム運びを見せ、なにか流れを変えるきっかけがほしい焼津に対して着実にアウトを重ねていきます。
そして焼津最後の攻撃となる9回裏。静岡はここまで97球の大沢投手に代えベンチスタートだった上村投手をマウンドに送ります。焼津は先頭の5番森山選手が代わりっぱなの初球をライト前ヒット、6番薮田選手がバントで送り一死二塁の同点のチャンスを作ります。しかし7番半田選手の代打飯塚選手がライトフライ、8番杉本選手がピッチャーゴロに倒れ万事休す。6回表の1点が決勝点となり静岡硬式野球倶楽部が決勝進出を決めました。

幻の1点
この試合、完封負けをしてしまった焼津マリーンズですが実は幻の1点を記録していました。
1回裏、一死一三塁と先制のチャンスを作り4番深見選手の打球はセンターへの大きな飛球。三塁ランナーの百瀬選手はタッチアップの構え。見ているこっちも、ああ、これは先制かなと思いました。しかし一塁ランナーの曽根選手はセンターが捕球した時点で二塁を回ってしまっていました。
一塁に戻るのはとても間に合いそうになく静岡も割とゆっくり気味に一塁へボールを送り曽根選手は戻れずスリーアウト。しかしその間に百瀬選手はタッチアップで生還していました。
あ、これは…と思いスリーアウト後の静岡の守備の動きを見ていたのですが特にアピールもなくラインを跨いで三塁ベンチへ戻っていきます。ファーストの中根選手が球審に何か確認してラインを跨ぐのは確認したのですが…。
犠牲フライにならないんだよね?無得点で良いんだよね?と、スコアを書くのに躊躇していたら焼津の戸﨑監督が猛抗議。割と長めの抗議の後、審判団協議がありましたが結局得点は成立しませんでした。
自分はそこまでルールに詳しくないのですがこういう時って本当は得点って記録されるんでしょうか。
焼津は次のイニングも一死満塁のチャンスを作っていたので、もしこの1点が成立していて先制できていれば序盤に一気に自分たちのペースに持っていけたのかもしれなかったですね。

高卒ルーキー
この試合、両チーム通じて1人だけ高卒ルーキーが出場しました。焼津マリーンズの清水絢斗投手(東海大諏訪)です。先発の中野投手の後を受け7回から登板したのですが個人的にものすごく目を引かれたので紹介したいと思います。
スピードこそピンチを迎えた時にようやく130km/hを越すくらいなのですが、それを感じさせないくらいスピンの効いたストレートが印象的でした。バッターも球速以上の速さを感じるのか差し込まれてゴロになってしまうというシーンがとても多かったです。
特に9回表、エラーとヒットで無死二三塁のピンチを迎えた場面でもゴロアウト3つで無失点で切り抜けたのは鳥肌が立ちました。

大会全体の感想
この試合に限らず今大会全7試合を見ていてとても感じたことなのですが、どのチームも守備が締まっていてロースコアの競ったゲームが多かったです。失礼を承知で言うともっとワンサイドゲームだったりノーガードの殴り合いがあったりするのかなと思っていたので正直ちょっと意外でした。もちろんエラーもありましたがそれが連鎖することはほとんどなく1人のミスは全員でカバーするというチームスポーツとして1番大切なことをどのチームも体現していました。私は投手戦やロースコアのゲームがとても好きなので本当にワクワクしながらスコアを付けていました。
そんな緊迫感のある競ったゲームが多かった中で打撃で頭一つ抜けていたのがジェイグループでした。1回戦のヤマハ発動機野球部との試合では今大会唯一のコールド勝ち、準決勝の三重高虎B.Cとの試合では試合終盤に2本のホームランでダメ押しし最終回の三重高虎B.Cの反撃を耐えきりました。そして決勝の静岡硬式野球倶楽部との試合では初回に一挙6得点。ヒット数では両チームともほぼ同じ数でしたが大量リードでゲームを優勢に進め見事大会初優勝を決めました。

試合終了後に思ったこと
この試合を見終わったあと、思いました。

「ああ、新たな扉を開けてしまったな」、と。

東海地区、特に静岡のクラブチームが熱いことに気付いてしまいました。静岡勢同士の準決勝というだけでも楽しみにしていたのにこんなにも締まった好ゲームを見せてもらえたのだから興味が沸かないわけがありません。静岡硬式野球倶楽部と焼津マリーンズの他にもう1チーム静岡枠で出場していたヤマハ発動機野球部、山岸ロジスターズ、浜松ケイ・スポーツBC、富士クラブもいるんですよね?いやもう見たすぎるでしょ。
なぜここまで静岡のクラブチームの試合は熱いのか、その謎を明らかにすべく来年は都市対抗一次予選を見に西ヶ谷球場へ向かいたいと思います。いやマジで見に行くぞ静岡一次予選。

おしまい


2020年11月15日 JABA東海地区クラブ野球選手権大会準決勝
静岡硬式野球倶楽部1-0焼津マリーンズ
静岡 000 001 000 | 1
焼津 000 000 000 | 0

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余談ですがこの2チーム、実は都市対抗一次予選でも対戦していてその時は焼津が8-0でコールド勝ちしているそうなので静岡はリベンジを果たした形になりました。やっぱり静岡のクラブチーム激アツじゃねーか。

今度こそおしまい

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